プロフィール

ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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日本人より上質な日本語をかくアメリカ人

■旧ブログで「高橋春男「ぼくの細道」、高橋源一郎「おじさんは白馬に乗って」、酒井順子「その人、独身?」という連載にくわえて、ビナードさんの「へそくりヶ丘日本語3丁目」もある『週刊現代』は、たとえ特集記事がカスであっても、後悔しないですむ いい週刊誌です(笑)。」などと絶賛し、その人物紹介などもおこなった「アーサー・ビナード」氏。■まったくの季節はずれだが、実にすばらしい文章が、単行本などにならずに わすれてしまったりしたら、とても残念なので、著作権違反を承知で、全文をうちこんでおく。


「arthur binard’s へそくりヶ丘 日本語3丁目」39
(『週刊現代』2007年12月22・29日合併号,p.155)


メリークリスガス

「今
年のクリスマスはアメリカに帰るんですか」――毎年十二月に入ると、必ず数人から聞かれる。ある種の挨拶みたいに。中には「やはりアメリカで過ごしたほうが楽しいでしょ?」とつけ加える人も。
 ぼくはだいたい、「いやぁ、今年は忙しくて、どうも帰れそうにないですねぇ」と、すぐ話題を変えるけれど、とても正直な答えとはいえず、ちょっと後ろめたくなる。いや、師走が忙しいことは事実だが、クリスマスに帰ろうと努力したかのようなニュアンスは作り物で、本当は反対に、どうやったら親類に断って帰国を避けるか、それがぼくの毎年のクリスマスの課題だ。

 日本のクリスマスは、宗教がきれいに抜かれていて、単なる消費主義の祭りになっている。もちろん、アメリカのクリスマスも消費のらんちき騒ぎだが、妙に宗教色が残されていて、矛盾だらけだ。一貫して物欲を戒めたキリストが、物欲丸出し商戦の中心に据えられ、「金持ちが天国に入るのは、駱駝(らくだ)が針の目をくぐり抜けるよりも難しい」と言い残した彼の誕生日は、ぼろ儲けの源にされている。アメリカ建国の父の一人で、避雷針の発明者でもあるベンジャミン・フランクリンは、クリスマスをこう評した。「キリストの誕生日だれもかれもみんな盛大に祝うが、キリストの教えを守っている者がなんと少ないことか!」
 キリストの教えのもう一つの柱は、揺るぎない平和主義だ。「人に右の頬を打たれたら、左の頬も出せ」とまで唱えたキリストは、骨の髄まで非暴力主義者で、どんな戦争も肯定しなかったはずだ。そんな彼の言葉から、例えば Peace on Earth というのがクリスマスのスタンダードな挨拶となり、市販のカードにもよく書いてある。「地球に平和を」、そういいながら世界規模で侵略戦争を繰り広げ、平和の主の誕生日当日にも、イラク市民とアフガン市民を殺し続ける。
 祖母に「帰っておいで」といわれ、逆らえずにアメリカでクリスマスを過ごすことになったとき、ぼくの心を支えてくれた詩がある。英国の詩人トーマス・ハーディの作品だ。


  クリスマス、1924年

「地球に平和が来ますように!」
みんな口々に言うし、この季節の歌にもなっている。その実現のために、ざっと百万人の神父や牧師を雇い、ざっと2000年の間、礼拝を繰り返した。大した進歩ではないか、毒ガスのところまで来た。



 ハーディは第一次世界大戦のあとに書いているので、「毒ガス」が「進歩」の先端として登場する。「クリスマス、2007年」なら、「核弾頭」か「劣化ウラン弾」か、あるいは「クラスター爆弾」か。

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■うーん。名文だ。なんと、知性と品性にあふれた日本語だろうか? ■「英国の詩人トーマス・ハーディ」って固有名詞以外は、おおくの日本人が熟知している知識ばかりのはず。■いや失礼。プロ野球のトップバッターに「核弾頭」なんて物騒なたとえをしたりしても、「劣化ウラン弾」とか「クラスター爆弾」とかになると、ごぞんじないか?■あるいは、アメリカという超大国が中東でおこなっているのは、テロリストの掃討作戦って信じている御仁たちが、大半か?■ま、じゃあ、最後の一節と「世界規模で侵略戦争を繰り広げ、平和の主の誕生日当日にも、イラク市民とアフガン市民を殺し続ける」はのぞくとして、それ以外の記述に異論がだせるひとがいるだろうか? とりわけ、クリスチャンにきいてみたい。そりゃ、日本列島に1%ぐらいしかいないキリスト者たちが、敬虔で非暴力主義者だろうことは、否定しない。では、太平洋のむこうのみなさんたちは? そのさらにさきの、大西洋のむこうがわのひとびとは?■ムハンマドは、イエス・キリストをみずからと同様な預言者にみとめていたのであって、その非暴力主義は、ムスリムの言動も規制するはずだったね。■あ、ユダヤ教徒は、イエス以降の預言者たちを全否定しているのだから、非暴力主義なんて、クソくらえでいいわけだ(笑)。イスラエルという軍事大国の行動は、たしかに「合理的」かもしれない。

【追記:2008/01/24】
■以前なら「ヘンなガイジン」と ロコツに 差別的なよばれかたをしていた はなしことば日本語の達人は結構たくさんいた。■そのおおくは、イントネーションや語法に非日本人的(第一言語話者的でない)要素があったわけだが、意思疎通上は全然問題がない水準で、それはリッパだったといってさしつかえない。とりわけ、幼少期ではない世代になってから日本に滞在するようになった経緯をみれば、滞在期間によらず、すごい水準だったといえるとおもう。■しかし、かれらの相当部分は、かきことば日本語には対応できていなかったはずだ。「漢字という障害物」が文化的障壁=鉄壁としてたちはだかるからだ(あべ・やすし漢字という障害」)。
■そして、このことは、単に 言語的臨界期をすぎてから渡日したといった経緯にだけくわわる「障壁」ではない。■たとえば、歌手のアン・ルイスは、新聞がよめないという うわさがある「「識字」& 読み書き・考」。■それは、本人もつぎのようにのべているようだから、ウソではないだろう。漢字がかなりよめないと、新聞なんてまともによむ気になれないはずだし。

NON-EDIT TALK : アン・ルイス *華原朋美

ANN:
あのね、美勇士っていう名前なんですけど。やっぱり私も外人なのかな? 漢字に興味があるのね。

華原:
漢字ですか? 

…… 

ANN:
書く漢字。日本語の漢字。それでまあ、美勇士っていうの考えた時に、自分は漢字書けないし、意味もわかんないけども、少ししか。美しい勇気のある武士っていうね。Beautiful Brave Soldierってまあ英語的に言うとね。そうするとアメリカインディアンとかの名前っていうのは、そういう名前があるのよ。例えばあの「Dances with wolves」っていう映画あったじゃないですか…

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■日本語ワープロ→パソコンの普及以前の作詞は、かながきしたものを漢字に適当になおしてもらうか、口述筆記していたんだろう。■日本人の母親のもとで日本列島上でそだっても、アメリカンスクールなどにかよったばあい、平均的日本人と同様の文化資本とか「教養」がみにつくわけではないという好例だろう。

■ふるくは、エドワード・G・サイデンステッカー[1921-2007]ドナルド・キーン[1922-]、最近ならリービ英雄[1950-]といった、アメリカ出身(日本語をあとでまなんだ)の驚異的な日本列島文学研究者がおり、とりわけリービ英雄氏などは、日本人以上の日本語の達人といえそうだ。■しかも、アーサー・ビナード氏やリービ英雄氏のように、学術論文系ではなく、達意のエッセイを大量にくりだされると、「不気味」で「不安」にかられる層がすくなくないのではないか?
■その一方で、幼少期からとぎれずに日本列島にくらし、家族に日系の人物がいても、漢字まじりの かきことば日本語に不自由な層は、かなりいると推定される。■もっと条件がわるければ、朝鮮半島出身の在日一世の女性たちのように、高齢者になってから夜間中学など識字学級ではじめて、かきことば日本語の勉強を本格的にはじめることになる層さえいたことも、みのがせない。■アーサー・ビナード氏のように、落語をはじめとした古典芸能や 漢字表記にまで熟達した、平均的日本人以上の「教養人」が ごくマレに誕生する一方、「平均的日本人」の水準を前提にした日本社会のさまざまな文化障壁に疎外された層が実在する。「白人」身分を謳歌するがゆえに、日本語文化に全然適応しないことをよしとする層は、ほうっておいてよいとしても、はなしことば日本語に精通しながら、かきことば日本語は苦手といった層を放置しておいてよいはずがない。■在日一世たちはもちろん、日系ブラジル人・ペルー人2世のコドモたちまでもね。




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コメント

アンハッピー、もーイヤー

■うーん、タイミングを外し過ぎだ。鬼が風邪を引いてしまう。ハッ、ハッ、ハーック(笑)

※駄洒落、ご容赦くださいませ。m(_ _)m

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