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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
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【位置 リベラル左派】

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新型インフルエンザ騒動の怪26=豚インフルエンザ報道を検証する(第19回) 米政府「タミフルの投与、原則不要」【少々加筆】

インフル関連記事
■「新型インフルエンザ騒動の怪24=原田和明「豚インフルエンザ報道を検証する 第18回 リレンザでも副作用?」の続報。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
世界の環境ホットニュース[GEN] 730号 09年09月25日
・・・・・・

      豚インフルエンザ報道を検証する(第19回)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

第19回 米政府「タミフルの投与、原則不要」 原田 和明

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は9月8日(現地時間)、健康な人は 新型インフルエンザに感染しても、タミフルリレンザなど抗ウイルス薬による治療は原則として必要ないとする投薬指針を発表しました。6歳以上の若年者や64歳以下の成人で、かつ軽症の場合、治療薬の投与は不要とするWHOの指針よりもさらに、脱・抗ウイルス薬の方向性を示しています。(2009年9月16日10時40分 読売新聞)これに対し、日本感染症学会は9月15日、「可能な限り、抗インフルエンザ薬を早期から投与すべきである」と真っ向から対立する提言を行ないました。

2009年9月9日 読売新聞より以下引用。

 タミフルの投与、原則必要ない
 米政府指針
 【ワシントン=山田哲朗】米疾病対策センター(CDC)は8日、健康な
 人は新型インフルエンザに感染しても、タミフルやリレンザなど抗ウイル
 ス薬による治療は原則として必要ないとする投薬指針を発表した。

 抗ウイルス薬の供給には限りがあるほか、過剰投与で耐性ウイルスが
 出現する恐れが高まるため。CDCのアン・シュケット博士は 同日の
  記者会見で「子供でも大人でも大多数は抗ウイルス薬は必要なく、
 自宅で休養することで治る」と述べた。
(引用終わり)

 ところが、世界保健機関(WHO)は、重症化を防ぐために、タミフルやリレンザを積極的に使うべしと主張しています。新型インフルエンザの流行地域では新型感染の確認を待たずに、症状だけで判断してタミフルやリレンザを投与してよい、持病のある人や 5歳以下の子供、妊婦には即刻投与するようにとまで言っています。(WHOガイドライン=和訳は国立感染症研究所のウェブサイト)ただし、申し訳程度に、6歳以上の若年者や64歳以下の成人で、かつ軽症の場合、治療薬の投与は不要とする指針も示しています。(2009年9月16日10時40分 読売新聞)



 WHOの指針は日本の厚生労働省が行なっていることによく似ているなあと思っていましたが、それもそのはず、WHOのの治療ガイドラインの策定に日本も参加し、今回の診療ガイドライン作りにも携わっていました。委員として参画した、けいゆう病院小児科部長の菅谷憲夫氏は、「今回の新型インフルエンザでは、抗インフルエンザ薬による治療の重要性が高い。乱用していいというわけではないが、臨床症状や感染者との接触歴などの状況から、感染が疑われれば投与していいと思う」と話しています。(2009年9月16日10時40分 読売新聞)

 菅谷医師はワクチンにはとても慎重でしたが(第12回、GEN723)、抗インフルエンザ薬には 寛容のようです。ワクチンより マシだろうとの選択でしょうか? ところで、なぜアメリカCDCとWHOは このような異なる見解になったのでしょうか? CDCは タミフルの供給能力とウイルスの耐性化を問題にしていますが、浜医師は『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No128(2009.8.24号)で別の理由があると、次のように解説しています。

  最新のアメリカCDCの調査結果がランセット誌(Jamieson DJら、
 Lancet. 2009 Aug 8;374(9688):451-8. Epub 2009 Jul 28.)に 掲載
 された。それによると、4月15日から 6月16日までの約2か月間に、
 新型インフルエンザ患者で死亡した人は45人、そのうち 妊婦の死亡
 が 6人でしたが、この6人全員がタミフル服用者だった。

  もう ひとつの 最新の 調査(Perez-Padilla R ら New England Journal
 of Medicine,2009 Aug 13;361(7):680-9. Epub 2009 Jun 29.)は、メキ
 シコからのいわゆる「新型インフルエンザ」による重症患者の報告であ
 る。これによると、初期(4月)に重症化して 入院した18人のうち、タミ
 フル使用者は14人いて、そのうち7人が死亡し、タミフルを 飲まなかっ
 たことが確認されている4人には、死亡者がいなかった。


 以上の結果から、浜医師は「アメリカの妊婦とメキシコの重症例を総合すると、タミフルは有意に死亡を増加させうる」と結論づけています。

 これに対し、日本感染症学会は9月15日、「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」(第2版)を発表。「WHOの指針は 治療薬の備蓄が少ない国々の事情を踏まえたもの。備蓄が豊富な日本では、感染が少しでも疑われたら、できるかぎり早く治療薬を投与すべきだ」と青壮年への投与をも積極的に推進すべしとの解釈を示しました。

 その中で、新型インフルエンザを従来の「季節性」と同じようなものと侮ることを戒め、万全の準備を整える必要性を強調しています。そして、海外に比べて日本国内での致死率が低いのは、日本では発症者が早期に医療機関を受診し、抗インフルエンザ薬による治療を受けているためだと指摘。さらに、季節性インフルエンザの治療における抗インフルエンザ薬の役割は発熱期間の短縮にとどまるが、新型インフルエンザの治療においては重症化や死亡の防止につながると主張しています。(2009年9月16日10時40分 読売新聞)

 この主張は、いかに新型インフルエンザが製薬メーカーにとって、「カモネギ」に類する都合のよい性質をもっているかをよく表しています。そもそもタミフルやリレンザは鳥インフルエンザ用に開発されたはずです。それが豚インフルエンザに対しても「重症化や死亡の防止につながる」とは、どんな証拠に基づいての主張でしょうか? 証拠はないのです。感染症学会の緊急提言にも証拠は示されていません。この主張は、WHOが根拠を示さないまま「タミフルは新型インフルエンザに有効だ」といった非常にイカサマっぽい(メーカーですら効果があるとは言っていない)言い草の受け売りでしかありません。「重症化の防止」どころか、重症化や死亡の原因かもしれないことが指摘され、厚生労働省はそれを隠そうとしてか、様々な情報操作を繰り返している気配があることをこれまで述べてきました。

 ところが、厚生労働省は、死後に新型インフルエンザに感染していたことが確認された横浜の男児(12)の死亡例を、積極投与の口実に利用しました。男児は9月2日午前、高熱を出して医療機関を受診、簡易検査を受けたが陰性だったため、この医療機関ではタミフルなどの投与を受けず、男児は死亡したとされています。この事例を受け、厚生労働省は 9月18日、感染の疑いがある患者については、感染が確定していなくても医師の判断でタミフル等の治療薬を投与できることを改めて周知する通知を都道府県などに出しました。 (9月18日20時10分配信 読売新聞)

 抗インフルエンザ薬積極推進との主張は日本感染症学会だけではありません。8月には、日本産婦人科学会が「妊娠している婦人 もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ対応のQ&A」を改定して、医師に対して「抗インフルエンザ薬の早期服用開始(確認検査結果を待たなくともよい)は重症化防止に効果があることを妊婦や家族に伝える」、「PCR検査による感染確認を待たずに、できるだけ早期から抗インフルエンザ薬のオセルタミビル(商品名:タミフル)あるいはザナミビル(リレンザ)を投与する」ことを推奨しています。改訂前は、妊婦もしくは褥婦が新型インフルエンザに感染した場合、非妊婦に比べて重症化しやすいかどうかについて、「データは不十分だが、季節性インフルエンザと同様であると推定されている」という表現にとどまっていました。しかし、改訂版では、「妊婦は重症化しやすいことが明らかとなった」と明記して、積極的に抗インフルエンザ薬の服用を勧めるようになったのです。(2009.8.6日経メディジカルオンライン

 「確認検査 結果を待たなくとも よい」というのは 暴論です。今年の 初めにA/H1N1型の季節性インフルエンザは 98%がタミフル耐性化していることが明らかになっています。つまり、同じ A/H1N1型でも、「季節性」ならばタミフルは効果がないのです。効果がないかもしれないのに投与するのはCDCが懸念していた耐性化につながる「乱用」ではないでしょうか?

 これにも反論はありそうです。8月25日 NHKが「全国的な流行が始まったインフルエンザの患者の97%は新型のウイルスに感染していたことが、国立感染症研究所などの調査でわかりました。」と放送しています。(NHKオンライン・新型インフルエンザ情報8月25日 17時00分更新)

 内訳は、A香港型 70人、新型インフルエンザ 2774人(97%)だというのです。A香港型には まだタミフル耐性株は 見つかっていませんから、これなら「確認検査結果を待たなくとも(タミフルを投与して)よい」ことになります。しかし、これは自爆しています。内訳の中に「季節性 A/H1N1型」がないのですから、国立感染症研究所は 自ら「従来の季節性A/H1N1型」を「新型」に分類してしまっていると白状しているようなものです。もちろん、B型も入っていませんから、「97%は『A型』インフルエンザ患者の中の割合」でなければなりません。このように、このニュースは表現も不正確です。

 案の定、国立感染症研究所のウェブサイトには、このニュースソースにあたるものは掲載されていませんし、NHK以外ではこのニュースは取り上げられていません。日本産婦人科学会の暴論(WHOの主張でもある)を擁護するための情報操作のつもりが自爆してしまっているので、慌てて引っ込めたのか、最初から 自爆覚悟で、ちらっと 流すだけのアドバルーン記事だったのでしょうか?

 それにしても、8月以降、死亡例が 次々と報道されましたが、その中で、新型と判定されていないどころか、インフルエンザかどうかもわからない段階でタミフルを投与されている事例が目立っていましたが、その背景には、このような学会の指針が一役買ったものと思われます。

 さらに、日本小児科学会も、1~5歳の小児については、すべての感染者に抗インフルエンザ薬の投与が必要との見解を明らかにしています。(2009.9.16 日経メディカルオンライン)これもWHOのガイドラインと同じですが、2004年1月に、タミフルの製造・販売元であるスイスのロシュ社、日本の中外製薬が、自主的に「1歳未満の乳児には タミフルを投与しないように」との警告情報を医師に対して流しています。メーカーさえ「投与しないように」というクスリを 1歳になったとたん「投与を推奨」されるというようなことがあるのでしょうか?

 浜六郎医師がタミフルの副作用に関心をもつきっかけもこのメーカーからの警告情報でした。「国の指導があったわけでもないのに、メーカー自身が自主的にこのような危険情報を提供したということは、メーカーはそのことに相当の根拠をもっている。1 歳未満の子には都合が悪いことが起きると十分に予想しているに 違いない。──30年あまり 薬剤の評価検討をしてきた私はそう考えた」(浜六郎「やっぱり危ないタミフル 突然死の恐怖」(株)金曜日2008)

 しかし、日本小児科学会はそうは考えませんでした。2004年2月2日、わざわざ厚生労働省に「1 歳未満の乳児にタミフルを投与してはいけないのか?」との質問状を出しています。これに対し、厚生労働省は「保護者の同意を得た上で慎重にするなら投与しても構わない」という趣旨の回答をしました。問題は医師がどんな説明をするかであり、医師から勧められて拒否できる保護者がどの程度いるでしょうか? しかし、これで、日本 小児科学会は「錦の御旗」を手に入れたのです。事実上、日本小児科学会の質問状をきっかけに、小児へのタミフル投与が容認されたことになります。

 ところが、このときの厚生労働省の回答が墓穴を掘ることになりました。浜医師はその回答書に「幼若ラットの試験において、薬物の脳内への高濃度の移行が確認されたとのデータがある」との記述を発見、2005年1月に タミフルの承認申請概要を検討するきっかけとなりました。そこには、タミフルを投与して数時間以内に、生後7日の離乳前ラット24匹中、18匹が死亡したとの 実験結果が掲載されていたのです。症状は体温低下、自発運動の低下、呼吸緩徐、呼吸不規則などであり、中枢抑制の結果、呼吸抑制で死亡したことは明らかでした。(浜六郎「やっぱり危ないタミフル 突然死の恐怖」(株)金曜日2008)

 浜医師がこのことに気付く前の2003年の冬、既に大阪で 6人の小児が突然死するという事件が起きていました。6人中4人(2歳児、3歳児 各2人)がタミフルを1回投与されただけで睡眠中 突然死しており、他の2人は 別の薬を服用後に死亡していました。解剖の所見もラットと同じで、ラットで起きたことは人間でも起きうることが確認されたのです。(浜六郎「クスリで脳症にならないために」 医薬ビジランスセンター2008)その後、10代の若者にも突然死や、飛び降りなどの異常行動が注目されることになったわけですが、今回の日本感染症学会の見解は次の通りで、副作用の問題には何も答えていません。(2009.9.15日本感染症学会緊急提言第2版より以下引用)

 「タミフルに関しては、10歳代の患者の異常行動等に対する厚生労働
 省からの使用注意制限がまだ解除されていません。ただし、厚生労働
 省自身の見解として、副作用を説明し保護者が投与後 最低2日間監
 視できるなら新型インフルエンザに対してタミフルを投与することは可
 能である、としています。
 わが国の最初の流行を経験した神戸においても10歳代の患者への
 投与が行われています。したがいまして本委員会は、妊婦、乳幼児
 及び10歳代の小児を含む S-OIV 感染症患者へ 早期から抗インフル
 エンザ薬を投与することを勧奨いたします。」
(引用終わり)

 ここで、先ほどの「錦の御旗」が使われています。このように、副作用の問題は保護者の監視義務にすり替えられてしまいました。こうしてみると、WHOのガイドラインは、タミフル礼賛派(日本)と、脱タミフル派(アメリカ)の妥協の産物という感じがします。WHOの診療ガイドライン作りに携わった、けいゆう病院小児科部長の菅谷憲夫氏(前述)はかつてこんなことを言っていました。(2008.4.21 日経メディカル オンラインより 以下引用。第12回でも引用

 「日本の新型インフルエンザ対策は、インフルエンザ専門家の常識からは大
 分ずれてきています。このまま行くと、世界の常識から外れてしまうことを、
 国民やマスコミが認識しなくてはなりません。」
(引用終わり)

 豚インフルエンザ騒動がもちあがる直前の発言ですが、それからわずか半年、騒動の渦中に身をおくことになって、彼は日本の進路を世界の常識へと軌道修正することができたのでしょうか? この夏、各地で「新型 インフルエンザ患者が死亡」との報道が続いたわけですが、ちょうど同じタイミングで日本のアカデミーがアメリカCDCの見解とは袂を分かち、タミフルやリレンザに傾注していく道を積極的に推進する旗振り役を果たしたことは忘れないでおきたいと思います。 

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■WHOと日本政府やアカデミズムは、基本的にグルである。それとくらべると、アメリカの医学界には、まだ すくいがあるようだ。メタボリック症候群騒動に対しても、あちらには ちゃんと批判勢力が、かなり あったように。■くやしいが、「くさっても アメリカ」という構図は、かわりがない(苦笑)。



「妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A (一般の方対象)」(平成21年9月7日)
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『エコノミスト』(毎日新聞社)の10.6号は

「新型インフルエンザ感染爆発」という特集です。参考までにどうぞ。

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