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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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新型インフルエンザ騒動の怪11=原田和明「豚インフルエンザ報道を検証する 第8回 タミフル耐性の新型ウイルス

「インフルエンザ」関連記事のつづき。■「新型インフルエンザ騒動の怪10=原田和明「豚インフルエンザ報道を検証する 第7回 ナンセンスなインフルエンザ対策」の続報。


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世界の環境ホットニュース[GEN] 719号 09年07月20日
        豚インフルエンザ報道を検証する(第8回)

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 第8回  タミフル耐性の新型ウイルス           原田 和明

 厚生労働省は7月2日、新型インフルエンザに感染した大阪府豊中市に住む40代の女性教諭から、抗ウイルス薬「タミフル」に耐性を示す「H275Y の遺伝子変異」をもつウイルスが確認されたと発表しました。(7.2 厚労省健康局結核感染症課プレスリリース)大阪府立公衆衛生研究所は 6月18日に遺伝子検査で、このタミフル耐性ウイルスを検出していましたが、「感染拡大の恐れはなく、より専門的な検査が必要」として 今月1日まで厚労省に報告しませんでした。厚労省が2日、公表を促し、急きょ発表したとのことです。(7.3 読売新聞)

 大阪府も「7月1日に厚生労働省に報告したところ、すぐ発表するように言われた」(7.3 朝日新聞)とのことで、大阪府の発表は3日の午前0時から行なわれました。大阪府健康医療部の担当者は、患者の家族には耐性がみられなかったことや、本人が治療薬リレンザで回復したことから「公衆衛生上、重大事象ではないと認識してしまった。公表が遅れたことは申し訳ない」と謝罪しました。(7.3 共同通信)

 一夜明けて、橋下徹知事は 3日、府庁で報道陣に「情報を隠そうというのが行政の体質。すぐには変わらないかもしれないが改善に努める」「(耐性ウイルスであると)確定してから発表しようと思ったのだろうが、速報性の重要さを認識しなければならない」と語りました。(7月3日13時28分配信 産経新聞)

 謝罪に追われた大阪府を尻目に、厚労省は7月4日17時付のプレスリリースで、「大阪府において、タミフル耐性を示す H275Yの遺伝子変異が検出された新型インフルエンザウイルスについて、国立感染症研究所で薬剤感受性試験を行ない、タミフルには耐性があり、リレンザには耐性がないことを確認した」と発表しています。

 そして、7月6日には、大阪府が「2週間も 公表しなかった理由」が明らかになりました。「大阪府立公衆衛生研究所(公衛研)が論文発表を優先したため、公表が遅れた」と各紙が一斉に報じたのです。

 さて、この一連の報道、一見、府下の私立高校での集団感染という苦い経験を持ちながら、大阪府の危機感のなさと、対照的に厚労省の頼もしさが浮かび上がってくるような印象を受けます。しかし、私には厚生労働省側の姑息な猿芝居のように思えてなりません。



 「H275Y の遺伝子変異がタミフル耐性を示す」ことは、従来の季節性のAソ連型インフルエンザウイルスで確認されていたことです。「H275Y の遺伝子変異」とは、ウイルスがもつノイラミニダーゼ(NA)蛋白質の 275番目のアミノ酸がヒスチジン(His/H)からチロシン(Tyr/Y)に置換したという意味で、たまたまそこが作用点であるタミフルに対して耐性を示すことになったものです。

 このタミフル耐性A/H1N1亜型インフルエンザウイルスが、2007年11月頃から北欧諸国を中心に高頻度に報告され、日本でも今年になってほとんどのA/H1N1亜型が「H275Y の遺伝子変異」タミフル耐性に替わったことを国立感染症研究所が認めています。(2009.1.16厚労省中間報告)ただし、昨年末には、敢えて薬剤感受性試験を実施しないことで、耐性を確認できなかったと言いつくろい、日本にはタミフル耐性ウイルスがほとんど入っていないとうそぶいていたことを第4回(GEN714)で紹介しました。それなのに、今回は迅速に 薬剤感受性試験を行なったというのも嘘くさいのです。

 そもそも、豚インフルエンザ騒動の当初、厚生労働省は遺伝子の変異を確認せず、A/H1N1型のインフルエンザウイルスならば、通常の季節性だろうが何だろうが区別せず「新型」と発表してきたという経緯があります。従って、日本で「新型」と発表された事例の中には、ほぼすべてがタミフル耐性となった季節性インフルエンザが多数混在していることになり、「新型」と判定された中には、タミフル耐性の「季節性」インフルエンザが数多く紛れ込んでいることは、厚労省には最初からわかっていたことです。だから今度も、大阪府は厚労省に嵌められたのではないかと思った次第です。

 「H275Y の遺伝子変異」で耐性化が確認されているのは、「A/H1N1型インフルエンザに対するタミフル」の組み合わせの場合のみです。リレンザでは耐性は確認されていませんし、B型やA/H3N2 型ならタミフルは感受性である(耐性がない)ことが確認されています。それでも厚労省が情報を操作して、A/H1N1型の季節性インフルエンザがタミフル耐性化した変異を昨年は認めようとしなかった背景には次の事情がありました。(以下2009.2.9日経ドラッグインフォメーションより引用)

 悩ましいのは、医療機関で行われるインフルエンザの迅速検査では、
 A型かB型かの判別しかできないこと。Aソ連型とA香港型は流行状況
 もほぼ重なっており、1月21日時点で Aソ連型が44.5%、A香港型が
 40.8%。どちらの確率が高いか判断できない情勢のため、A型判定が
 出たら 一律に、リレンザを処方する医療機関が増えつつある。

 (引用終わり)

 迅速検査キットの能力の制約により、タミフルが有効な場合でも現場では事実上使えない薬品になっていたのです。厚労省はこの事態を避けようと画策したのだと思われます。そんな厚労省にとって次の課題は、今度の豚インフルエンザ騒動では、いいかげんな判定方法を採用した結果、いつかは公表しなければならない「新型でタイミフル耐性例」のニュースをいつ、どんな形で発表するかという問題でした。今回は大阪府を悪役に仕立て上げることで、厚労省は難問をひとつ乗り切ったと言えそうです。

 厚労省はまず、タミフル耐性インフルエンザウイルスをどこかで見つけてもらわなければなりません。そのために、新型インフルエンザの定義を変更しています。繰り返しになりますが、これまでA/H1N1型ならなんでも「新型」だとしていましたが、厚労省はそのルールを5月28日に変更してA/H1N1型から「新型」と「季節型」を区別することを求めています。(H1.5.28 厚生労働省結核感染症課・事務連絡より以下引用)

 都道府県及び国において新型インフルエンザ及び季節性インフルエン
 ザの流行状況について迅速な把握を行い、流行状況に応じた適切な
 対策を講じるため、新型インフルエンザの検査診断に加え、季節性
 インフルエンザの病原体サーベイランスとあわせた新型インフルエンザ
 の検査について、地域の状況に応じ、可能な限り実施していただきます
 ようお願い申し上げます。
(引用終わり)

 ここでは、どんな方法で、何を基準にして「新型」と「季節型」とを区別するのかについての説明がありませんが、一般的にはウイルスの遺伝子配列を確認することになります。厚労省はその後も都道府県に対し、「季節性インフルエンザの検査とあわせて、新型インフルエンザ検査を行うように」との事務連絡を重ねて行なっています。

 6月10日「インフルエンザウイルスにかかる 病原体サーベイランスの強化と調査について(依頼)」に続いて、6月25日付の厚生労働省インフルエンザ対策室の事務連絡に、次のようなウイルスの確認方法が指示されています。しかし、どうやってウイルスを同定するのかについては記載がありません。(以下引用)

 「インフルエンザの型を調べることにより、流行しているインフルエンザ
 全体における新型インフルエンザ、季節性インフルエンザの割合を評価
 する。地方衛生研究所においてインフルエンザウイルスの確認検査を
 行なう。(中略)なお、ここでいうインフルエンザの確認検査は、ウイルス
 の分離・同定またはPCR検査(又はその両者)とし、両者のバランスを
 考慮して実施する」

 (引用終わり)

 その上で、厚労省への 報告を 求めて います。大阪府立公衆衛生研究所が、「H275Yの遺伝子変異」を検出したのは6月18日でした。度重なる厚労省からの要請に応えて、遺伝子検査を実施した結果、新型か季節型かを判定できるような変異を発見する前に、タミフル耐性を示す変異を発見したのだと推測されます。判定方法があいまいなままでの度重なる新型・季節型の判別要請は、「タミフル耐性のウイルス発見」の誘い水のようでもあります。

 当該女性教師は 5月17日に新型インフルエンザと確認された患者の濃厚接触者で、翌18日からタミフルを予防的に投与されていました。ところが 5月24日に微熱を訴え、28日に新型インフルエンザと診断され、その後リレンザによる治療を受けて回復しています。(7.2 共同通信)

 さて、ここで 大阪府立 公衆衛生研究所にとって厄介な問題が起きました。当該 女性教師が「新型に感染」と判定された 5月28日の時点での 判定基準は、「A/H1N1 型だったら なんでも新型」でした。ところが、6月10日 以降では、「A/H1N1型から季節型を除外したものが新型」と基準が変わっているのです。

 ですから、当該女性教諭を新たな基準で判定しなおせば、「タミフル耐性の季節性A/H1N1型」となる可能性があります。この型は今年になって全世界を席巻したことをWHOでも認めているのですから、数多の中の一例にしかすぎません。ところが、「新型」ならば、これまでタミフルは有効だとされていたのが覆される世界初の例となるのです。大阪府は公表に際し、慎重にならざるをえません。


 大阪府は7月3日午前0時からの記者会見で、発表が遅れた理由を どのように説明していたのでしょうか?

○(7.3 産経新聞)「検査したうえで確実に耐性ウイルスと分かった時点で発表するつもりだった。」
○(7.3 読売新聞)「感染拡大の恐れはなく、より専門的な検査が必要」
○(7.3 朝日新聞、毎日新聞、東京新聞)言及なし。
○(7.3 共同通信)府健康医療部の担当者は、患者の家族には耐性がみられなかったことや、本人が治療薬リレンザで回復したことから「公衆衛生上、重大事象ではないと認識してしまった。公表が遅れたことは申し訳ない」
○(7.6 共同通信)厚労省への報告がずれこんだ理由として、裏付けのためにウイルスそのものの変異を調べる手法の検討に時間がかかったと説明していた。


 産経新聞は「確実に耐性ウイルスと分かる検査(=薬剤感受性試験)を行なう時間が必要だった」と伝えていますが、読売新聞は「専門的な検査」というだけでどんな検査か不明。その他は発表が遅れた理由そのものに触れていません。

 7月6日付の共同通信は「大阪府が論文発表を優先させていた」との記事の中で初めて、大阪府の具体的な釈明を掲載しました。「裏付けのためにウイルスそのものの変異を調べる手法」を検討していた というのです。これは6月10日以降の判定基準に沿って「新型」かどうか判定する手法を意味し、「耐性ウイルスかどうか?」という検査とはまったく異なるものです。

 大阪府は深夜の記者会見で「新しい判定基準に沿って、判定見直し作業をやっているところだ」ということをはっきり説明したのではないかと思われます。だからこそ、厚労省の意図に気付いている各紙は対応に困ったのでしょう。朝日、毎日、東京各紙は大阪府の釈明を報道しない道を選び、読売は内容がまったく伝わない「より専門的な検査」という表現でごまかしたのだと思われます。産経新聞は誤報だといえそうです。

 記者会見の翌朝に、「大阪府の対応は隠蔽体質が原因」と断じた橋下発言を取り上げたのも産経新聞だけでしたから、橋下知事は記者会見でコメントしたのではなく、産経の記者の誘導に乗せられて口走っただけなのかもしれません。産経新聞は着々と御用新聞の役割を果たしていると考えられます。

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■「産経新聞は着々と御用新聞の役割を果たしている」というコメントは余計。以前から、「御用新聞」の代表例なのだから。政府批判だって、よこならびで、どこだって批判するほかないネタで、あいのりするか、右派系読者がよろこびそうな路線で、わるのりするか、自民党タカ派などの視座から「軟弱外交」(「媚中(朝/韓)」などといった、右翼系表現はひかえるにせよ)を非難するなどいった、差異化をはかるだけで、新米保守政治(ただし改憲路線でだけ、反米的ポーズをとる)を痛撃するつもりなんて、はじめからないんだ。
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タグ : 真理省 1984年 安全 ハイパー独裁

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