プルサーマル議論、きょう再開将来像含め議論を プロセス、県民に明示必要
使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画の実施の是非を巡る議論が、17日から県議会で、21日から県で再開される。県と県議会はいったん同意した計画を取り消す見解を2002年にまとめており、7年ぶりの検証作業を経て、当時の意思決定を軌道修正するかどうかが焦点だ。計画容認派が多数を占める県議会は最終的に同意凍結を解除する可能性が高いが、未来にかかわる大きな問題だけに、結論に至るプロセスも県民に広く示されるべきだ。
「フランスでは核燃料を普通に再処理している。安全性に何ら心配はない」
今月3日に開かれた6月県議会の企画環境委員会。自民党県連幹事長でもある委員の斎藤健治県議が、プルサーマルの安全性を強調すると、すかさず社民、共産両党の県議が「核燃料サイクルは(我が国ではシステムとして)成り立っていない」とかみついた。
県議会は3日後、プルサーマル計画の議論再開を全会派の賛成で決めたが、7年前の同意凍結を解除するよう求める自民に対し、社民や共産は「結論ありきの議論再開は認められない」と反発。議論の舞台となるエネルギー政策議員協議会の議題を「原子力行政全般」と広くしたのも、議会内の温度差に配慮したためだった。
県は1998年、東京電力福島第1原発3号機でのプルサーマル実施を全国で初めて事前了解した。しかし、MOX燃料のデータ捏造(ねつぞう)や原発のトラブル隠しを受け、県は02年9月、国の原子力行政に正面から疑問を投げかける「中間とりまとめ」をエネルギー政策検討会で作成し、事前了解を白紙撤回した。同意凍結を盛り込んだ県議会の意見書も、翌10月に可決したものだ。
今年1月になって、原発所在地の地元4町はプルサーマル計画の受け入れを表明。この後、県と県議会に議論再開を要望し、ともに再開に向けて動き出した。
「7年がたち、安全・安心について国や事業者がどのようなことをしてきたのか。議論することは県民にも理解いただけると思う」。これまで慎重姿勢を崩さなかった佐藤知事は、議論再開の意義をそう強調する。
国内では、九州電力玄海原発(佐賀県)で11月にもプルサーマルが実施される。福島第1原発では、使用済み核燃料が年々たまり続け、最短で12年度に貯蔵施設が満杯になる。地球温暖化が進む中、限られた資源を有効活用するプルサーマルは核燃料サイクルの柱を担う政策でもある。
だが一方で、核燃料サイクルの将来像はいまだに見えてこない。青森県六ヶ所村の再処理工場は稼働のめどが立たず、高レベル放射性廃棄物の最終処分場は建設地が決まっていない。福島第1原発には99年にMOX燃料が運び込まれたが、東電はその後、プルサーマルの導入施設を「(管内の)3~4基」とだけ説明し、具体的な実施プラントを言及しなくなった。
計画に反対する共産、社民の議員が5人に過ぎない県議会は、年内にもプルサーマル計画に同意する公算が大きい。ただ、議論の過程では、国や事業者を呼んで県と県議会の02年の問題提起にどう取り組み、核燃料サイクルの将来像をどう考えているかなどを改めて問うとともに、責任ある説明を引き出す作業が必要だ。同時に、県民にわかりやすい形で結論を導く努力も求められる。
(2009年7月17日 読売新聞)----------------------------------------
■ブロック紙の「
河北新報」の記事も。
沈黙破る「発電県」 福島・プルサーマル議論再開 原子力発電所でのプルサーマル計画をめぐる議論が17日、7年ぶりに福島県議会で再開される。県も議会と並行して、21日にエネルギー政策検討会を開くことを決めた。福島県は2002年、原子力の事故や不祥事が相次ぐ中で、プルサーマルの了解を白紙撤回。国や電力会社に原子力政策の見直しを厳しく問い掛けた。その経緯をどう検証し、原発とこれからどう向き合っていくか。原発10基を抱える、国内最大の「発電県」の判断が問われている。(福島総局・中島剛、熊谷吉信)
●状況に変化
「単にプルサーマルを受け入れる、受け入れないの問題ではない。7年間の沈黙を無駄にしないためにも、国のエネルギー政策を問い直す議論にしたい」。議論再開を前に県議の一人が話す。
福島県は1998年、全国で初めて、東京電力福島第1原発でのプルサーマル実施を了解した。
しかしその後、プルサーマル用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料のデータ改ざんや、茨城県東海村での臨界事故などが相次いで発生。原子力への信頼が揺らぐ中、02年には東電原発トラブル隠しが発覚する。
当時の佐藤栄佐久知事は了解を白紙に戻し、県議会も国に10項目の対策を求めるプルサーマル拒否の「意見書」を全会一致で可決した。
それから7年。「原発を取り巻く状況は変化した」と、県議会の佐藤憲保議長は指摘する。
佐藤雄平知事は6日、「(原発の)安全安心について国、事業者がどう対応してきたか検討したい」と、プルサーマルを含めた原子力政策全般の議論再開を表明。県議会は先月30日までに、全会派が議論の必要性があるとの点で一致し、エネルギー政策協議会の開催を決めている。
議論再開への障害は確かに少なくなった。九州電力などの原発でプルサーマル計画が進んだ。東電の信頼回復への取り組みも徐々に成果を挙げ、福島第1、第2原発が立地する4町は計画凍結を解除。「いつまでも議論しないわけにはいかない」と佐藤議長は説明する。
●疑問点なお
県議会では、最大会派の自民党がプルサーマルに前向きだ。第2会派の県民連合も、多数を占める民主党系県議に原発アレルギーはほとんどない。明確に反対するのは県民連合の社民党系と、共産党だが、議席数では1割強にすぎない。
しかし、結論を出すまでには時間がかかりそうだ。「急いで決める問題ではない」と県民連合の渡部譲会長は話す。佐藤議長も「広く意見を聞く」と慎重姿勢に徹する。
性急な議論の歯止めとなっているのは、プルサーマルを拒否した「意見書」。10項目のうち内部告発者の保護などは具体化したが、「原子力安全・保安院の独立」など実現していない項目も残る。
県にとっては、国の原子力政策への疑問点を整理した02年の「中間とりまとめ」が課題になる。「核燃料サイクルは必要不可欠なのか」「原発は将来にわたる地域振興に寄与できるのか」といった指摘は、今も重みを失っていない。
使用済みMOX燃料の問題もある。搬出先は未定で「当面は原発内で貯蔵される」(東電)のが現実だ。
2009年07月17日金曜日-----------------------------------
■いくら 官僚たちから きらわれ、実務上の政策立案能力をもたない社民・共産両党が地方で不人気で、したがって、
NIMBYを積極的にうけいれようという地元有力者がおおかろうと、投票行動によって、自民・民主・公明を圧勝させてきたのは、住民自身。■軍政時代からいすわられてきた琉球列島の駐留軍基地とは、はなしがちがう。
■それにしても、「
第2会派の県民連合も、多数を占める民主党系県議に原発アレルギーはほとんどない」はなんだ? 「本来うけいれて当然の安全施設に、過敏に反応している社民・共産」みたいな論調だ。こんな表現を地元紙が平然とつかえる感覚・ふんいきこそ、中央官庁や保守政治家たちに いいように利用される素地なんだとおもう。『琉球新報』とか『沖縄タイムス』が「
多数を占める民主党系県議に米軍基地アレルギーはほとんどない」といった表現がおどることは、ありえない。
●旧ブログ
「プルサーマル」関連記事●「
原子力関係者の一部は、やはりマッドサイエンティスト?」
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『週刊金曜日』(10/2号)の20~21ページには
MOX輸送が頻繁になると、ルート国の日本への非難が高まるだけでなく、核から再生可能なエネルギーへの転換を進める世界的なグリーンニューディールに致命的な遅れを取ることになりそうだ。
緊急署名とネタをかいてみましたにょ。もちろん緊急署名自体はネタではないですにょ。
(以下、転載)
【転送・転載歓迎します】
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下松市の吉岡です。
中国電力株式会社による祝島島民の会など39人の人々への仮処分申請を却下する嘆願書と署名を、山口地裁岩国支部に提出することを考えています。
祝島島民の会など39人の人々の正当性を伝え、市民の声を広く、多く集めて、訴えられている皆さんを少しでも応援することができたらと願っています。
祝島側の証拠書類のような形で提出していただく予定です。
山戸孝さんに相談して、提出日は次の審尋の11月25日に、署名の締切日は11月20日になりました。
個人名以外に、賛同の団体名・店名も募集します。
このようなことは初めてで心細いのですが、「未来につながる生命(いのち)を育てる会」の世話人として、吉岡が呼びかけ人とさせていただきます。
お忙しいことと思いますが、ご協力をよろしくお願いします。
未来につながる生命(いのち)を育てる会
世話人 吉岡すみれ
℡:0833-44-8516
e-mail: sumire-yucca@mx51.tiki.ne.jp
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(転載おわり)
ところで、上記の吉岡すみれさんの名前は、自宅の花畑にスミレが咲いていたことからつけられた名前ですか?
※今回のネタ元は『バオー来訪者』(集英社)です。ところで、以前『バオー』と『変態仮面』をくみあわせた同人誌があったが、いまにしておもえば買っておくべきだったにょ。海江田四郎がコミケに登場して表現規制派(ポーカーサミットに参加した各国首脳)と対決する同人誌を買いそびれたこととおなじくらい後悔しているにょ。
たんぽぽ舎より
転送歓迎です
12/17『プルサーマルともんじゅ』なぜ強行か?-講演会のご案内です
『プルサーマルともんじゅ』なぜ強行か?
原発推進の破産と日本核武装(隠された狙い)
講 演:広瀬 隆(作家)、槌田 敦(物理学者)
映 像:「上関原発反対」・25分
日 時:12月17日(木)18:00~21:00
会 場:明治大学リバティータワー地下1階1001室
(JR御茶ノ水駅・御茶の水橋口下車5分)
九州電力が反対の声を押し切って佐賀県で日本初のプルサーマルを強行した。原発の余裕度が減少し、危険度が増えると指摘されているのに。原発の危険度にプラスして、プルサーマルの危険が上乗せされる。2010年は中部電力浜岡原発4号機、2月に四国の伊方原発3号機、関西の高浜原発3・4号機の三ヶ所が予定され、日本列島の原発事故危険度が高まる。特殊原子炉「もんじゅ」も来年2~3月運転再開が強行される予定。14年間休止していた原発を再開する例は、日本中どこにもない。世界でもない。危険でムダで無謀な行動だ。
隠された狙い-日本の核武装の狙いも含め、
的確に批判する講演会です。
祝島の最新映像を上映。(上関原発反対・25分)
資料代:800円
共 催:核開発に反対する会(TEL 03-3261-1128 午前中)
いろりばた会議(たんぽぽ舎気付 TEL 03-3238-9035)
現代史研究会
連絡先:たんぽぽ舎(TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797)
「河北新報」記事から
東京電力が福島第1原発3号機(福島県大熊町)で計画するプルサーマルで、福島県の佐藤雄平知事は6日、耐震安全性などの3条件が満たされたとして「プルサーマルを受け入れる」と正式に表明した。プルサーマル用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料は今月中旬、3号機に装荷され、9月下旬に発電が始まる予定。国内では九州電力玄海原発(佐賀県)、四国電力伊方原発(愛媛県)に続き、3基目のプルサーマル実施となる。
佐藤知事は今年2月、(1)耐震安全性(2)高経年化対策(3)MOX燃料の健全性確認―を条件に、プルサーマルに同意する考えを示し、県原子力発電所安全確保技術連絡会が3条件の検証作業を続けていた。
県は6日、佐藤知事も交えて原子力関係部長会議を開き、技術連絡会の担当者が「問題点は確認されなかった」との審議結果を報告した。佐藤知事は「報告を了承する。3条件は満たされた」とプルサーマルへの同意を表明。「国の原子力政策に追従せず、立地自治体として、国や東電の取り組みを厳しく確認していく」とも強調した。
福島第1原発でのプルサーマルは1998年、全国で初めて地元同意を得たが、東電の原発トラブル隠しなどで、福島県が2002年に白紙撤回した。県は立地4町の要請を受けて昨年7月、7年ぶりに議論を再開していた。
3号機は現在、9月下旬までの日程で定期検査に入っており、定検中に32のMOX燃料集合体が装荷される。1体60本の燃料棒で構成され、うち44本がMOX。3号機の燃料集合体は全部で548体で、核燃料全体に占めるプルトニウムの量は5.5%程度になる。
東北では、宮城県などが今年3月、東北電力女川原発3号機(女川町、石巻市)でのプルサーマル実施に同意している。
2010年08月07日土曜日
時事通信 9月18日(土)13時0分配信
東京電力は18日、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使用するプルサーマル発電を実施するため、福島第1原発3号機(福島県大熊町)の原子炉を起動したと発表した。プルサーマルは同社としては初めてで、国内では九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)、四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)に続き3例目。
当初は17日夜の起動を計画していたが、非常時に原子炉内に水を供給する弁の開閉状況を知らせるランプが点灯する不具合が発生。原因究明のためにずれ込んだ。
東電はこの日午前10時20分、3号機の制御棒を引き抜いて原子炉を起動。午後には核分裂が連続して起こる臨界に達する見通しで、その後徐々に出力を上げて発電を始める。国の検査に合格すれば、10月26日から営業運転となる。
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