原発の立地 調査も審査も甘すぎる(1月15日) 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発の立地をめぐり、東電が実施した地質調査が極めてずさんだった問題が浮上している。
東電の間違った調査結果が、厳格であるべき国の安全審査を素通りしていた事実も明らかになった。
原発立地の適否を判断する地質調査がなおざりでは、原発への信頼が根底から揺らぐ。国の審査は妥当だったのか、その検証も欠かせない。
問題になっているのは、東電が一九七○年代から八○年代にかけて、同原発の建・増設のために実施した海底断層の音波探査調査だ。
東電が国に提出した同原発2-7号機の設置許可申請書は、「原発の半径五十キロの沖合には活断層は一本しかない」という内容で、これがそのまま国の審査をパスしていた。
ところが、原発周辺の活断層は実際には七本あった。長く連なる断層を短い断層と過小評価していたことも、二○○三年の自社の再調査で分かった。
東電はこの事実を住民に公表せず、報告を受けた国も黙認していた。 活断層は直下型地震を起こす可能性もある。重要な情報を公表しなかった東電と国の姿勢に首をかしげる。
地元住民から「隠ぺい体質そのものだ」と批判されても仕方あるまい。
東電の調査は、地層構造についても間違っていた。大きな地震が起こりうる「逆断層」を、比較的小さな地震を起こす「正断層」と評価していた。
地質学の専門家であれば、間違えるはずのないことだ。国が、東電の初歩的ミスすらチェックできなかったことに暗然とする。
見逃せないのは、1号機の安全審査を担当した国の審査部会が、議事録を保管していなかったことだ。
議事録を何らかの理由で廃棄してしまった可能性があるという。
全国の原発の審査記録はすべて残っている。1号機の議事録だけがないというのは、いかにも不自然だ。
東電のずさん調査を見抜けないようでは、国の審査方法そのものに問題があるのではないか。
地質や地震など外部の専門家を審議に加え、断層調査の客観性と科学性を高める工夫が必要だ。
全国のほかの原発でも、東電と同様のずさんな調査や審査の甘さはなかったのか。電力会社による過去のデータの徹底的な洗い直しが急務だ。国の審査過程の透明化も欠かせない。
国は○六年、原発耐震指針を改正した。北電を含む電力各社は、新たな地質調査を実施し、新基準に基づいて原発の安全性を再評価中だ。
国と電力会社には、専門家の知見を踏まえた科学的判断を住民に開示していく責務がある。それなしに原発への住民の信頼は取り戻せまい。----------------------------------------
■柏崎刈羽原発にかぎらず、そして新潟県中越沖地震にかぎらないが、活断層やプレートによる震災と、それに対応できるだけの耐震設備がととのえられているかどうかあやしいことは、
旧ブログで再三かいてきたし、
このブログも同様だ。■かれらには、専門家でもいたしかたないミスといった次元ではなく、「はじめに結論ありき」という、非科学的思考過程がまずあり、批判・疑念に対しては、科学をよそおった批判=最大限の合理化が展開されるだけという(ときに、そういった自覚がない)、おさむい科学者の実像(「無邪気で危険なエリートたち」にしめされる、典型的な被害妄想)が露呈しているのだろう。
■地震大国ニホンのうえに鎮座まします原発大明神は、まさにハラハラドキドキの崇拝物といえる。なにしろ、地域の「活性化」の特効薬なのだから。
●「
断層調査、大半を過小評価(東京電力)」
●「
中越沖地震前から不等沈下・「豆腐の上」「断層見逃し」柏崎刈羽原発(JANJAN)」
●「
転送:柏崎刈羽原発停止を求める坂本龍一さんたちによる呼びかけ」
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同NPOは活動内容もエゲツナイですが、「持続可能」などという盗人たけだけしい名前も素晴らしいですね。『週刊金曜日』(2008年1月11日号)には「そもそもこの一〇年(?)で私たちは言葉を簒奪されすぎた。『自立』しかり『共生』しかり、『地域福祉』に『社会連帯』に『参加型』『支え合い』『改革』……。『自立と共生』が福田康夫政権のスローガンに掲げられながら、その指示内容は障害者自立生活運動の『自立』とも、滞日外国人などとの多文化共生に向けた『共生』とも、なんの関係もない。」(24ページ)とありますが、「持続可能」という言葉も反人権派に簒奪されつつあるように感じます。
核のゴミの最終処分場は、2600年以上持続した(ことになっている)天皇家のおわします皇居にこそふさわしい。もちろん、大がかりな施設をつくなくても、どんな風向きになっても「神風」で制御できるので一切の技術は必要なし!一瞬たりとも不安を感じた、これを読んでいるエセ右翼よ、陛下に対して失礼にもほどがある!即刻自害せよ!
原発関連施設を宮城(キュージョー)へ
『中日新聞』から
2008年1月22日
昨年七月十六日に起きた新潟県中越沖地震から半年。想定外の揺れで大きな被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所は耐震安全性を中心に調査・検討作業が続いている。経済産業省原子力安全・保安院は十二日に地震後初めての住民説明会を開催。作業状況や対策を伝えたが、住民からは技術的な安全性への不安以上に保安院の指導・監督体制の不備や「地元の思い」との隔たりに対する強い不満の声が上がった。
会場はJR柏崎駅から歩いて約十分の柏崎市民プラザ。周辺の商店街の歩道は至る所に隆起があり、地震の影響をとどめていた。雪が舞う中、集まった約三百人の住民で席は埋まった。
説明会は薦田康久院長のおわびで始まった。地震発生後の情報提供の遅さや連絡のまずさ。住民の関心が高かった原発沖合の活断層を公表しなかった認識の甘さ。過去の安全審査の情報公開の不十分さ。これから始まる住民の追及を見越したように、保安院の不手際、ミスを列挙し、「申し訳ありませんでした」と何度も頭を下げた。
耐震設計を上回る揺れに襲われた柏崎刈羽原発だが、原子炉を「止める」「冷やす」、放射能を「閉じ込める」-という安全確保の基本はほぼ守られた。住民が不安を募らせたのは黒煙を上げて燃える変圧器の火災だった。保安院は自衛消防体制や情報連絡体制の強化などの対策を説明したが、住民は「地元は以前から消防体制の不備を指摘していた。保安院は今まで何をしていたのか。危険性を予測して対応するのが役割ではないのか」と、保安院の責任をただした。
原発敷地の地盤の弱さを心配する住民は「補強工事で強化できるのか」「軟弱地盤に原子炉設置を認めた当時の安全審査の判断は誤りだ」との意見が出た。このやりとりの中で保安院は「今回の地震は想定した地震動を大きく上回っており、当時の評価は十分ではなかった」と認めた。
三時間を超す説明会を終えた薦田院長は「地元の関心の高さを強く感じた。今後も(説明会を)何度でもやっていきたい」と話した。だが、会場のあちらこちらに制服姿の警備員が配備されていたため、女性住民は「このものものしさは何か。穏やかに静かに暮らしている住民を威圧するような雰囲気はおかしい」と発言。運営方法や国の姿勢に不信をぶつけた。
「柏崎刈羽原発の新たな基準地震動:内容と審議の大きな欠陥」
新聞に「(小委の)議論は平行線。(中略)関係者によると、技術委で『小委員会でこれ以上の議論の発展はない』と見なされた場合、小委開催を中断する可能性もある。そうなった場合、発言の機会を失う小委委員からの反発も予想される」という記事があったが、もし小委委員長や新潟県の事務局が、真っ当な議論と科学を逸脱した発言を「平行線」などとして審議を打ち切ったら、柏崎刈羽原発と原発行政に対する県民の不信を高めるだけだろう。
『毎日新聞』1月25日号23ページより
(中略)
道の先行例を見ると、国の審査に1~2年かかるほか、燃料の製造に半年以上、輸送に約2カ月が必要なため、北電の目指す10年度中のプルサーマル計画実施は難しい状況だ。
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