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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム49

■「生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム48」のつづき。■今回も、原田和明さんの「毒餃子事件報道を検証する」を転載(リンク・改行等、かってに追加も、いつもどおり)。一部、あきらかなモレを補足してある。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
世界の環境ホットニュース[GEN] 708号 09年04月11日
……
毒餃子事件報道を検証する【第47回】     
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
毒餃子事件報道を検証する 原田 和明

第47回 「箱の外から注射」実験

 中国で毒物の混入方法に関する検証実験が行なわれていたことを、4月2日の毎日新聞がスクープしました。毒物は段ボール箱の外側から注入されたとの想定の下で、中国の公安当局がその検証実験を政府系研究所で行なっているというものです。この記事が、天洋餃子横流し事件の取材に熱心だった共同通信・読売新聞ではなく、なぜ毎日新聞から出たのか? との疑問もさることながら、日本のメディアが「注射器で毒物注入」の可能性に言及したのは初めてのことで画期的です。ところが、毎日新聞以外のメディアは、このスクープに対してまったく反応を示しませんでした。対応が分かれた背景には何があるのでしょうか?


 毎日新聞の記事は以下の通りです。(以下引用)

<毒ギョーザ事件>箱の外から注射…中国当局、裏付け実験
4月2日2時31分配信 毎日新聞

石家荘(中国河北省)浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる
中毒事件で、中国公安当局が、製造元「天洋食品」(河北省
石家荘市)の冷凍庫に保管されていた製品について、包装し
た段ボール箱の外側から殺虫剤メタミドホスが注射器で注入
されたとみて、北京の政府研究所で裏付け実験を進めている
ことが分かった。同社関係者が1日明らかにした。

 裏付け実験を実施しているのは中国国家 品質監督検査検疫
総局 傘下の中国検査検疫科学研究院。工場の冷凍庫内と同じ
温度条件で、ギョーザの入った段ボール箱の外側から注射針を
刺してメタミドホスを注入し、ギョーザや包装袋への付着状況を
調べている。

実験では、メタミドホスを溶かし込んだ溶剤の種類や温度条件
によって包装袋に破損がなくても内部のギョーザが汚染される
ケースが確認されたという。これを受け、公安当局は注射器を
使った毒物混入方法に捜査を集中させている模様だ。

 日本国内で昨年1月、メタミドホスが検出された同社製の
ギョーザの包装袋に小さな穴や針でひっかいたような傷が
発見され、外部からの混入が疑われた。しかし、同2月に
大阪府枚方市のスーパーから回収されたギョーザ1袋では、
穴や傷がない未開封袋の内側からメタミドホスが検出され、
一転して包装前の混入が疑われた。

 同社関係者によると、中国公安当局は昨年秋以降、冷凍
庫を管理する同社社員数人を断続的に拘束しており、注射
器を使った混入方法についても事情を聴いている模様だ。
捜査当局は容疑者をほぼ社内に絞り込んでいる模様だ。
日本政府関係者は注射器を使った裏付け実験について「公
式ルートでは中国側から説明を受けていない」と話している。
(引用終わり)


 中国側の実験とはいえ、日本のマスコミが「メタミドホスが注射器で注入された」との仮説を報道したのは初めてです。これまで日本のマスコミは、数々の証拠があるにも関わらず敢えて注射器の可能性には触れずにきました。それは、今まで警察庁が主張し続けていた「製造段階混入説=中国国内での毒物混入」を根底から覆すことになりかねないためではないかとの推測をこれまでにも紹介しました。

 製造段階混入説に否定的だった中国公安当局は、当初から注射器には着目していたのではないかと思われますが、これまで公式には、注射器使用の可能性に言及したことはありません。その中国で、「流通段階混入説」の可能性を検証する実験としてではなく、元従業員の犯行を裏付ける実験として、この点に捜査を集中しているというのですから、中国公安当局の実験意図は掴みかねます。とりあえず、これまで発表されている「注射器の針穴らしき小さな穴」の事例を列挙してみます。

 まず、2007年12月末、兵庫県のイトーヨーカ堂加古川店での毒餃子事件。この事件では、毒物はメタミドホスと発表されましたが、神戸新聞の記事(第10回、GEN671)並びに被害者の症状から、毒物はチオグリコール酸を含むパーマ液と推定されます。私は、このときの警察庁のチョンボとその隠蔽工作が、その後「製造段階混入説」を強引に主張せざるをえなくなった原因(第11回、GEN672)だと考えています。しかも、当初、穴はなかったと発表されましたが、その後穴が発見されたと訂正されました。(産経新聞より 以下引用)

 中国製ギョーザ中毒事件で、食中毒症状のあった
兵庫県高砂市の家族3人が食べた「中華 de ごちそう 
ひとくち餃子(ぎようざ)」(20個入り)のパッケージの裏と、
ギョーザを並べるプラスチック製のトレーに小さな穴が
開いていたことが1日、同県警捜査1課の調べでわか
った。2つの穴はほぼ同じ位置にあった。

 流通の過程で何者かが有機リン系農薬「メタミドホス」
を注入した可能性も浮上。県警は穴が空いた経緯を調
べている。兵庫県警の調べでは、パッケージの穴は長さ
約3ミリで、トレーの穴は1ミリ程度。発生当初、高砂署員
が目視で確認した際、穴は見つからなかったが、県警
科学捜査研究所がさらに詳しく調べたところ、31日夜に
穴が確認された。

 県警は、家族にも事情を聴いたが「パッケージは1カ所
しか開けていない」と話しているほか、保健所や捜査関係
者にも確認したが、穴が開くような調査はしていないという。
(2008.2.2 産経新聞)

 兵庫県高砂市で中毒被害があった袋には直径3ミリの穴
が見つかり、中のトレーにも直径1ミリの小さな穴が開いて
いた。袋とトレーの穴は、位置がほぼ一致。警察庁は「人為
的に1本の棒で突き刺したような跡」とみている。高砂市の
1袋は殺虫剤が内側に付着しており、穴から殺虫剤が混入
された可能性も指摘された。(2008.2.10 産経新聞)
(引用終わり)


 警察庁は「針」と言えずに「一本の棒」と表現に苦心していることがうかがえます。続いて2007年12月末、大阪府枚方市のスーパーから回収された餃子(兵庫の事件と同じ商品名、毒物はメタミドホス)について。(2008.2.5 中日新聞より以下引用)

 兵庫県警捜査1課は、大阪府枚方市のスーパー「ハッピース
枚方」から回収し、パッケージの外側から有機リン系殺虫剤
「メタミドホス」を検出した6袋のうち、1袋のギョーザの皮と
パッケージ内側からもメタミドホスを検出したと発表。

 パッケージ表面の右下に、左右方向に付いた筋状の傷(長さ
約 1.5ミリ)が見つかり、実験で水分が染み出ることが確認され
た。県警は、袋の外側に付着したメタミドホスが袋の中に浸透
したか、その逆の可能性もあるとみて、付着や混入した経緯を
調べている。しかし、何個の皮からメタミドホスを検出したのか
は不明。筋状の傷と、検出されたギョーザの位置関係も明らかに
なっていない。(引用終わり)


 「筋状の傷と、毒物が検出されたギョーザの位置関係」は毒物の浸入経路を特定するためには重要なポイントであることは誰もが認めるところでしょう。それが不明というのは、兵庫県警の鑑定の客観性に疑問が残ります。(第8回、GEN 669

 これらの「小さな穴」ができた原因について、包装材料メーカー担当者のコメントは次の通りです。(2008.2.10 産経新聞より以下引用)

「針でつついたり、乱暴な輸送をしない限り、穴は開かないはず」。

袋を製造した東洋製袋有限公司(中国)の親会社「東タイ」(東京)
の技術開発担当者は自信を持って話す。袋はポリプロピレソを二層
に張り合わせた構造で、作業員が目視で検品した後、段ボールに
詰めて出荷。仕入れ先に届くまで、この段ボールが開けられる可能
性はないという。

 「想像だが、どこかの保管場所で故意に開けられたとしか考えら
れない」(同技術開発担当者)といぶかしがる。(引用終わり)


 続いて、2008年10月、東京都八王子市、イトーヨーカ堂南大沢店で起きた毒インゲン事件。(毒物はジクロルボス)(2008.10.18 毎日新聞より以下引用)

 警視庁が鑑定したところ、袋の上部には2つの通気口があり、
うち左側の近くに直径約1ミリの穴が開いているのが見つかった。
同庁は人為的に開けられたかどうか鑑定を続け、ジクロルボス
混入との関連を調べる」
(引用終わり)

 これらの事例では、袋の外側から注射器で毒物を注入した後に、店頭に商品を戻すことは可能です。しかし、これらの記事が示すように、毒物の混入に注射器が使われた可能性は早い段階で気付いていたはずですが、それには触れまいとしている様子がうかがえます。さらに、産経新聞(2008.2.10)は、穴はあるのに袋の内側から毒物が検出されない事例があったことを持ち出して、強引に「小さな穴と毒物混入の関係は不明」との結論に誘導しています。(以下引用)

 中国製ギョーザ中毒事件で、天洋食品(中国河北省)が
製造した冷凍ギョーザの商品のうち、小さな穴が開いた袋
が各地で見つかった。有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が
検出されていない商品もあり、殺虫剤混入と穴の因果関係
ははっきりしていない。いつ、どのようにして開いたのか―
―。「針で刺したりしない限り、穴は開かないはず」。袋製造
会社の関係者は首をかしげている。

 殺虫剤が検出された袋に穴が見つかったのは、昨年10月
1日製造の「中華 deごちそう ひとくち餃子」で、兵庫県高砂
市で中毒被害があった1袋と、大阪府枚方市のスーパーから
回収された3袋。(中略)

 一方、殺虫剤が検出されなかった袋からも、穴が見つか
った。宮城県石巻市では「中華 de ごちそう ひとくち餃子」の
袋にホチキスで開けたような4つの穴があった。青森でも「CO・
OP 本場 中国肉餃子」で3袋見つかり、いずれも針で刺した
ような穴だった。(引用終わり)


 こうしてマスコミは「小さな穴」の印象を薄めながら、警察も実際にはあったと見られる針穴をなかったと発表した形跡があります。千葉市と千葉県市川市の事件では、針穴は見つかっていないとされていますが(2008.2.2 産経新聞)、毒物の濃度分布に かなりはっきりした濃淡があると推察される(第14回、GEN675)ことから、注射器で毒物が 混入された疑いが濃厚です。市川市の餃子は完食されているので、注射器が使用されたかどうかは不明です。

 さらに、餃子、インゲン、餅菓子などに 混入されていた 毒物の量はいずれも「何らかの症状は出るが死ぬことはない程度」である、一日許容摂取量の数倍から10倍程度で見事に統一されていましたが、そんな微妙な調整ができるのは理化学実験用の小型注射器を使用するしかないでしょう。

 中国公安省がいうように、袋の外側からの毒物浸透が可能だったとしても、浸透量を一定の範囲に調整することは至難の技です。

 ところで、毎日新聞は情報源を「天洋食品関係者」と言っていますが、包装材料の浸透実験や分析担当機関など工場関係者では知りえないだろうと思われる情報がスクープにはちりばめられていて、今回のスクープは中国公安省あたりからの情報リークではないかと思えるフシがあります。天洋食品に残っているのは、30人ほどのシニア従業員だけで、捜査に協力するためだけに雇い続けられている人たちです。(2009.1.25 デイリー読売オンライン)そんな彼らが、公安当局の実験内容や、ましてやどこで分析されているかなど知るはずがありません。一方、なぜこんな、情報源がばれそうな情報までリークしたのかとの疑問は残ります。

 さらに、中国側が拘束して取り調べているのは冷凍庫の保管係(1.17産経新聞他)ということになっています。冷凍庫の保管係は工場関係者ではありますが、餃子の製造段階には関与できず、したがって密封前の餃子に毒物を仕込むことはできないと考えられます。彼らが毒物を仕込もうとすれば、製品が箱詰めされた後に、箱の外側から注射器で注入するしかないのかもしれません。しかし、「箱の外から注入」という実験では、冷凍庫の保管係に容疑者を絞り込めるわけではありません。

 犯行の手口が箱の外から毒物を注射器で注入したと仮定した場合、毒物混入は、天洋食品の冷凍倉庫での保管中に留まらず、流通段階を経て小売店の店頭に並ぶまでどの段階でも混入の可能性があることになってしまいます。これでは容疑者は社外でも(もちろん中国以外でも)構わないことになります。

 中国の公安当局は何のためにこんな実験を繰り返しているのでしょうか? 中国の狙いは日本との貿易再開のただ一点でしょう。そのためには、元従業員を犯人に仕立て上げてでも、早く事件解決としたいところです。今回の毎日新聞のスクープは「この線で手を打ちませんか?」との中国側からのサイン、あるいは、この線で手打ちした場合の世論の動向を見るためのアドバルーン情報ではないかと推理してみました。「箱の外から注射器で」さらに「袋の外側から浸透することも確認」なら、とりあえず餃子事件での毒物混入方法の説明はつきます。

 「冷凍庫の保管係を拘束して聴取」(1.17 産経新聞他)という情報も、事件発表から1年を節目にして解決したことにしようとの中国側からのサインだったように感じられます。ところがこれに対し、読売新聞と共同通信は翌週に餃子横流し・中毒事件を厳しく追及して、No!をつきつけました。

 しかし、このとき世論は、ほとんど反応しませんでした。もうこの話題には慣れたのか飽きたのかもしれません。

 それと連動するように、今回は、このスクープの関連記事が、他のメディアのどこからもまったく出てきませんでした。ウェブで公開されている首相官邸、厚労省、農水省の定例記者会見でもこの件が質問された記録もありません(4月2日は麻生首相がロンドンで開かれる金融サミットに出席のためか首相官邸では記者会見自体なし。翌日の会見でもこの件の質疑なし)。この件についてマスコミは初めて完全に沈黙を守っています。

 これは昨年8月末の「中国が元従業員を拘束」とのNHKニュースをきっかけに、各社が根拠もないままに我もわれもと書き立てた(第34回、GEN695)ことや、餃子横流し事件とからめて食中毒をことさら大げさに騒ぎ立てた1月末の報道(第46回、GEN707)とは対照的です。続報は、わずかに毎日新聞が同日の夕刊に次のように報じただけです。

中国製ギョーザ中毒:裏付け実験、中国に照会
 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件
で、中国公安当局が北京の政府研究所で殺虫剤混入の
裏付け実験を進めているとの毎日新聞の報道を受け、日
本政府は2日、北京の日本大使館を通じ、中国政府に公
式に照会した。(引用終わり)


 果たして、今回のマスコミ各社の沈黙は 何を意味するのでしょうか? ASEANの会合でタイを訪問中の麻生太郎首相は中国の温家宝首相と4月11日に会談しています。(4.12 読売新聞)毒インゲン事件など明らかに天洋食品の元従業員の仕わざとは思えない事件も含めての真相究明はさておき、世論が落ち着いたことを見越して、日中の政府間で手打ちが成立した、そんな予感がするのですが・・・。

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前回、補足的に『毎日新聞』の記事(2009/04/02)についてふれたが、まだ削除されていないようだ。■期待したとおり、原田さんがとりあげてくれている(まあ、あたりまえだが)。


【かきかけ】
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タグ : ナショナリズム 真理省 1984年 安全 食品 ハイパー独裁 毒餃子事件報道を検証する

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