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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

前ブログ: 『タカマサのきまぐれ時評

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実質「教育ローン」にしては お粗末な、日本学生支援機構

日本学生支援機構(旧・日本育英会)って組織は、実質的に 公的な教育ローン組織のくせに、きわめて中途半端な体質のままだ。


2009年3月23日(月)「しんぶん赤旗」

“奨学金返済3カ月遅れ ブラックリスト化”

学生に同意書強要

大学院生、「脅迫的だ」


個人信用情報の取扱いに関する同意書
個人信用情報の取扱いに関する同意書

 二〇〇九年度日本学生支援機構の奨学金ガイドには次のように記載されています。「奨学金の貸与を受けるには、個人信用情報の取扱いに関する同意書を提出しなければなりません」「同意書の提出をしなかった場合には奨学金の申込資格はありません」。前年度まではなかった記述です。

 「奨学金がないと大学には通えない。同意書を書くしかなかった」と話すのは京都の私立大学に通う一回生のAさん。両親は離婚し、父親と暮らしています。父親は病気で働けず、生活保護を受けています。高校生の時から無利子と有利子の奨学金を利用しています。「将来は不安。返せない人を切り捨てるようなことはしてほしくない」

 同意書に不安を感じ、提出しない人もいます。東京都内の大学院生Bさん(26)は「“同意書を提出しないのは返す意思がないとみなし、継続しない”というのは脅迫的なやり方です」と言います。Bさんは学部生のときから五年間利用しています。現在は博士課程一年。無利子で月十二万円利用しています。アルバイトと奨学金で学費と生活費を支えています。両親は定年退職しており、経済的に頼れません。

 同意書を提出するかどうかはそれぞれですが、AさんもBさんも奨学金延滞者のブラックリスト化に反対しています。


月16万円の生活では

奨学金滞納ブラックリスト化

卒業しても職なく

 政府や機構側は延滞者の増加を、個人信用情報機関への通報制度の導入の理由に上げています。しかし、延滞者の増加(七年で一・四倍)は奨学生が急増(七年で一・六倍)したことによるもので、単年度の返還率は94%、繰り上げ返済を含めれば100%を超えており、機構の業績悪化や奨学生のモラルの低下にあるわけではありません

■1年契約


 しかも、奨学金の延滞理由は低所得が45・1%、無職・失業が23・5%となっています(表・〇六年度機構調査)。経済的な困難が圧倒的です。
奨学金延滞理由

 返済額が四百五十万円、毎月約二万円の返済が二十年続くというCさん(23)は一年契約で働いています。

 月収は十万円。ほかにアルバイトをして、月十六万円で生活しています。年金保険料、必要経費などを払い、奨学金を返済すると自由になるお金はわずかです。

 来年度は契約を更新できますが、次はわかりません。「返せる経済力がない人の場合、ブラックリストに載せたところで、返済ができないことに変わりはありません」

■異議あり

 ブラックリスト化に反対している「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」には、「同意書を提出しなければ奨学金の継続、貸与開始を認めないというのは強制であり、問題だ」「回収率改善の根本的解決策とはならないと思われる」などブラックリスト化反対の声が大学から寄せられています。

 通報制度は二〇〇六年七月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太方針)二〇〇六」で出された奨学金の回収強化の具体化です。政府と機構側は通報制度に続いて、延滞者の高い大学名の公表、延滞九カ月で法的措置、有利子金利上限(3%)の撤廃などをねらっています。

 奨学金は大学生の三人に一人、大学院生の二人に一人が利用しています。無利子が三割に対し、有利子が七割となっています。

 奨学金は憲法と教育基本法の「教育を受ける権利」に基づいており、経済的な理由で学業をあきらめる若者をうまないためのものです。営利を目的に、返済能力のある人だけに融資する金融事業とは目的も貸し出す対象も全く異なります。

 「給付制の創設や無利子枠を拡充し、返済しやすい制度を国がつくってほしい」と利用者や機構の職員らは訴えています。


■関連キーワード

教育
学費問題

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■以前、新聞をにぎわしたのは、滞納が急増して、それが悪質化・蓄積化したために、資金不足が深刻化したので、催促や強制的なとりたてなどに うってでた、って はなしだった。■でも、どうも ようすが だいぶちがう。日本学生支援機構自身の調査結果からは、家族の病気療養などもふくめた経済的苦境が 返還延滞の主要因であって、そういった事情をふまえていながら 3か月延滞でブラックリスト化するということは、弱者イジメも辞さないローン業者と本質的にかわらないことになるだろう。

■「有利子が七割」という以上、これは奨学金とはいえない性格に転化している。2004年度からは、“奨学金Q&A ~機関保証制度~”といった制度がつくられたようだ(「機関保証制度について」)。

機関保証制度

■でもって、「保証料の支払いは原則として毎月の奨学金から差し引く方法になります。これにより、振り込みに行く手間や手数料をかけずに保証料を支払うことができます」などと、これは、完全に かねかしの発想だ。

■しかし、それ以前の もと奨学生=債務返還者については、結局、連帯保証人(父母等)・保証人(おじ・おば等)という、血縁にもたれかかるという、旧時代的な制度のまま。

人的保証制度


■要するに、担保がとれそうにない借金をさせるために、「天引きか、血縁か」って、せまっているわけだ。貸金業に徹することができない、中途半端な性格であることが露呈している。■しかし、「学資ローン」ではなくて、「奨学金」であるなら、無利子が当然だし、「出世払い」(=出世できなかったものからは、むしらない)がすじというものだろう。■経済的困窮者をブラックリスト化するとか、親族にせまるとか、えげつない体質を露呈しないと まわらないような基金しかないなら、「奨学金」のカンバンをおろすべきだろう。
■そもそも親族を連帯保証人・保証人にかぎるって血統原理をもちだすってのは、前時代的だ。返還者が50歳前後になったときに、父母ら親族が全部死去しているばあいだって、そんなに例外的ではないだろう。親族とこじれて 以前、制度上しかたなくなってもらった連帯保証人・保証人と連絡をとりたくない層、奨学金がらみの連絡をされること自体が苦痛だとか、困難な層もいるだろう(たとえば、おやこゲンカ、認知症、破産者、…)。

母子家庭であるとか、交通遺児であるとか、生活保護世帯であるとか、いろいろな経済的困難をおして、大学などに進学したいというのは、別に、経済的先進地域にそだった以上、そんなに だいそれた「せのび」でなどない。■その一方、日本学術振興会・特別研究員みたいな実質上の給与水準の額を保障されない以上、結局奨学金だけで学生生活を維持できるわけでもなく、アルバイトなどとの やりくりで心身ともにくたびれて、カラダをこわすかもしれない。高校時代から頑健でないなら、一層その可能性がたかいだろう。
■だとすれば、「出世ばらい」系の「奨学金」のばあい、あらかじめ「コゲつき」は承知のうえ、って はなしになるのが当然だ。だって、弱者救済のための「奨学金」制度なんだからね。

■それにしても、むかしは、一定期限以内に教育職・研究職の常勤ポストにつくと、5年勤続ごとに3分の1ずつ返還金が免除される、なんて、おかしな制度があった。■これって、<一定期限以内に教育職・研究職の常勤ポストついた層は、奨学金の趣旨にそって社会貢献している>≒<一定期限以内に教育職・研究職の常勤ポストつかない連中は、カネもうけにはしっているか、なまけている>って、ものすごい偏見にもとづいた発想がないかぎり、おもいつかないものだよね。■かんがえてみれば、<エサちらつかせて、社会貢献させよう>ってな、セコい発想で日本育英会といった組織が設立され、それをひきついだのが、日本学生支援機構なんだから、こういった 「ハンパな かねかし業」になりはてるのは、しかたがなかったのかもしれない。
■以前、佐々木賢さんの『教育と格差社会』(青土社2007)で指摘された“失業産業”って、おぞましいモデルをとりあげた(旧ブログ“失業産業”関連記事)。■奨学金で利子をはらわされたり、保証金を天引きされるような大学院生は、常勤ポストにつかないかぎり、アルバイトや(授業準備で「もちだし」がむしろおおい)非常勤講師料などから、返済をつづけるわけで、その意味でも“高学歴ワーキングプア”をこしらえた、文部科学省と、博士課程を「指導」されたきた大学教授さまがたの罪科は、おもたい。公的教育ローンというべき、奨学金制度が、かれら・かのじょらの 不安定きわまりない日常から 利子等を すいあげているなら、それは あこぎ以外のなにものでもなかろう。
■でもって、こういった 公的な詐欺っぽい制度は、「大学生の三人に一人、大学院生の二人に一人が利用し」、うち「有利子が七割」をしめているなら、全然、ひとごとではない。博士課程に、まちがっていってしまった かわいそうな層、なんて カンちがいな同情の次元にはないということ。



●旧ブログ「高学歴ワーキングプア」関連記事
●日記内「高学歴ワーキングプア」関連記事
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コメント

以前、ある大学教員に奨学金を使って大学に行けと奨められ、断ったことがありました。
彼は銀行と組んで貧乏人にローンを売りこむビジネスをやっていたとしか思えません。

知り合いには、日雇い・派遣で働きながら、
大学のときの奨学金返済に苦しんでいるものもいます。
彼はあるところで元大学教員にほめちぎられて、大学院に行くいくと言っています。が、数年連続で落ちています。
まぁこの場合はだまれるほうも変という気もしますが…。

なかまユニオンのブログでも、電話相談をやってみたら奨学金が貧困ビジネス化しつつあるという記事もありましたね。

また橋本健二さんは「貧困連鎖」の中で、奨学金の財源として、
大卒者を雇用する企業と大卒者から税を取る方式を提唱されています。
この案は企業が節税対策として、過剰に大卒者を雇わなくなることをも射程に入れています。
奨学金があっても大学に行けない・行きたくない層も考慮した、いい案だと思います。

同一労働同一賃金(あるいは、長期的にみて何が有利かを検討するための一助として)

先日、某国立大学のベテラン教員(国際経済学専攻)の最終講義というのをききにいきましたが、そのなかで、労働という財は市場での評価(賃金)において均質に評価されておらず、一定期間をへた観測によると、いわゆる低学歴者の賃金は高学歴者のそれにくらべて上昇していない、という指摘がありました。
この指摘は、経験的には気づいているひとも一定程度いるのでしょうが、法学でも経済学でも労働を単一のものであるかのようにあつかってきた以上、法学や経済学の専門家には、労働観の大転換をせまることになる指摘だとおもいます。
そういうわけで、「同一労働同一賃金」という、市民運動のスローガンはわすれてはならないものだとおもいます。

いろいろ

橋本健二『貧困連鎖:拡大する格差とアンダークラスの出現』(大和書房)の書評
■まあ、大学教授さまたちが、教育ローンの てさきにまではならないとおもいます(笑)。■ただ、奨学金制度の変質がかなり深刻化しつつあること、新自由主義的な偏見にもとづいた債務者あつかいが横行しはじめたことは、注視すべきでしょう。
■橋本さんの提言は、重要ですね。まだ、よんでいませんが。

http://blog.goo.ne.jp/jchz/e/b4b82d39ac7678971bd893b6f2e35ed2
橋本さんによる紹介
http://d.hatena.ne.jp/classingkenji/20090216/1234738940


■「同一労働同一賃金」は当然ですが、企業は「同一労働」をさせないとか、「同一労働」をみとめなかったりするので、それが やっかいです。■所詮は、組織内の「イスとりゲーム」における どつきあいでの勝敗問題なので(いや、現実に、しごとができるひと、できないひとは、差がありますけど)、質のちがう仕事の比較という、実に不毛な政治力学も作用しますし。「成果主義」っていう、不毛な制度がその典型例でした。部長級の連中なんて、「おてもり査定」なんですし…。

さすがに、まずいと 判断したらしい

奨学金の返還猶予、4万人から10万人に拡大 文科省
『朝日』2009年5月8日3時2分

 不況で失業するなどし、学生時代に受けていた日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金返還が困難になった人たちのため、文部科学省は、機構が返還を猶予できる人数を現行の約4万人から10万人に増やす。また、親の失業などで急に家計が悪化した在学生のために、年度途中でいつでも申請できる無利子奨学金の貸与人数も、現行の倍の8千人に増やす。

 機構の今年度の奨学金貸与者数は大学生、短大生ら計約115万人で、貸与総額は9475億円。奨学金は無利子と有利子があり、文科省も財源の一部を出している。

 卒業などで貸与が終わると返還義務が生じるが、病気や災害のほか、失業、低所得などの経済的理由から返還が猶予されることもある。文科省によると、経済的理由による返還猶予(最長5年)を認められた人は07年度でのべ約4万人いた。08年度実績もほぼ同じ規模となる見通しだ。

 昨秋からの急激な景気悪化で文科省は「返還困難になる人は、さらに増えるはず。セーフティーネットが必要だ」と判断。機構への貸付金10億円を今年度補正予算案に盛り込み、機構が10万人まで猶予できるようにする。

 機構の奨学金は、入学前に申請する「予約採用」と、入学後に申請する「定期採用」が大半を占める。このほかに保護者らが急に失業した場合を考慮し、年度途中で随時申請できる無利子の「緊急採用」、有利子の「応急採用」がある。昨年度は、さらに「臨時採用」を急きょ新設した。

 文科省は、今年度も随時申請できる奨学金の需要が高いと想定。特に「緊急採用」は税金を原資としており、今回の補正予算案に15億円を計上し、機構の貸与人数を4千人から8千人に拡大する。(青池学)

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