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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム46

■「生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム45」の続報。■前回同様、原田和明さんによる、「毒餃子事件報道を検証する」の転載をおこなうが、この2か月ものあいだの 沈黙をやぶっての問題提起には、一層興味をひかれる。


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世界の環境ホットニュース[GEN] 705号 09年03月20日
……

毒餃子事件報道を検証する【第44回】     
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毒餃子事件報道を検証する 原田 和明

第44回 日中メディアの二面報道(1)

 毒餃子事件報道から1年を前にして、にわかに「中国で元従業員を事情聴取」というニュースが入ってきました。そして翌週には、なぜか今頃になって日本のメディアが「中国で回収されていた天洋食品の冷凍餃子が地元企業の従業員に配布され、昨年春に食中毒が起きていた」と大きく報道しました。

 この報道で面白いのは、日本のメディアも、中国の国営・新華社通信も自国語の国内向けニュースと、英語版ニュースで内容を調整していることです。

 「元従業員の事情聴取」の件は中国側の記事がありませんので、日本側の記事のみ紹介します。中国当局による元従業員に対する事情聴取は次の見出しで報道されました。

ギョーザ中毒事件で元従業員聴取 中国公安当局が数か月間拘束(共同通信)

ギョーザ中毒事件で元従業員を拘束、聴取 中国当局(産経新聞)

中国当局、メタミドホス混入疑いで「天洋」関係者を聴取(読売新聞)

 これらの見出しに「逮捕」とはないものの、読者は逮捕と同等のニュアンスで受け止め、やはり容疑者は中国国内にいたのだと再認識してしまうかもしれません。しかしながら、記事の内容は見出しの印象とは大きく異なり、元従業員たちは事件とは無関係の可能性が高いのではないかと思わせるものとなっています。


中国公安当局が製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の男性従業員ら3人程度を容疑者として絞り込み」、「容疑が固まっていない段階」にも関わらず、彼らに対し「事情聴取のための拘束という形式」を「昨年秋以降数か月間にわたって続け」、その上、彼らの「家族や友人、工場の同僚、自宅周辺の住人らも徹底的に聴取」したとのことです。しかしながら、「元従業員らは容疑を否認。毒物混入を立証できる物証もない」し、動機も見当たらないとのことです。
(「 」部分はいずれも 2009.1.17 共同通信より引用)

 そして、日中双方のマスコミに内外向けの二面性が表れるのは、「中国での中毒騒動」に関しての報道の場合です。回収されていた天洋食品の餃子が、昨年4~6月に中国で再配布(日本側は「横流し」と表現)されて中毒騒動が起きていたことを日本のメディアが最初に報道し、それに対して中国国営・新華社通信が反論の記事を配信しました。

 その報道内容が日中双方とも自国語版と英語版とで異なっていると指摘しているのは岩谷文太氏のブログ「河北省の毒餃子中毒事件 英語・中国語メディアでの報道」です。(http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-188.html

まず読売新聞の記事から。

【北京=佐伯聡士、牧野田亨】昨年1月、日本で発覚した中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)により回収・保管されていたギョーザが、河北省唐山市の「唐山鋼鉄」など複数の鉄鋼メーカーに大量に横流しされ、同年4~6月ごろ、従業員やその家族らが食べていたことが23日、関係者の話で分かった。

 また、別の関係者は、中国国内で6月に起きた中毒事件の被害者が、同省承徳市の「承徳鋼鉄」の関係者4人であると明らかにした。4人は横流しされたギョーザを食べたものとみられ、中毒事件発覚後もギョーザが広範囲に出回るという、ずさんな管理実態が浮き彫りになった。(2009.1.24 読売新聞)


同日の共同通信は次のように書いています。

 中国製ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)が事件を受けて日本に出荷できず、中国国内で回収した大量のギョーザが昨年4~5月、同省唐山市の鉄鋼メーカー・唐山鋼鉄で無料配布され、食べた複数の従業員が下痢などの中毒症状を訴えていたことが分かった。(2009.1.24 共同通信)

 共同通信は同日「工員に福利として配布した『毒餃子』が中毒症状を起こす」との中国版記事を配信しました。これらに対して、中国の新華社通信は当日の夜、次のような反論記事を中国語版ではなく、英語、フランス語、スペイン語版で配信しました。(岩谷氏の翻訳文を転載)

 調査の結果、承徳鋼鉄の従業員が会社が配布した餃子を食べた後に体調の異常を訴えたが、彼等は病院には行かずに休息を取っただけでその後に回復した事が判ったと、河北省人民政府国有資産監督管理委員会のチャン・ジンイン氏はそのように報告した。

 日本の共同通信は土曜日に、日本で食中毒事件に巻き込まれた冷凍餃子が河北省の鉄鋼メーカーに配布され、従業員が食中毒の症状を示したと報じている。

 河北省の唐山鋼鉄の于勇社長は新華社に対し「弊社の従業員が天洋食品製造の餃子を食べているが食中毒になった事はこれまで一度も無い」と述べている。食中毒事件で天洋食品が日本に輸出した餃子を回収した後、河北省の約20社が昨年4月に天洋食品の餃子を購入している。
(転載終わり)

 岩谷氏はこの記事について次のように指摘しています。

 要するに新華社は「餃子を食べて何かあったかもしれないが、大した事はない」と言っている訳で、何となく奥歯に物が挟まったような曖昧な言い方でお茶を濁しています。

 (中国政府は)結局、表向きでは 中毒事件は曖昧に否定しながら、日本のメディアの鉄鋼企業関係者や河北省政府機関関係者に対する取材は容認しており、更に中国公安局からは日本のメディアに対して容疑者拘束という情報も入って来るし、一体今後中国側がどういう落とし所に持って行きたいのか、今ひとつ理解に苦しみます。


 岩谷氏は「理解に苦しむ」と言う一方、「いずれにしても輸出産業に大きく依存した中国が、大口の輸出先である日本の市場から締め出されれば困るのはあちら」と重要な指摘もしています。

 「元従業員を事情聴取」というニュースは、私にとって昨年10月に福岡の米菓メーカーで起きた事件を彷彿とさせるものでした。本連載の第40~41回で、餅菓子の餡にスミチオンが仕込まれた福岡の事件は「福岡県警が職場の人間関係に悩んでいたという架空の従業員を創作し、その人物が犯行を自供して自殺したというシナリオにして早期に事件解決したかのように見せ掛け、世間が少しでも早く忘れてくれるように仕組んだ」との仮説を立てました。

 今回、中国側が「元従業員聴取」の情報を日本のメディアに提供したのは、中国側が福岡県警と同じシナリオで毒餃子事件の解決を演出し、中国側に犯人がいたことにしても構わないから「日本市場への輸出再開」との実利を中国政府がとろうとしたのではないかと思った次第です。

 これに対して、翌週の「中国での回収餃子横流し事件」報道は、日本のメディアが中国側の意図を察知してかどうかは不明ですが、中国側の思惑を打ち砕き、日中の対立を煽ろうとする意図を感じます。「日本が悪いと言えば毒餃子でも食べてしまう中華クオリティな国民」(岩谷氏のコメント)とつきあっていけるのかと日本国民に訴えかけているかのようです。
日本側は「横流し事件」には中国当局の報道規制に問題があったとの指摘もあります。たとえば、

 中国では08年1月に日本で発覚した同社製の中毒事件が大きく報道されておらず、従業員らは危険性を知らされずに食べたとみられる。(1.24 毎日新聞夕刊)

「中国国内での毒物混入はない」と断定した中国当局の発表を信用したためで、同省関係者もギョーザを食べた従業員も危険性について認識していなかったようだ。(1.24 産経新聞)


 しかし、そのような指摘は書いた記者の思い込みに過ぎません。
(以下 2009.1.24 共同通信より引用)

 食べた一部の従業員が中毒症状を起こしたが、ほかの多数の従業員は「日本で中毒を起こした“中古品”をなぜわれわれに食べさせるんだ」と懸念し、封も切らずに廃棄していた。

 昨年1月末に日本で事件発覚後、中国公安省は2月末に中国国内での混入の可能性を否定していた。今回発覚した無料配布は、6月の中国での中毒事件で国内混入が決定的になる前。天洋食品を監督する河北省国有資産監督管理委員会は「安全」と判断、監督下の企業に配布させたが、従業員らは当初から「危険性」を感じていたようだ。

 配布を受けた従業員の中には「食べた。結構おいしかった」(男性従業員)と話す人が半数程度いる一方で、「もらってすぐに捨てた。中毒事件で回収されたギョーザでしょ」(女性従業員)と安全性を疑問視する声もあった。

 また、別の女性従業員は「なぜ日本のお古を中国人が食べなくてはいけないのか。日本人は中毒になるけど、中国人なら大丈夫ということか」と不快感を隠さなかった。
(引用終わり)

「ずさんな管理実態が浮き彫りになった。」(2009.1.24 読売新聞)と書いた読売ですら、英語版のデイリー読売オンライン(2009.1.25 付)では次のような記事を配信しています。(翻訳は岩谷氏による)

 本紙記者が天洋食品製造の10種類の冷凍食品の写真を河北省の唐山鋼鉄の従業員に見せたところ、彼女は直ちに「中華deごちそう ひとくち餃子」の映ったものを指した。

 会社の北門の前で30代の女性は「ええこれです。これに見えます」と言った。彼女はまた「豚肉のごぼう巻き」を指してこれも見た事があると言った。2種類の製品の4袋を無料で与えられたと言う。中国の企業が調理油、米その他の食品を付加給付の一部として配るのは珍しい事ではない。

 唐山鋼鉄の多くの従業員が会社から支給された製品を食べているにもかかわらず、食品が汚染されているかもしれないという噂が広まっていた。32歳の従業員は「製品から許容量を上回る殺虫剤が検出されたと聞いたので、それは食べなかった」と証言した。40代の別な従業員は「その製品が日本に輸出されるための物で、問題が見つかったから私達に配られたと聞いた。だからそれは犬にやった」と答えた。
(引用終わり)

 この記事からも中国当局が日本のマスコミに自由に取材させていることが読み取れます。新華社通信が「横流し事件」を中国国内向けには配信していないのと同様に、日本側メディアもまた、英語版と日本語版では情報を取捨選択している様子が伺えます。

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■一連の報道を、ウラとりしたりするユトリもないので、原田さんが どう分析を展開するか、ちょっと不安をまじえた期待をもって 連載をまっていたが、やはり 報道のありかたは奇妙だ。■そして、中国当局のうごきも解せない。
■毎度毎度のくりかえしだが、こういった報道各社の姿勢は実に不気味。そして、これら報道に、おそらく「洗脳」されてしまっているだろう日本国民の大半の意識、あるいは、そういったリスクに無自覚な社会の鈍感さも、実に不気味。■これなら、情報統制されている。個人情報が常時収集・記録・監視されているという自覚を、一部にせよもちえる 『1984年』(オーウェル)や、東アジアの独裁体制国家群の方がマシかもしれない。「ハイパー独裁」という、田中宇(たなか・さかい)さんの着眼は、何度でも社会に発信する必要があるようだ。
■原田さんの次便をまとう。
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テーマ : これでいいのか日本 - ジャンル : 政治・経済

タグ : 毒餃子事件報道を検証する ナショナリズム 真理省 1984年 安全 食品 ハイパー独裁

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