プロフィール

ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

前ブログ: 『タカマサのきまぐれ時評

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「アジアの世紀」の光と影(田中宇の国際ニュース解説)

■民主党の小沢一郎代表が政治生命をうしなおうと、そんなことは どうでもいいことで、第二自民党的な体質が、政局がらみで利用されただけ。■要するに、これまでに みのがされたきた「不正」が、つごうよく 東京地検特捜部によって急襲されるという、あまりに つごうよすぎるタイミング、という不自然さがうきぼりになるだけだ。■しかし、小沢代表がくちばしった安保体制への言及にからむ、さまざまな政治的背景は、単に「防衛族」のひとり、という次元で かたづけていいわけではない。

“田中宇の国際ニュース解説”の先月の記事と、最新記事から。


“「アジアの世紀」の光と影”

2009年2月24日   田中 宇
 米国の保守系シンクタンク「ケイトー研究所」(Cato Institute、リバタリアン)の上席研究員であるダグ・バンドウ(元レーガン大統領特別顧問)が、外交政策雑誌「ナショナル・インテレスト」に「アジアの世紀が来た」(The Asian Century)という論文を書いた。最初の外遊でアジアを歴訪したヒラリー・クリントン国務長官への、歴訪前の忠告というかたちをとっている。 (The Asian Century by Doug Bandow

 この論文でバンドウは「米国の覇権はすぐには失われそうもないものの、覇権の終わりは、多くの人の予測よりは早く訪れるだろう。21世紀はアジアの世紀になりそうだ」と書き、その上で、日韓などに対して彼がかねてから言い続けてきた「バンドウ節」とも呼ぶべき大胆な主張を展開している。


 たとえば彼は「日本は、世界有数の経済大国なのだから、もはや米国に頼る必要はない」「クリントンはアジア歴訪時、特に日本において、アジア諸国の全体的な責任について語るべきだ。日本は貿易大国なのに軍隊が矮小だ。日本の国是について米国が干渉すべきではないものの、米国が今後もずっと日本の本土と太平洋の航路を防衛し続けるわけではないことを、日本政府に伝えるべきだ」「北朝鮮(拉致)問題などで、日本人の不満は高まっているが、日本がこの不満を解消するには、アジアの安定についてもっと貢献できることを示さねばならない」と書いている。

 バンドウの主張は、日本政府にとって大迷惑なはずだ。
日本政府が拉致問題を重視する真の目的は、拉致された自国民を奪還することではなく、北朝鮮が日本にとって脅威であり続ける状況を長引かせ、戦後の基本方針である対米従属維持するための「永久未解決」を作り出すことである。バンドウはおそらく、この日本側の真意を見抜いた上で「拉致問題を解決したいなら、むしろ対米従属なんかさっさとやめて、米国に頼らないで独自に北や中国と渡り合い、アジアでの外交的信頼を獲得するのがベストだよ」と言っている。

 バンドウは、自国に依存し続けようとするアジア諸国の姿勢を嫌っており、韓国に対しては「北朝鮮をめぐる問題は(米国が深入りせず)韓国に任せてしまうのがよい。もう冷戦は終わったのだから、米軍は韓半島やその周辺(日本?)から早く撤退すべきだ。韓国は、北朝鮮の40倍の経済力と2倍の人口を持っているのだから、米国に頼らず北との問題を解決できるはずだ。(韓国の左派が言う)宥和策が良いか(右派が言う)強硬策が良いかは(米国が指図せず)韓国民が決めればよい。米国は、日韓の協調をうながし、日韓協調で北朝鮮問題を解決させ、台頭する中国の監視も日韓にやらせればよい」と書いている。

 米国の良いところは「人に頼らず、自分で頑張ってみる」という独立精神が旺盛なことだ。リバタリアン(自律論者、小さな政府主義者)は、この米国の理想を特に重視する。日韓では、親米派ほど対米従属に固執するが、バンドウの主張を読むと、実は対米従属は独立精神に欠け、米国から何も学んでいないことがわかる。

 日本の右翼(右派、民族主義者)の多くが、表向きは「民族主義」を掲げつつ、実は正反対の、日本人を腐らせている対米従属体制を維持するための言論を繰り返している。日韓の対立を扇動するのも、日韓相互の対米従属策の一部である。右派は対米従属を棄て、日本人の民族的な自立心(精神的強さ)の回復をうながすバンドウを支持し、朝鮮人を敵視せずに日韓協調を目指すべきである。

 最近の米国が発する覇権衰退のにおいをかぎつけ、北朝鮮の金正日政権は、脅されたくなければ金を出せと言わんばかりに、日米韓の側に対し、強硬姿勢やミサイル試射準備を見せている。米国は、北の強硬姿勢を放置しているので、対米従属の日韓も、右へならえで北の強硬姿勢を無視している。自立重視(主体思想)でやってきた北は、そんな日韓を馬鹿にしている。

 北から馬鹿にされたくないのなら、日韓は、たとえば米国抜きの日韓合同軍事演習を北朝鮮沖の日本海で行うなどして示しをつけ、その上で北との外交を再開するのがよいが、こうした主張は「好戦的で違憲」と却下される。護憲思想も、対米従属の正当化に利用されている。

▼日中は売れ残り米国債を買うか、ドルを棄てるか

 激しいバンドウ節とは裏腹に、実際にはクリントン国務長官のアジア歴訪は「あいさつまわり」「米国の主張を強く出さず、アジアから話を聞くことに専念した」と評されている。むしろ逆に、今回は米国がアジアにお願いして回らねばならない要件があった。 (Hillary says hello to Asia

 それは「今後2年間に3兆-4兆ドルという巨額な米国債を発行するので、中国や日本がそれを買ってほしい」という話である。米国の国務長官が政権就任後、最初にアジアを回ったのは、アジアが冷戦体制を強めた1961年以来のことだが、そこには米国の財政的な事情があった。日本では麻生首相が急遽、ワシントンに招待されてオバマ大統領と会うことになったが、低落する麻生政権の人気を支えようとするこの米国からの思いやりの裏にも「呼んであげるから国債買って」という交換条件がありそうだ。 (Clinton Urges China to Keep Buying Treasuries

 マスコミが対米従属の日本では「米国債を買うべきかどうか」という話は議論になりにくいが、中国ではもっと露骨に米国債の危険さが論じられている。
これまで米国外の投資家が買う米国債は毎年2500億ドル程度で、これは今後2年間に予想される米国債発行額の2割以下だ。米国では今後、消費を控えた国民が貯蓄率を上げるだろうが、そのすべてを米国債購入にあてたとしても、米国債はかなり売れ残る。 (China is right to have doubts about who will buy all America's debt

 最終的には、連銀がドルを刷って作った幽霊資金で売れ残りを引き取るだろうが、これはドルの潜在力を弱める。米国は、できれば売れ残り米国債を日本や中国に押しつけたい。米国債の売れ残りが目立った話になると、既発の米国債の価格が下がり、大量保有者である日本や中国が困る。だから売れ残りを買うしかないだろう、というのが米国から日中への脅し文句である。

 FT紙は2月20日、今後数日から数週間の間に、米国ではシティやバンカメといった大手銀行が国有化されねばならなくなるような、金融大崩壊的な事態が起きると予測する記事を出した(この記事を執筆中に現実になりつつある)。すでに、いくつもの主要銀行が債務超過に陥っているという。このような指摘を読むと、日本や中国が売れ残りの米国債を買おうが買うまいが、もう米金融やドルの崩壊は止められない感じがする。 (Nationalisation is most likely way out of US banking mess) (Bonds sink on Citi nationalization talk

 アジア開発銀行とASEAN+3(日中韓)は、2002年に構想されたが棚上げされていた「アジア共通通貨」につながるアジア共通の外貨備蓄を倍増することにした。ドルの代わりにアジア共通通貨を使う体制へと結びつく「チェンマイ・イニシアチブ」が、久しぶりに再推進される。私が5年前から書いてきた「通貨の多極化」が実現しうる。日中は、支え切れないドルを棄ててアジア共通通貨に向かうしかないと考え始めているかのようだ。 (Asia Agrees on Expanded $120 Billion Currency Pool) (静かに進むアジアの統合

▼自由貿易体制を守れなくなる米国

 いつもの「隠れ」論で恐縮だが、米金融界では、隠れ多極主義的な、故意に事態を悪化させる演技が行われているふしもある。というのは、新任のガイトナー財務長官が先週、テレビに出て金融危機について説明したときに、やたらに不安げな雰囲気を醸し出し「たぶん金融は崩壊しますけど、全力は尽くします」という感じで、ガイトナーがテレビに出ている間に株価が400ポイントも下がったからだ。確かにガイトナーは神経質な青年の雰囲気だが、何年も連銀や米政権の中枢で活躍してきた。こんな初歩的な失態を犯すのは奇妙だ。 (Geithner Gets the Keys to the Henhouse

 アジア諸国はクリントンに「米国は保護主義に陥らないでほしい」「WTOの自由貿易体制を推進してほしい」とも要請した。しかしこれも、米国は守れそうもない。大不況で生活が悪化して反政府的になる米国民をなだめ、怒りの矛先を外国に向けるため、オバマ政権は「アジアなど外国の生産者がダンピングするから米国民が困窮している」というガス抜きをせざるを得なくなりそうだからだ。すでに、米国の景気対策をめぐる米政界の議論では、景気対策で資金を使う際、米国製品を買うことを義務づけるべきだという主張が出て、世界から「保護主義だ」と批判されている。 ('Buy American' Is No Hit in Korea

 アジアが米国に期待していることは、安全保障だけではない。アジアが作った製品を米国民が旺盛に消費してくれることが、多くのアジア諸国の親米思考を維持してきた。しかし、米国は今後しばらくは旺盛に消費できない。長期的に、経済力がどの程度まで復活するかもわからない。 (Asia's leaders want to hear that America still believes in free trade

 今年1月の自動車販売台数は、史上はじめて中国が、米国を抜いて世界一となった。中国は前年同月比14%の販売減の74万台だが、米国は37%減の66万台だった。今後しだいにアジアの製造業は、市場を米国に頼る必要がなくなっていきそうだ。 (China's Vehicle Sales Top U.S. Tally for First Time

 金の切れ目は、縁の切れ目になりうる。米国の余力が失われると、バンドウ流の「アジアの安保はアジアがやれ」という主張が米国内で強まりそうなことと合わせ、米国とアジア関係は今後、目立たないが急速に変質する可能性がある。

▼世界からの撤退傾向に入った米国

 米国は、アジア以外の世界各地でも、単独覇権戦略をすてて地元勢力に覇権を明け渡し、撤退傾向を強めている。バンドウと似た視点から、米国の世界介入策や覇権主義の愚かさを指摘してきた保守派の米言論人パット・ブキャナンは、米国がイラク、アフガニスタン、中央アジア、東欧やグルジア、北朝鮮、中南米などで、反米勢力と対決する姿勢を放棄して不干渉政策に転じていく「長い撤退傾向」に入ったと指摘している。 (The Long Retreat - by Patrick J. Buchanan

 米国は、アフガンではまだ表向きは「これから増派」の姿勢だが、実際には国防総省は「もう軍事だけでは勝てない(タリバンと交渉せざるを得ない)」と宣言しており、これは撤退開始と同義だとブキャナンは書いている。米軍は最近、中央アジアのキルギスタン政府から、同国内で米軍が借りている基地からの退去を命じられた。米軍は今のところ退去を拒んでいるが、これもブキャナンは退却の一つに数えている。私流に言うと、キルギス政府が親米から非米・親露親中に転換したのは、米国が外交戦略の間違いを長く放置してキルギスを怒らせた「未必の故意」的な失策の結果である。

 ブキャナンはまた「ウクライナとグルジアは、もうNATO加盟を許されないだろう」「米国は、チェコとポーランドへの地対空ミサイル配備もしないだろう」と言っている。米国は、パキスタン経由でないアフガンへの補給路を確保するためにロシアに譲歩し、これまでの対露包囲網を放棄しつつあることが、米露間の言動からうかがえるという。

 オバマは、北朝鮮がいくら騒いでも在韓米軍を増強しないだろうし、米国は中南米でも、ベネズエラを筆頭とする反米左翼政権の諸国と折り合いをつけそうだという。これらの転換(挫折)は、オバマ政権になって顕在化しつつあるが、実際の挫折はブッシュ政権下で起きていたと、ブキャナンは指摘している。ブッシュ政権のチェイニー副大統領らが、米国覇権の大木を斧で何度も叩いた末に任期末で去り、謀ったかのように、オバマになってから大木がぐらつきだし、いよいよ倒れそうになっている。

 ブキャナンによると、2000年から08年にかけて、世界経済の総生産額に占める米国の割合は、31%から23%に下落した。2013年には21%にまで低下すると予測されている。中国の生産額は逆に、この間に4%台から9%へと拡大した。この9年間の米国の衰退の速さは、英国が覇権を取って以来(ナポレオン戦争以来)の近現代世界における国家衰退の速さとして突出している。今回の米国の衰退をしのぐ急速な衰退を見せた唯一の前例は、1991年のソ連崩壊だけだという。

 ブキャナンは論文の末尾で、オバマの役目は、戦略的に重要でない地域・分野から、できるだけはやく撤退することで、米国の生産性を早く回復することであると書いている。ここでも、日韓の米軍駐留の余命が短いことが暗に示唆されている。

▼資源大国になる中国、無策の日本

【以下略】
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■おつぎは、その続報“黒船ならぬ黒テポドン”


2009年3月3日   田中 宇
 2月25日、民主党の小沢一郎代表が「日本が自分たちのことを自分たちでやる決意を持てば、米軍が部隊をそんなに日本に置いておく必要はなくなる。おおむね第七艦隊の存在で十分ではないか」と発言した。

 この件について、米国ではほとんど問題にならなかったが、日本のマスコミなどでは「日米同盟をないがしろにするものだ」「米に誤解される」という対米従属派の非難から、「日本の軍事拡大を煽っている」という左派からの非難まで、ほとんど批判ばかりだった。対米従属派と中道左派が呉越同舟の民主党内でも、右と左の両方が小沢氏を批判した


 私は偶然、小沢氏の発言の前日の記事「『アジアの世紀』の光と影」で、米国は覇権を衰退させつつあり、在日米軍がいつまで駐留し続けるかわからないのだから、日本人は自分たちを腐らせている対米従属をやめて自立した方がよい、さもないと、自立的な中国は台頭するのに、対米従属的な日韓は落ち目になる、という趣旨のこと書いた。日本の自立的な防衛力保有に反対している「護憲」の人々も、対米従属派に利用されているとも書いた。 (「アジアの世紀」の光と影

 こうした私の視点からすると、
小沢氏の発言は日本の政治家として妥当であり、彼の主張を非難する人々の方が、外務省などが巧妙に発する対米従属のプロパガンダに乗せられてしまっている。小沢氏は、この発言をする一週間前の2月17日、訪日した米クリントン国務長官に会っているが、もしかすると小沢氏は彼女との会談で、米国が日本から出ていく傾向にあることを察知したのではないか。クリントンは、前出の私の記事で紹介したダグ・バンドウの忠告を守って、米国は日本をずっと庇護下に置き続けるつもりはないと、日本側に非公式に示唆したのかもしれない。

【中略】


▼意図的に曖昧にされてきた日米同盟

 もともと昨今の日米同盟の状況は「日米共同」か「日本は自立の方向」か「日本が米国に従属」なのか、日米ともにはっきりさせていない。米国は、少しずつ日本を自立させたいが、日本は1日でも長く対米従属を続けたいという日米の本音の違いから、日米同盟の状況は意図的に曖昧にされている。だが、テポドン発射や南北開戦といった有事が起きると、曖昧だったものが明確化されざるを得ない。国家的な余力が急速に低下している米国は、日本に自立を求める姿勢を強めるだろう。

「軍産複合体は戦争を欲している」という、よくある見方に基づけば、米軍が米韓合同軍事演習などで北朝鮮を挑発しているのは、朝鮮半島で戦争を起こしたいからだ、という推測もできる。それに、今の朝鮮半島のように緊張と先行き不透明感が高まっている状況下では、戦争は突発的に起こりうる。朝鮮半島で戦争が起きて米軍が出動したら、日米同盟は自動的に強化され、日本の対米従属は安泰になるという考えも成り立つ。 (Starting the Second Korean War?: Doug Bandow

 しかしイラク情勢を見ると、この見方は近視眼的と感じられる。朝鮮半島の戦争は、短期的には日米同盟を強化するが、長期的には米国の覇権衰退を早め、最終的には米軍がアジアから撤退して中国の覇権下に転換することで終わるだろう。米国は戦争だけやって、後片付けは地元の国々に任せかねない。03年のイラク侵攻当時、米国の右派は「これで米軍は永久に中東の警備員となり、イスラエルは安泰だ」と思っていたが、あれから6年後の今、イラク戦争は結局、中東での米国支配の終焉とイスラエルの国家存亡の危機へとつながることが、しだいに確定している。

 米政府は、世界に1000カ所近くある米軍施設のうち、ドイツや日韓などにある施設を閉鎖し、軍事費を節約することを検討している。これらの傾向から判断すると、日本は遅かれ早かれ、軍事政治的に米国から自立した国にならざるを得ない。民主党の小沢代表が言ったのは、おそらくこのことである。 (Start Closing Overseas Bases Now

「オバマはブッシュとは違う」という期待も、まだ人々の間で根強い。ブッシュの北朝鮮政策は、曖昧だった上に「金正日は嘘つきだから交渉しない」という好戦的な極論から「核廃棄を開始しさえすれば、北をテロ支援国家リストから外す」という宥和的すぎる極論へと転換し、日韓など関係国をふりまわした。クリントン新国務長官は、北の核廃棄についてブッシュ前政権よりも具体的で曖昧さを排除した方針を持っていると、訪米した麻生首相が賞賛した。 (Japanese Prime Minister Meets With Obama, Says Economy Complicates North Korea Talks

 米政府の方針としては、ブッシュ政権よりオバマ政権の方がましかもしれないが、置かれている状況は2つの政権で全く異なっている。ブッシュ時代の米国は名実ともに世界で突出して強い覇権国で、単独覇権主義だろうが国際協調主義だろうが、好きな世界戦略を自由に展開できた。

 しかし今の米国は、ブッシュ時代の重過失的な失策の末、覇権崩壊の危機に瀕しており、立場の弱い協調姿勢しかとれなくなっている。覇権主義を貫くと、中国やアラブ産油国が米国債を買わなくなり、米国はまず財政的に破綻する。クリントン国務長官の戦略がどんなに素晴らしくても、米国はオバマ政権の任期満了時には、オバマ就任時よりずっと悪い状態に置かれているだろう。

▼日本も幕末的な大転換期に?

 中国は、すでにこうした米国の状況を見据えて動いている。中国は、北朝鮮がミサイルを試射したら北を経済制裁するだろうと、米国の専門家から指摘(期待?)されている。北は中国から重油や食糧を支援されており、中国から制裁されたらやっていけない。経済問題や中東情勢に忙殺されるオバマ政権としては、北朝鮮を叱ってくれる中国を頼もしく感じているはずだ。米国にとっては、日本より中国の方が役に立つ国になりつつある。こうした状況下で考えると、日本の自立をうながした小沢発言は十分まっとうなものである。 (China to Sanction North Korea in Case of Missile Launch

 私は、小沢氏を礼賛するためにこれを書いているのではない。マスコミや同僚政治家など、彼を非難する他の日本人の「見えないふり」を指摘したいだけだ。国際政治における今の日本の問題の根幹は、対米従属の国是がもう続けられないものになっていることを、多くの人が気づいていない(気づかないように情報操作されている)点にある。小沢氏は「王様は裸だよ」と言ってしまい、まわりの大人たちから叱られる子供と同じ立場だ(私もかつて「アメリカは裸だよ」と書いて「大人たち」からたしなめられた)。

 もしくは、日本の現状は「黒船来航で開国を迫られて大騒ぎする幕末の江戸城の旗本たち」にも見える。殿中の審議で「もう鎖国をやめるしかありませんな」と本音を言ってしまった小沢殿に対して、他の幕臣たちが「なんてことを」「口を慎みなされ」「殿中ですぞ」と慌てて大騒ぎしている。しかし、他の幕臣にもよい知恵はなく、おろおろしつつ、あたかも黒船など来ていないかのように振る舞うばかりだ。

(間もなく北京で行われる日中外相会談で、北朝鮮のことも話し合うようなので、日本政府の現状は、この旗本のたとえのような無能さではないかもしれないが) (Japan, China Seek Agreement Beyond Islands Row

 江戸の旗本(役人)の多くは「鎖国」(政府管理貿易)のほかに「開国」(国際自由貿易)があるとは思っていなかっただろう。同様に今の日本人は「対米従属」ではない選択肢があるとは思っていない。しかし、黒船ならぬ黒テポドンという、たった数発の「太平の眠りを覚ます上喜撰(蒸気船)」によって、日本は今後、幕末的な大転換期に入っていきそうな感じが強まっている。
【以下略】
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田中宇(たなか・さかい)氏の、米国支配層の多極化志向という みたてが、どの程度妥当か、それは、おいておく。■だが、日本の自民党をはじめとする支配層が、米国依存という戦後日本の外交姿勢に いまだ しがみついており、それが極東情勢を相当程度規定していること、しかし、これが いよいよ「終章の序曲」をむかえつつあることは、ほぼ確実だろう。早晩、一極集中の超大国アメリカによる単独覇権は おわりをつげる。その時点で、米国依存体質は、無意味化する。■そういった おおきな うねりと、朝鮮半島情勢は不可分だ。日韓両政府(与党というより官僚層)、および財界は、そういった 大転換点に、早晩直面するほかない。
■その意味では、小沢氏側近の逮捕によって、民主党支持のうねりが しぼんで、自民党が いきをふきかえすといった ながれが画策されたとすれば、後世、こういったドタバタは、完全な茶番劇として、ものわらいになるだろう。■小沢一郎という保守系の世襲議員の政治生命がどうなろうと、しったことではないと、冒頭にかいたが、日本の支配層の人材不足は、めをおおわんばかりの ひどさであり、諸外国もひどいものだが、そういった諸国からも、ものわらいの タネだろう。

■それにしても、リバタリアンに すがりつく、「対米従属」派とは、なんたる皮肉か? いくら、湯水のように「おもいやり予算」が散財される「エル・ドラド ジパング」であろうと、「従属」派にすがられることを甘受するリバタリアンという存在自体が、巨大な矛盾=皮肉なのだから。



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コメント

全然すすまない…

岩波書店の『世界』最新号(7月号)は「非核のアジア」という特集でつ。
でもって、同誌123~131ページには「世界的機運をつかみ、東北アジアに平和メカニズムを」という東アジアNGO共同提言がのっています。んが、しかし、北朝鮮の核実験・日本のミサイル防衛(これは同誌153~162ページが徹底批判しているが)にくわえ、「中国の軍事費は世界2位」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090609-00000028-rcdc-cn)というヤバいニュースがはいってまいりました。でもって、『サンデー毎日』(6.21号)のカラーグラビア(13ページ)および「インサイド中国」(111ページ)では天安門事件をあつかっていましたが、中国共産党が全然態度をかえていないので、これまたイタいですにょ。北東アジアは事態が全然すすまない、のろわれた地域なのですか?つーか、世界のほかの地域もにた様なもの?

「アジアの非核化」なら、中国・ロシアでしょ…

■朝鮮半島北部は、乞食(こつじき)外交のための陽動作戦+外貨かせぎのためのプレゼンとして、ミサイル発射+核実験セットをてばなさないのですから、もともと「はりこのトラ」なのです。白頭山のトラじゃなくて。■したがって、オバマ政権は、中/ロの軍縮こそ推進すべきで、そのためには、まずは、自国が核軍縮しはじめないと。みえるかたちで。
■それからすれば、「天安門事件」なんて、ちいさいかもしれません。擁護するつもりじゃなくて、世界史の波動のなかでの「バランス」(比較考量)という次元で。■中国共産党の体制擁護とは別次元で、北京大学やらの数十人ぐらいの知的エリートの人権よりも、北東アジアの数億人の安全のためにです。

昨年4月出版の本ですが

『計画破産国家アメリカの罠』(ISBN-13: 978-4062154611)という本をよみました。要点は、米国は債務不履行(デフォルト)を宣言し、日本には2010から2011年においてバブルが生じるであろう、ということです。
よかったらご覧になってください。

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