■「
水俣病新救済策、チッソ会長に受諾求め被害者詰め寄る(読売・九州)」の関連記事。■おなじく、『読売新聞』(九州発)の記事から。
“水俣病新救済策、「二者択一迫るのか」訴訟派団体怒りの声” 認定審査を終了し、水俣病発生地域の指定解除へ――。与党プロジェクトチーム(PT)は13日、未認定患者の新救済策法案を3月に提案することを決め、水俣病問題の「真の最終解決」(PT座長=園田博之衆院議員)へ大きく踏み出した。しかし、新救済策は国家賠償請求訴訟の取り下げなどが条件となっており、訴訟派団体は「二者択一を迫るのか」と怒りの声を上げた。ただ、原告の中には「裁判は時間がかかる。新救済策の受け入れも検討したい」と揺れる胸中を明かす人も出ている。
会員1542人が国などに損害賠償を求めて係争中の水俣病不知火患者会(熊本県水俣市、約2200人)は13日夕、緊急に会議を開き「司法救済に基づく公正な認定制度の確立を目指す」として裁判闘争を続ける方針を確認した。
PTは、原因企業チッソが強く希望していた分社化を認めており、大石利生会長(68)は「被害者を切り捨てチッソを救済するのか」と声を震わせた。
会員9人が同様の裁判を起こしている水俣病被害者互助会(同、約150人)事務局の谷洋一さん(60)も「訴訟で問題解決を図っていく」と歩調を合わせた。
PTは法案成立後、おおむね3年以内に新救済策を受諾するか決めるよう被害者に求める方針だ。
水俣市の50歳代女性は「3年で判決が出る」と言われ、3年前に原告に加わったが、いまだ結審にさえ至っておらず、新救済策を受諾したいという気持ちが強まっているという。「生きているうちに私が水俣病の被害者なのかどうか知りたい」と声を絞り出した。
これに対し、新救済策受け入れを表明している水俣病被害者芦北の会(熊本県津奈木町、約270人)の村上喜治会長(59)は「法案がまとまり会員も安心している。早期救済に向け、与野党でしっかりと協議してもらいたい」と歓迎した。
指定解除には反発の声が起きている。新救済策に期待する水俣病出水の会(鹿児島県出水市、約3400人)の尾上利夫会長(70)は「解除は絶対に許せない。認定ができないばかりでなく、水俣病の教訓を発信できなくなる」と批判した。
◇
与党PTの園田博之座長は会合後、衆議院第1議員会館で記者会見を開いた。
「今後の方向性を私の案として提示し、(PTで)ご了解いただいた」と切り出し、チッソの分社化、未認定患者の新救済策の内容を説明。「関係県、環境省、チッソと協議して立法作業を進めたい。3月上旬には提出できるようにしたい」と自信をのぞかせた。
しかし、懸案となる訴訟派の未認定患者団体との交渉には「和解してくれるかどうかが最大の課題」と言葉少な。新救済策よりも高額の一時金を検討している民主党との交渉については「問題を解決したいという意識は野党にもある」と意欲を見せた。
(2009年2月14日 読売新聞)-----------------------------------------
■おなじく『朝日』の記事。
“チッソ分社化「3月上旬法案提出」 水俣病与党PT”2009年2月13日21時49分
水俣病未認定患者の救済問題で、新たな救済策を検討している与党プロジェクトチーム(PT)は13日、原因企業チッソの分社化などのための特別措置法案を3月上旬に国会に提出する方針を決めた。「真の最終解決」を掲げ、水俣病の認定審査を終了させるまでの手順を明文化することも検討しており、被害者団体などは「完全な幕引きになる」と強く批判している。
PTの方針では、救済対象者を公的診断で四肢末梢(まっしょう)優位の感覚障害と判定された人とし、一時金などは基金を通じて給付。救済は「遅くとも3年以内に完了する」と期限を設ける。一時金などの原資と想定されるチッソ分社化後の株式の売却については、景気悪化を受け、救済終了や市況好転まで3年をめどに当面凍結するとしている。
救済策の実施にあたって、「最終解決」を掲げた95年の政治決着時には示さなかった認定審査終了までの手順を明記する方針に踏み込んだ。ただ、04年に国の認定基準とは別の基準での幅広い救済を求める最高裁判決が出され、新たな認定申請者は6千人に上る。今回の救済策受け入れを拒む被害者団体もあり、実際の「解決」には遠い状態だ。
PT座長の園田博之・自民党政調会長代理は「法律を出したから最終解決になるわけでない。認定審査や訴訟の解決などを順次終わらせることが大事だ」と説明した。
水俣病患者連合の高倉史朗事務局長は「水俣病はこれで終わりということになり、今被害を訴えている人、訴訟をする人、これから被害の声をあげるかもしれない人にとっては絶対に許せないと思う」と話した。-----------------------------------------
■与党プロジェクトチームとやらは、いつも あやしいうごきをする。やっぱり、患者・家族がわが、おこるような案をくりだした。要するに、加害企業よりの姿勢ということ。■「
水俣病新救済策、チッソ会長に受諾求め被害者詰め寄る(読売・九州)」で露呈したような企業体質・首脳をかかえる企業のかたをもつ、いかにも
自民党的なやりくち。■患者がわの高齢化という、よわみをもたらしたのは、企業・政府・与党の「共犯」関係だったのだが、それをさらに悪用している。卑劣そのもの。
■以前もかいたとおり、賠償する企業がツブれてしまったは、もともこもないが、だからといって、安易に政府が公的資金で補助するというのは、おかしなはなし。やはり、公害など、さまざまな加害行為に対する補償保険制度が整備されないと、まずかろう。はっきりいって、公害企業の しりぬぐいを、国税の拠出というかたちで国民がひとしくせおうのは、おかしい。保険料負担を転化できるのは、企業の商品を購入する層だけだとおもう。
■それにしても、「プロジェクト・チーム」とやらを「
PT」などと、イニシャル化するのは、感心しないね(旧ブログ
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これは解決ではない
水俣病未認定患者団体「水俣病不知火(しらぬい)患者会」が28日の原告団総会で熊本地裁の和解案受け入れを決め、3万人以上に上るとみられる未認定患者の救済問題は決着へ向かうことになった。ただ、「ノーモア・ミナマタ」を掲げて4年半にわたる裁判を闘った原告らは、和解案受け入れの決断に複雑な思いもにじませた。【西貴晴、結城かほる】
◇国は真に謝っていない/生きているうちの救済を
「反対の方は挙手を」。総会が開かれた熊本県水俣市総合体育館。原告1050人の中で、第1陣原告の男性(83)だけが手を挙げた。「原因企業のチッソや国が、真に患者に謝っているとは思えなかった」からだ。
男性は戦前に水俣に移り住み、旧国鉄水俣駅で働いて定年を迎えた。手足の感覚障害や耳鳴りはあったが、検診を受けそれが水俣病の代表的症状と知ったのは提訴直前。症状が明確だったこともあり、第1陣に入った。
「チッソと、被害拡大を防がなかった国や熊本県に心から謝ってほしい」。男性が裁判にかけた思いだ。しかし今回の救済策は「水俣病問題の最終解決」を掲げ、男性には一時金などで過ちにふたをしようとしているようにも映った。「被害者の命が軽んじられていることが悔しい」。総会後、男性は語った。
水俣市の南アユ子さん(66)は採決を棄権した。国は当初、チッソが水銀排出を止めた1968年までに救済対象を限った。2月の和解協議で子どもが母胎内にあった期間を考慮し「69年11月生まれ」まで延ばすことになり69年6月生まれの次女(40)は救済対象になった。
だが、出生年で救済から漏れる可能性のある原告はまだ12人いる。「裁判を闘ってきたのは全員救済を求めるため。子供たちの代がすべて救われないのでは支援者にも申し訳なく、賛成できなかった」
一方、別の第1陣原告の男性(75)は賛成に手を挙げた。患者会の原告2123人中、既に55人が亡くなった。「和解を拒否して判決を待てば、亡くなる会員も増える」と。
前回95年の政治決着時、男性は水俣市内にあるチッソの取引先会社に勤めていた。救済対象者を判定する検診当日、会社に「検診に行く」と言い出せなかった。悔しさが募り、不知火患者会の提訴を聞いて自ら加わった。
何度も法廷に出て、解決を訴えるビラ配りもした。今回の救済内容に、完全に納得しているわけではない。しかし「ようやく和解にこぎ着けた。判決を待てば、私も生きているか分からない。ここで決着するしかない」。苦渋の決断を語った。
◇「まだ油断できない」…関西の原告ら思い複雑
今回の和解案受け入れについて、大阪地裁に同様の訴訟を提訴している「水俣病不知火患者会」近畿支部の浦田建国(たてくに)支部長(69)=大阪府岬町=は「和解案受け入れは評価したい。しかし大阪地裁ではまだ和解勧告が出ておらず、国が相手なので油断できない」と話した。
一方、現在も行政上の患者認定を求めて熊本地裁で係争中の川上敏行・水俣病関西訴訟原告団長(85)=東大阪市=は「最高裁判決では患者と認められたが、行政は40年間も放置した。患者と認めてほしいという訴訟を起こした意味を考えると、今回の金銭での和解には割り切れない思いもある」と語った。【日野行介】
【関連記事】
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毎日新聞 2010年3月28日 23時37分(最終更新 3月29日 1時49分)
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