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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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囚人のジレンマ/羞恥心/人的資本論

■「派遣業者依存社会の品格」および、「急増する失職者(毎日)」の補足記事。
■おちゃけで、するどい キレあじをみせる社会時評家(経営者らしいけど)、木走まさみず氏(『木走日記』)の 企業の「人員整理」戦略の分析(1か月ちょっとまえ)の一部を転載(2009-01-06 『派遣切りのジレンマ』)。


……
 合理的な各個人が自分にとって「最適な選択」(裏切り)をすることと、全体として「最適な選択」(協調)をすることが同時に達成できないことから、これをゲーム理論では『囚人のジレンマ』と呼んでいるわけです。

 実に興味深いことですが、個別のプレイヤーを支配している戦略が導く最適解は、必ずしも全体の利益には合致しないというこの問題は、実際の政治・経済においても「行き過ぎた値下げ競争」など多くの具体的事例をあげることができるのです。

 ・・・

 で、派遣切りの問題。

 大手16社で33兆を超える内部留保を蓄えたまま、投資家や株主への配当は据え置いて、「派遣切り」などの雇用調整を急ぐ大企業なのでありますが、彼らはまさにある種の『囚人のジレンマ』問題を露呈していると思います。

 『派遣切りのジレンマ』とでも命名しましょうか。

 ゲームの条件は『囚人のジレンマ』とそっくりです。





 全社が内部留保を切り崩しつつ雇用調整を控えれば、全体的な財務体質は弱まるが派遣切りの問題は沈静化する。
 もし自社が派遣切りしライバルが控えれば、自社の財務体質は強化されライバルは弱体化する。
 逆にライバルだけ派遣切りし自社が控えれば、自社だけ財務体質が弱体化しライバルは強化される。
 自社もライバルも両方派遣切りしたら、全体的に財務体質は強化される。
 このような条件下では、個別のプレイヤーを支配している戦略が導く最適解は、当然ながら派遣を切って雇用調整をすることになります。

<大企業Aの判断>
 もしライバルが派遣切りを控えれば、ウチも控えれば全体的な財務体質は弱まる、ウチだけ派遣切りしたら財務体質が弱まるのはライバルだけでウチは強化される、ウチが有利だ、これは派遣切りしたほうが得策だ。
 もしライバルが派遣切りしたならば、ウチが控えればウチだけ財務体質が弱まる、ウチも派遣切りしたら全体的に財務体質は強化される、ウチが不利になることはない、これも派遣切りしたほうが得策だ。
 彼ら大企業が、株主や投資家の顔色ばかり見ている限り、つまり自己の財務体質の強化だけを行動基準にしているかぎり、労働分配率を高めるような振る舞いは決して選択はしないでしょう。

 そして、合理的な各企業が自分にとって「最適な選択」(派遣切り)をすることは、社会全体として「最適な選択」(雇用安定)をすることとは同時に達成できないのです。

 これはまさに社会的責任を有しているはずの大企業の『派遣切りのジレンマ』と呼べましょう。



(木走まさみず)



<関連テキスト>

■2008-12-25 大企業は蓄えてる「内部留保」の一割でいいから社会還元してみては?

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20081225

■2008-11-03 「筋肉質」になった企業が大量の非正社員からクビを切る地獄絵が始まる

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20081103

……

-----------------------------------
■よわきの企業経営者の心理メカニズムについては、ただしい分析だとおもう。■また、よわきな合意をとりつけることで、「筋肉質」をうむとかいう「人員整理」戦術を、重役会議やら株主総会などで主張したい経営者が、えらびそうな論理である。

■しかし、大企業の幹部のおおくは、巨大な「内部留保」をかかえながら、かくしとおそうとしているらしい(株主は、かくすのではなく、「時価総額」が復旧するよう「筋肉質」を誇示してほしいんだろうが)。■要は、「泣いて馬謖を斬る(ないて ばしょくお きる)」ふりをすることで、以前以上に労働強化を正当化でき、自分たちの のちの実質生涯賃金をあげることができるという、算段だろう。「イスとりゲーム」の勝者たちは、敗残者たちの生活設計や老後なんて、関係ない。自分がパイの分配にあずかること、企業がつぶれないことだけが重要だから。
■そして、「市場が縮小する」という「観測」≒「悲観主義という宗教」を修正することなく、あらたな市場開拓の努力をおこたるなら、以上のような選択肢以外ありえないことになる。まさに「市場収縮・信用収縮という悲観主義の囚人たちのジレンマ」だ。
■これに抵抗できる「突破口」は、たった2つのうち ひとつ。■(1) 新規市場を創造し雇用拡大をはかる。■(2) 「『余剰人員』とは、要するに、採用人事の失敗、人材育成の失敗、市場予測の失敗、組織内部の柔軟性の欠如…という自分たち経営者の無能さの産物」=冷厳な現実を直視しないまま、「自分が退職するのではなく、部下をきるという卑劣な手段はとれない」という自尊心・羞恥心が、野蛮を回避する。
■しかし、(1) (2) の どちらか一方でもできるような、誠実かつ有能な企業であれば、「余剰人員のカット」といった、はずかしげもないセリフは くちにしていないはずだから、もともと、連中に そういった能力・倫理観を期待する方がまちがっているのだろう。

■週刊誌等が さわぎたてて、不安をあおっているとおり、実際、こういった低劣な連中がハラにかかえている一物とは、「派遣のつぎは、正社員(部下)」という、「蜘蛛の糸症候群」(石田雄記憶と忘却の政治学――同化政策・戦争責任・集合的記憶明石書店, 2000年)である。この病巣は、「同一労働同一賃金」の原則が貫徹したことのない、おおくの日本企業の体質、人事考査・目標管理が科学化・客観化されることがないことをいいことに、単なる職制上の上位者が実質的な解雇権をにぎっている恣意的そのものの人事制度(要するに、イジメ=パワハラとしての追放)として、いまだに慢性病としてはびこっている。■市場収縮という苦境で「筋肉質」になるとかいうが、なんのことはない、無能なのに たちまわる点だけは こずるいという連中が。少数ではあれ、確実に いきのびる病理は、ここにある。
■その意味では、「成功すべくして成功した事業」は、たしかにあるが、「成功は単なる市場動向の産物による偶然」にすぎない時代に「イス」を確保した連中が、組織が衰滅するまで、やりたい放題寄生しつくすという、不正がまかりとおることになる。

■テレビ局の正職員や管理職たちを、派遣社員との能力差が、生涯賃金とピッタリあっていると豪語できる連中がいるのなら、はっきりいうがよい。■そして、それはテレビ局だけにかぎらない。「一流企業」とよばれる組織の「イスとりゲーム」がフェアプレイにもとづいた能力主義で貫徹している証拠があるというなら、堂々とだせばよい。
■おそらく、巨額の「内部留保」と同様、「同一労働同一賃金」原則が貫徹していない不正義こそ、究極の極秘情報なんだとおもう。これで、「正社員」選抜に、コネなど世襲原理がからまるなら、「身分社会」と大差ないということになる。「競争原理のかわをかぶった身分制」。こういった批判を正々堂々はねかえせる組織がどのぐらいあるか?
■学歴主義とコネ採用。犠牲者は氷河期世代だけではない。
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