■『朝日新聞』(神奈川版)の記事(「●ちゃん 望みかなわず」)から。
……
◇ 専門家から疑問の声
日本では15歳未満の臓器提供が認められていない。移植しか助かる道のない子どもは海外へ渡航せざるを得ないが、各国でも移植を待つ子どもたちが大勢いる中、日本の姿勢には国内外の専門家が疑問を呈している。
臓器移植法は97年に施行され、付則で3年後をめどに全般的に検討を加えるとされたが、今も改正されていない。複数の案が国会に提出されているが、改正の見通しは立っていない。
北村惣一郎・国立循環器病センター名誉総長(心臓血管外科学)は「海外に行くお金が工面出来なければ助からないという日本の現状は医療の平等に反する。子どもは死んでも仕方がないと法で認めているようなものだ」とし、法改正の必要性を指摘する。
●●●●●ちゃんの両親も、10月の記者会見で「なぜ国内では移植できないのかという疑問が先に立った」「日本における移植の現状を考えてほしい」と訴えていた。
日本移植学会によると、法律が施行された97年10月から07年6月までの10年間で、海外での心臓移植を希望した18歳未満の患者は少なくとも90人。移植を受けられたのは51人で、17人は渡航前に、11人は渡航して待機中に亡くなったという。------------------------------------
■この記事は、脳死移植を自明視した医師の発言を一方的にとりあげている。■この医師による「
海外に行くお金が工面出来なければ助からないという日本の現状は医療の平等に反する。子どもは死んでも仕方がないと法で認めているようなものだ」という論理は、脳死という わりきりによって「死亡判定」をはやめてしまうことに疑念をだす論者の意見に、みみをかさない移植手術推進派の一方的見解であるばかりでなく、実に不用意な「不平等」論をだしながら、臓器移植=脳死肯定論を展開している。
■「
海外に行くお金が工面出来なければ助からないという日本の現状は医療の平等に反する。子どもは死んでも仕方がないと法で認めているようなもの」という論理は、当然、「
海外に行くお金が工面出来なければ助からないという第三世界の現状は医療の平等に反する。子どもは死んでも仕方がないと認めているようなもの」という、より普遍的な根源的不平等論をひきだしてしまう。■つまり、この「専門家」の議論は、現代日本社会という、実にせまい時空でだけ「通用」する「人情」にうったえる「正当性」しかもちえない、非・政治経済学的論理である。
■つぎには、こういった一方的な議論を、感情論にうったえることで、読者をマインドコントロールしようとする記事を紹介する。■実をいえば、うえにあげた 『朝日』の記事の前段(前出の記事は、本文の「補足部分」)にあたるのが、以下の記事。
●ちゃん 望みかなわず
2008年12月12日
……
米国での心臓移植手術を間近に控えていた●●●●●ちゃん(1)=●●●●●=が、渡米から5日目の日本時間の11日未明、亡くなった。難病だと分かった今年6月から半年。前日には待機リストの最上位に登録され、カリフォルニアの病院で術前の検査を待っているさなかだった。
(二階堂友紀)
11日午前4時前、「●●ちゃんを救う会」の●●●●さんのもとに、父の●●●さん(●●)から電話が入った。●●●さんは「●●●が亡くなった」と言うと、電話口で泣き崩れたという。
渡米直前、感染症による発熱にくわえ脳出血があることが分かり、主治医や両親らは難しい判断を迫られた。難病の特発性拡張型心筋症と診断された時、宣告された余命は12月まで。移植以外に助かる道はない。「ここまで頑張った生命力を信じよう」と下した、ぎりぎりの決断だった。
11日午前2時前から容体が急変、蘇生処置が1時間以上続けられたが亡くなった。同じように移植を待つ人々の役に立ちたいと、角膜などの提供を希望したが、状態が悪く、かなわなかったという。
●●さんは「皆様のご支援のおかげで、数カ月の間でしたが●●●君に生きる希望が与えられた」とコメント。「残念な気持ちでいっぱいですが、何度も危ない状況を乗り越えて、精いっぱい生き抜いたと思います」と話した。
●●さんらは10月から募金活動を始めた。約2カ月で1億6600万円の目標を突破し、8日現在で1億7110万3206円に達していた。11日で募金は停止された。会計報告と残った募金の使途は決まり次第、発表される。
◆ 希望与えてくれた 両親がコメント
●●●●●ちゃんの両親は11日、●ちゃんと連名でコメントを出した。「●●●は最後まで希望を持って治療を受けることが出来ました。皆様の応援のおかげで、最高の頑張り屋さんでいられました」「未来と希望への道を与えて下さいましたことに感謝しきれない思いです」と綴(つづ)った。
--------------------------------------
■
“臓器移植”については、「
「臓器移植」についての世論調査は、中立的か?」など、
「臓器移植」関連記事でかきつらねた論点以上のことを、つけくわえる必要をみとめない。■患者家族としては、なんとしてでも たすけたいのが人情だろう。それは 充分理解できるし、両親など直近の近親者が自身の移植を志願することにも反対はしない。■しかし、第三者の募金活動をあつめて当然、血縁関係にない人物の死をまつ手術が当然となれば、はなしは別。10年間で50人もの患者が海外で手術をおこなったということは、50億円もの募金があつめられれ ついやされたということを意味するだろう。それが、充分な医療活動がうけられない第三世界、具体的には
ペシャワール会が医療支援にあたっているような地域にまわらずに、日本人児童のためについやされて当然とする見解には、同意できない。■「海外に行くお金が工面出来なければ助からないという第三世界の現状は医療の平等に反する。子どもは死んでも仕方がないと認めているようなもの」という、より普遍的な根源的不平等論に応答する気のない医療関係者の主張する「不平等」論が、どの程度の水準なのか、ちゃんと検討してもらいたい。
●日記内
「優先順位」関連記事
テーマ : 医療・病気・治療 - ジャンル : 心と身体
『毎日新聞』(18日2ページ)によれば
東京新聞朝刊
2009年6月20日 朝刊
民主党の簗瀬進参院国対委員長は十九日の記者会見で、参院に送付された臓器移植法改正案(A案)について(1)二十四日か二十六日の参院本会議で趣旨説明を行い、審議入りさせる(2)修正案や対案が提出されれば、A案と並行して審議する−との方針を明らかにした。参院厚生労働委員会での実質審議は、三十日にも始まるとの見通しも示した。
参院では、自民、民主両党の議員がA案の修正を検討しており、修正点として、三年後の法律見直し規定追加▽虐待児からの臓器提供を防止する規定の新設▽家族への優先提供規定の見直し−が挙がっている。
これとは別に、民主、社民両党内の議員に、現行法を踏襲し子どもの脳死について議論する「子ども脳死臨調」を設置する対案提出を目指す動きも出ている。
万国の小児性愛者、団結せよ。
日本小児科学会(会長、横田俊平・横浜市立大教授)は21日、脳死になった子どもからの臓器提供について検討する委員会を設置したと発表した。小児神経の専門家や法律家など10人の委員が、旧厚生省研究班が00年にまとめた6歳未満の脳死判定基準の妥当性などを検証する。
現行法の法的脳死判定基準の対象は6歳以上。6歳未満は2回目の判定間隔を24時間以上と4倍にする基準がまとまっている。委員会では、科学的データを集めたり、患者家族らからヒアリングを進め、判定基準が社会に受け入れられるかなどについて議論するという。【関東晋慈】
コメントの投稿