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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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【転載】大阪国際空港『不法占拠』は、なぜ補償されたのか(関西学院大学先端社会研究所主催第2回シンポジウム)

■「関西学院大学先端社会研究所メールマガジン」から、シンポジウムの広報部分だけ転載。



先端社会研究所連続シンポジウム第2回
大阪国際空港『不法占拠』は、なぜ補償されたのか
-住民・行政・研究者の立場から-」


概要:
 関西学院大学21世紀COEプログラムをひきついで、今春設立された関西学院大学先端社会研究所の主催する第2回シンポジウム。7月に滋賀県知事を招き開催された創立記念シンポジウムにつづいて、「市民と大学を架橋する」という研究所のメインテーマのもと、今回は、伊丹市中村地区の集団移転事業をとりあげて、この事業のもつ社会的意味について考えたい。
 この中村地区は、第二次世界大戦中に徴用で飛行場建設に従事させられた朝鮮半島出身の人びとの飯場をもとに形成された集落。地区の立地が大阪空港内の国有地に位置したため、戦後半世紀の長きにわたり国からいわゆる「不法占拠」地区とみなされてきた歴史をもつ。しかし、2001年以降の国・県・市と地元自治会とのねばり強い話し合いの結果、このたび、近隣に建設される市営住宅への集団移転が実現した。
 このシンポジウムでは、パネラーの方々に、集団移転までの歴史的経緯や移転事業の進め方、さらには、この事業の社会的意義等について、地元住民・行政・研究者といったそれぞれの立場からご発言いただくとともに、市民・行政・大学との連携のなかから新しい公共的な知を紡ぎだす道を模索していきたい。


日時:10月9日(木)13:30~17:00

場所:関西学院会館レセプションホール

パネラー:
 石原煕勝(伊丹市副市長)
 丹山判同(元伊丹市中村地区自治会長)
 金菱清(東北学院大学教養学部准教授)




コメンテイター:
 日野謙一(伊丹人権啓発協会)
 川上八郎(伊丹市議会議員)
 高橋裕(神戸大学法学部教授)

司会:
 三浦耕吉郎(関西学院大学社会学部教授)


プログラム:
 13:30-13:40 挨拶 先端社会研究所長
 13:40-15:10 パネラーからの発題(それぞれ30分程度)
 休憩(パネラーへの質問アンケートの回収) 
 15:20-15:50 コメンテイターからの問題提起(それぞれ10分程度)
 15:50-17:00 ディスカッション


パネラーのプロフィール:
石原煕勝(いしはら ひろかつ)氏
 1969年本学法学部卒。2002年伊丹市企画部長として中村地区住宅整備検討会の立ち上げに係わる。2005年7月より助役として(2006年度からは副市長として)、中村地区整備協議会の座長を務める。

丹山判同(たんやま ばんどう)氏
 慶尚南道生まれ。中村地区自治会の会長職を36年間にわたって務める。今回の集団移転においては、国・県・市・空港周辺整備機構等と交渉にあたり、事業の円滑な実施に尽力した。現在は、移転先自治会の相談役。
  
金菱清(かねびし きよし)氏
 卒論の研究で中村地区問題と出会う。それ以後十年にわたるフィールドワークと理論研究の成果を博士論文にまとめ、今春、「生きられた法の社会学 伊丹空港『不法占拠』はなぜ補償されたのか」(新曜社)として刊行した。



写真展『空港隣接の町 消滅と再生の物語』:
 先端研ウィークの期間、関西学院会館の1階ロビーにおいて、中村地区の成り立ちや、祭りや日常風景にみる中村の表情、そして移転の前後の地区の移り変わり等々を記録した写真展を開催しますので、ぜひ、ご来場ください。国交省提供による戦後すぐの頃の中村地区の写真など、貴重な未公開写真も展示します。

展示期間:10月6日(月)13時開始/10月10日(金)15時終了



■パネラーの著書(「生きられた法の社会学 伊丹空港『不法占拠』はなぜ補償されたのか」(新曜社))関連の書評記事を「週刊 読書人」から転載。


◇野心的なもくろみ◇
「不法である占拠」が「不法でない占拠」へ
酒井隆史
法の刷新を不可避に要請

金菱 清著
生きられた法の社会学
伊丹空港「不法占拠」はなぜ補償されたのか


【週刊読書人】(2008年7月4日号)

ごく最近まで大阪国際空港(伊丹空港)の中におよそ150世帯400人もの人々が「不法占拠」する地域が存在した。中村地区、在日韓国朝鮮人のコミュニティである。半世紀以上にわたって、凄まじい騒音からはじまる居住条件の劣悪さにさらされてきたこの地域だが、2002年には国と伊丹市によって土地と住宅を提供する画期的な「移転補償」が決定する。

著者は移転補償の決定する以前から、約十年にわたって丹念なフィールドワークを行っている。しかし、本書は、聴き取り調査の積み重ねによる事実の報告やコミュニティ意識の調査といった領分をはるかに越えようとする。もくろみは野心的なのである。すなわち、すべての不法占拠へ、今回の事例に内在する論理、「不法である占拠」が「不法でない占拠」へと転換した論理を拡げるための「社会学的根拠」を与えること、これが課題なのだ。

本書を貫く線を三つに分けてみよう。一つ、「不法占拠」の系譜学。「不法占拠」を正当に扱うには、合法性を宙づりにすることがまず要請される。現時点での登記簿での所有権の水準にもとづく判断は、「不法占拠」の現実も凍結させてしまうからだ。系譜学とはこの凍結を解凍することである。するとあらわれたのが、飛行場建設の労働に駆り出された文脈にある暴力と人々の営み、ある悲惨とその下での人々の生業から生成する「生きられた法」であった。もう一つの線は、この「不法占拠」がいかなる経緯と根拠をもとにして、正統性を与えられ、今回の移転補償となっていったのか。物語や創意を通して、法や権利がこの逆転に活用される動態を捉える。最後の線が、しばしばエゴイズムとして邪悪化される法の外部にある者たちの正義が、いかに法を刷新していくのか、刷新することができるのか、デリダの正義論などを介した理論的な根拠づけである。

本書のもくろみはきわめて貴重なものである。たとえば、公園での野宿者の公園占有について、支援者を前にして、野宿者の公園占拠の正当性の主張を鼻であしらうような態度をとる倫理学研究者がいた。すべて所有権で解決できるし、せねばならない、「公園利用者」との費用便益計算をすべきである、と。しかし、その時、争点となっていた公園では、広大な敷地の片隅に六軒ほどのテントがあっただけである。なにが「利用者」の「便益」なのかもよくわからないのが現実であった。

また、この発想(テレビ的ではある)では「利用者」の経験や考えも損害として括られうるような印象がある。しかし、支援者たちの調査や経験が語るように、実際の「利用者」はさまざまな反応を示しているし、行政の言い分のもとになる「クレーム」の形成にもすべてをそのまま受け入れるにはナイーヴすぎる過程がある。この過程が現時点での合法性によって凍結されたとき、住民対野宿者、一般的に、真面目な人々対悪辣なただ乗り連中といった硬直した構図があらわれる。本書が投げかけるのは、いま倫理は、この凍結を解除する作業なしにありうるのか、という問いだ。

著者のいうように、法の外部を生きる人々は増大し、「例外状態」は常態化している。不法占拠はこの惑星の地表の多くを占めようとしている。いまやこうした現実とその現実を生きる人間たちの「生きられた法」は、法の刷新を不可避に要請しているのだ。著者はフィリピンの不法占拠地域の調査も行っているということである。その成果も期待される。
(さかい・たかし氏=大阪府立大学教員・社会学・社会思想史専攻)



★かねびし・きよし氏は東北学院大学准教授・社会学専攻。関西学院大大学院博士課程単位取得退学。一九七五(昭和50)年生。


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タグ : 不法占拠 伊丹空港

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