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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム37

■「生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム36」の続報。■なお、「08年09月15日」と銘うたれているが、26日の誤記である。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
世界の環境ホットニュース[GEN] 694号 08年09月15日
……

          毒餃子事件報道を検証する【第33回】        
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 毒餃子事件報道を検証する   原田 和明

第33回 突出した朝日新聞のスクープ

 8月31日の全国紙の見出しを列挙します。

 読売新聞「ギョーザ事件、中国側が『国内混入の可能性』に言及」
 毎日新聞「中国が捜査方針転換、「国内混入」を追及」、
 朝日新聞「中国、工場内混入と判断。臨時工ら集中聴取」、

 中国での中毒事件を最初にスクープした読売新聞は、見出しに比べ、内容は今回かなり控えめです。(以下引用)


 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、中国側が
 今月28日、日本の外務省に対し、中国国内で6月
 に中毒を引き起こしたギョーザが中国の一般市場で
 流通していなかったことを伝えてきた際、毒物が
 中国国内で混入した可能性が高いことを初めて正式
 に認めていたことがわかった。

 政府関係者が明らかにした。中国側はこれまで「中国
 で混入した可能性は極めて低い」と中国混入説を強く
 否定しており、自国内での混入に言及するのは初めて。

(引用終わり)


 読売の記事は、中国での事件に限定しての話ですから、前日のNHKニュースの内容を伝えただけにすぎません。「中国側が初めて正式に認めた」と明らかにしたという政府関係者とは誰でしょう? 後で改めて検討しますが、全面否定した外務省の関係者ではなさそうです。次に毎日新聞。(以下引用)

 6月に中国国内でも発生していたことがわかった
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国の捜査
 当局が従来の方針を転換し、中国国内での毒物
 混入の可能性を含めた捜査を進めている。胡錦濤
 国家主席が捜査の加速と真相究明を指示したこと
 を受けたものだ。製造元の天洋食品工場内での
 混入かどうかが、焦点となっている。(中略)

 中国公安部は28日、日本に捜査情報を正式に
 伝達した際、冷凍ギョーザの生産過程を含めて
 調査していることを伝え、事実上、中国国内での
 混入の可能性を認めた。中国の中毒事件のギョ
 ーザが市場では流通しておらず、被害者が天洋
 食品関係者の可能性があることも伝えてきており、
 同社工場内での毒物混入の可能性も示唆した。
 また、日本の中毒事件と同じくメタミドホスが原因
 であることも認め、中国公安部は詳細な毒物分析を
 進めていることも明らかにした。
(引用終わり)

 毎日は「事実上・・・」と断って、「中国が国内での混入の可能性を認めた」ことは新聞社の解釈でしかないことを認めています。読売が言うように、「中国側が『国内混入の可能性』に言及」したわけでも、「毒物が中国国内で混入した可能性が高いことを初めて正式に認めた」わけでもないのです。それにしても、毎日の解釈は大胆で、大雑把です。中国で起きた事件について「冷凍ギョーザの生産過程を含めて調査」することは捜査の基本であって、それを「事実上、中国国内での混入の可能性を認めた」と解釈するとは手前勝手な推測にすぎません。こうして見ると、読売も毎日もNHKニュースに便乗して、外務省のプレスリリースを拡大解釈したに過ぎないことがわかります。

 さて、問題は朝日新聞の記事です。朝日新聞は、6月に中国で起きた中毒事件について、8月6日の読売新聞のスクープよりさらに詳しく伝えています。(以下引用)

 さらに今回、6月中旬に中国内で起きたギョーザ
 中毒事件では、天洋食品が冷凍庫に保管していた
 回収品を同社の関係者が横流しし、それを食べた
 別の4人の同社関係者が中毒症状を起こしたことが
 新たに判明した。公安当局がそのギョーザを鑑定した
 結果、日本で中毒事件を起こした製品と同じ農薬成
 分「メタミドホス」が検出され、その濃度が極端に
 高かったことから、いずれも天洋食品の工場内で
 何者かが故意に混入させた疑いが濃厚と判断した。
 
 中国筋によると、公安当局は同社から押収した消毒液
 のほか、薬物の管理記録や生産管理記録を再度捜査。
 さらに、従業員の出勤状況などが記されている人事
 管理簿や、工場内に設置されている防犯カメラの映像を
 分析した。これまでに従業員55人の事情聴取を終え、
 聴取の範囲を退職した臨時工にまで広げて集中的に
 捜査している。

 中国で発生したギョーザ事件では被害者4人の中に
 子どもも含まれ、重症患者もいるという。横流しした
 天洋食品の関係者は調べに対し、「特に安全性に問題
 はないと思って、冷凍庫から持ち出して複数の知人に
 安値で販売した」と供述している。ギョーザはいずれも
 天洋食品の関係者にしか渡しておらず、中毒を起こした
 4人以外に被害者を確認していないという。

 中国公安省の捜査責任者は28日、日本政府側に対して、
 中国で起きたギョーザ事件の製品は同国内の市場には
 流通しておらず、天洋食品の関係者らの間だけに出回
 っていたと説明していた。
(引用終わり)

 前回述べたように、中国公安部が北京の日本大使館に伝えた情報は「中国での中毒事件は流通していない餃子で起きた」ということくらいで、外務省にはこんな詳しい情報は伝えられていなかったと考えられます。朝日新聞はどこからこれほど 詳細な情報を 入手したのでしょうか? 朝日新聞は 情報源について「中国筋による」(8.31朝日新聞)としており、日本政府関係者ではないことを示唆しています。そして、日本側への情報提供の経緯を次のように説明しています。

 日中双方で起きた冷凍ギョーザ事件について
 説明をしたい。」中国公安省の担当者が電話で
 日本側に連絡してきたのが、北京五輪が終わって
 3日後の27日だった。翌28日に公安省の捜査
 責任者から捜査の進み具合などについて詳細な
 説明があり、日本側と緊密な協力をしていくことを
 約束したという。」
(8.31朝日新聞)

 確かに今回の通報元は中国外交部ではなく公安部で、直接、北京の日本大使館に通報してきたとのことです。(8.28 外務省プレスリリース)7月の通報は、中国外交部→北京の日本大使館でした。(8.11毎日新聞)従って、今回、中国公安部が直接説明したとなると、詳細な情報提供があったかもしれません。しかし、「在北京大使館の公使は捜査の専門家ではないため、一方的な連絡にとどまった」(9.1 毎日新聞)との情報もあります。すると、中国公安省の捜査責任者が素人の大使館員に対して、詳細な説明を一方的にまくしたてたという奇妙な光景になってしまいます。詳細な説明をするとしたら、日本の捜査関係者が呼ばれていないのはおかしなことです。

 それに今回は、中国側が「日本で情報を公開するように」との異例の注文まで付けているのです。中国で秘密にしている中国国内での中毒事件について、中国の捜査責任者が素人の大使館員に対して詳細に説明するとは思えません。外務省は「日本政府として、中国政府からそのような情報の提供を受けたことはない。」(8.30外務省プレスリリース)と断言していることからも今回は外務省に情報隠しがあったとは思えません。ところで、産経新聞社の阿比留記者は、今回だけでなく、8月6日の読売新聞のスクープさえ、日本政府に情報隠しはなかったと言っています。(SANKEI EXPRESS、8月9日「福田政権考」より引用)

(読売新聞のスクープに対して)外交筋は「不自然だ」
 としてこう指摘する。「いったん回収したものを食べる
 なんて信じられないし、ふつう考えられない話だ。そも
 そも、中国側はこれまで、こんな具体的でよくできた話
 は日本に言ってきていない。それなのに突然、日本で
 一番発行部数の多い新聞にリークされた。」

 マスコミは、中国側から7月初旬に「中国国内で中毒
 事件発生」という情報を伝達された後も、政府が1カ月
 にわたりそれを放置してきたと断定的に書いている。
 だが、外交筋によると、そのころ中国側から伝わって
 いたのは、中国がギョーザ事件の捜査態勢を強化して
 おり、何か動きがありそうだという感触レベルの話だった
 という。(中略)

 ただでさえ国内問題について秘密主義の傾向がある
 中国が、捜査途中の情報をあっさり認めるのも珍しい。
 また、こうしたすっぱ抜きの記事が日本の新聞などに
 掲載された場合、いつもは「日本の情報管理はどう
 なっているのか」と文句をつけてくる中国側が、今回に
 限って日本の外務省に何も言ってきていないという。

 7月末の時点では、中国側は「北京五輪が終わるまで
 何もできない」として、ギョーザ事件の進展は 五輪閉会
 後という見通しを 示していたともされる。

 (引用終わり)

 そういえば、産経新聞は今回、他社の報道と比較すると非常に慎重です。「北京五輪終え、中国製ギョーザ中毒事件の捜査本格化」(8.31産経新聞)と、中国側が毒餃子事件の捜査を再開したことを伝えているのみで、中国側が内部犯行説を認めたかのような記載はありません。阿比留の取材によって、NHKニュースの裏付けがとれなかったからでしょう。

 それにしても、「そもそも、中国側はこれまで、こんな(読売のスクープのような)具体的でよくできた話は日本に言ってきていない。」という外交筋のコメントは衝撃的です。その信憑性は、読売新聞のスクープに対して、中国政府が日本の外務省にクレームをつけなかったということから裏付けられそうです。スクープの情報源が日本政府でないことが中国政府にはすぐに理解できたからでしょう。スクープ内容が日本政府に知らせた情報とはまるで違って、極めて具体的だったからだと推定されます。

 さらには、読売新聞のスクープ直後に、日本政府内の見解もバラバラだったことも傍証になるでしょう。その後、見解は次第に統一されていきましたが、阿比留は政府内部で「口裏合わせ」があったと推定しています。高村外相が「政府部内では一定の範囲で情報を共有した」(8.8 産経新聞他)とインタビューに答えていますが、これが「口裏合わせをした」という意味ではないかと考えています。

 しかし、そうなると、中国公安部には読売のスクープは衝撃だったと考えられます。機密情報がどこから漏洩して、日本のマスコミに伝わったのかが大きな関心事だったはずです。中国政府があっさりと、国内のギョーザ中毒事件の発生を認めたのは、読売新聞から新たな情報が示されて、事件発生を認めざるをえない状況に追い詰められることを恐れてのことだったのかもしれません。

 すると、8月6日の読売新聞のスクープの直後に、中国が「国内での中毒事件発生」の事実を認めたことで、日中両政府にそれぞれ課題が生まれました。中国公安部は、読売新聞のスクープ記事を解析して、情報の漏洩元を突き止めようとしたはずです。今度の朝日新聞のスクープにより、さらに絞り込まれたのではないかと推測されます。8月28日の中国公安部からの情報提供は内容が空疎な割に、情報開示の要請という異例の条件付きだったのも、日本のマスコミのスクープを引き出す、中国側の「誘い水」だった可能性を指摘しておきたいと思います。

 日本政府の課題は、突然「何も知らなかったことを、『情報を隠していた』と批判される立場に立たされた」ことです。ノーコメントで押し通すのか、それとも読売のスクープの通り、秘密にしていたことにするのか、なかなか態度が決まらなかったと考えられます。スクープが掲載された8月6日午後5時の定例会見で、町村官房長官がスクープの内容について「コメントしません。」と語っていますが、官房長官の記者会見と同時に行なわれていた外務報道官会見で、外務省は事実関係を 認めた(8.11 毎日新聞)というドタバタ劇があったのも、まだ「口裏合わせ」ができていなかったことを物語っています。

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■毎度のべていることだが、新聞報道は、いろいろな ウラがあり、信用ならないということだ。どんな情報でも「うのみ」は危険なのだが、権威をしょっと巨大な情報シャワーであるだけに、その信頼性が根本からうたがわれるというのは、かなり やっかい。「9・11テロ」直後からイラク戦争までの一連の経緯について、日米のマスメディアが、巨大な隠蔽装置になったのを、おもいだすべきだろう。
■と同時に、原田さんがくりかえしているとおり、新聞各社の微妙な あしなみの みだれを丹念につきあわせると、「資料批判」というか、ウラが すけてみえることも事実。一連のギョーザ事件も、政府による情報統制にもかかわらず、各県警のうごきを報ずる新聞各社の あしなみは微妙にみだれ、ウラをかいまみせてくれた。■県警は、あきらかに なにか かくしている。警察庁などが いとをひいているにちがいない。……といったぐあいに。
■そして、これも毎度のべていることだが、新聞各社が、そろいもそろって、中国悪者論で「一枚いわ」になろうと必死なのは、なぜかだね。政府をおいこむような ヘタをうって やぶれれば、それこそ致命的打撃になるという懸念はあるだろう。■しかし、原田さんたちのように、よみくらべをしている層は ごくわずかにしろいるわけで、「あしなみの みだれ」は、バレている。かくしだてしたって、限界があるわけだ。■そうなると、各社の ホンネが すけてみえてくる。「少々、矛盾があらわになっても、どうせ大衆は いきぎれして、わすれる。それまで、まてばいい…」という、こバカにした わりきりだね。
■実際、大衆の大半は、中国製品に依存している現実を直視することで、不安にかられてはいるが、日本国内犯行説が事実上封殺されたことで、「安心」しきっているようにみえる。「敵は内部にはいない」という神話的思考を強化して、不安をぬぐいさってくれる「物語」にすがっているようだ。■つまりは、こういった共同幻想のうねりをよんだうえで、メディアは適応行動をとっているだけなんだろう。
■してみると、これは、大本営発表のタレながしのみならず、「自主規制」によって、どんどん軍部を増長させていった、ファシズムの一部としての大新聞(『朝日』などもふくめた)の体質は全然かわっていないことを意味しているわけだ。■かれらは、「市民のしる権利にこたえる責務」などと、うそぶくが、なんのことはない、「会社がツブれず路頭にまよわないよう、うねりに適応して、大衆がよろこぶような(「不安」の共有もふくめて)紙面づくりに徹する」という大原則以外、なにも共有していないし、それを脱する気概などないんじゃないかとおもわれてくる。
■こうかんがえてくると、各紙を並列的にロボット検索して配信してくれる、グーグルのニュース・サービスや、それこそボランティアで膨大な情報を収集・整理して配信しつづけるブロガーのネットワークは、ありがたいはなしだ。■問題があるとすれば、原田さんたちのような きれものの議論がメジャーにはならないという現実。大新聞の紙面はもとより、雑誌などにも追跡情報があがらないぐらい、情報統制がガッチリしていることだ。つまりは、大衆の大半は、だまされたまんまで、絶対に覚醒しないってことだね。事態が明々白々になって、政府当局などが ひらきなおるまで、現実がふせられて推移すると。■北朝鮮情勢とか、原発とか、いろんな不安がもたげてくる。■いつもの くりかえしになるが、政府当局やメディア体制全体が、巨大なリスク要因になってしまっている。なにしろ「現実」を体制よりに「加工」してしまって、なまの情報が かくされてしまうんだから。
ジョージ・オーウェルの『1984年』というSF寓話の射程は、ひろい。あと、ダグラス・ラミス氏の『影の学問、窓の学問』がひくSF寓話の宇宙船のはなしもね。

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コメント

原田つながりで…

「原田武夫国際戦略情報研究所公式ブログ」
(http://blog.goo.ne.jp/shiome/)

この、原田武夫氏流の、世界認識のための情報術がおおくのひとに認知されれば、佐藤優氏の影響力もきえ、その佐藤氏をネタにした拙稿(http://harana.blog21.fc2.com/blog-entry-461.html)も過去の遺物となるでしょう。なるべくはやく、そうなってほしいものでつ。

原田武夫さん

■毀誉褒貶(キヨホーヘン)ですね。
■官庁や大企業をやめた、もとエリートが作家活動をはじめるときの手法として、「暴露」系路線をえらぶときがあり、そのばあい、当事者性と信頼性と、両方で問題をかかえることになりますね。■ちょっと警戒的によんでいかないといけないかも。
■まあ、どんな情報にしろ、自己責任でウラとりしないといけないのは、原理原則ですけど。

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