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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム36

■「生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム35」のつづき

■原田和明さん連載の『世界の環境ホットニュース[GEN]』、シリーズ「毒餃子事件報道を検証する」の32回を転載。■あいかわらず、政府やメディアの うごきは、あまりに あやしい。

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世界の環境ホットニュース[GEN] 693号 08年09月14日
         ご意見・ご投稿 → このメールに返信

          毒餃子事件報道を検証する【第32回】        

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 毒餃子事件報道を検証する   原田 和明

第32回 中国が内部犯行と認めた?

 8月31日に 朝日など全国紙が一斉に「中国が、ギョーザ中毒は内部犯行の可能性が高いと認めた」と報じ、その直後に福田首相が辞任を表明しました。これには驚きました。中国が内部犯行説を認めるなどありえないことだと思っていたからです。

 これまで見て来たことから、工場で毒物を混入したという「製造段階混入説=内部犯行説」には根拠がなく、警察庁の創作に過ぎないと考えられます。そして、仙台市喜多方市の事件も含めて一連の毒餃子事件では、メタミドホス以外にも複数の毒物が使われていて、それらを食べた場合、いずれも死ぬことはないが必ず発症はする、という絶妙の混入量だったのですから、綿密な計画をたてて実行されたと考えられます。もしも労働条件に不満があって工場労働者が犯行に及んだのであれば、そのような調整をする必要はありませんし、第一、一般の工場労働者なら、そのような毒物取り扱いの知識を持っているはずもありませんまた、毒餃子事件の狙いは福田内閣の親中政策に対する攻撃だと見ていましたから、ついに福田内閣は食品テロに敗北したのかと、とにかく驚くことばかりでした。

 ところが、いくら調べても、日本国内の大々的な報道に反して、中国政府が内部犯行の可能性を認めたという事実そのものが見つからないのです。

 コトの発端は、8月28日に 北京の日本大使館に対し、毒餃子事件について中国公安部が 新たな情報を知らせてきたことに始まります。読売新聞が 8月6日に「回収された天洋食品製の餃子が再び流通して中国で中毒事件が発生した」とスクープしたのに対し、同日の外務省プレスリリースは、中国側が「毒入り餃子は市場には流通していない」との調査結果を伝えてきたことを明らかにしました。

 ところがNHKは 8月30日昼のニュースで、「中国側が『天洋食品関係者が毒物を混入した可能性が高い』と伝えてきた」と外務省発表よりも踏み込んだ報道をしました。それに対して外務省は即日、「中国政府からそのような情報提供は受けていない」とNHKのニュースを完全否定する発表をしています。しかし朝日新聞その他の全国紙は外務省の否定発表を無視して、31日朝刊で「中国、工場内混入と判断」などと一面トップで報じたのです。さらに、9月1日には地方紙にも波及し、マスコミの「中国が内部犯行の可能性を認めた」という見方が既成事実化してしまいました。

 なぜ、外務省発表とマスコミ報道はこんなに乖離しているのでしょうか? 外務省は中国側からどんな情報を得て、どう国民に伝えたのかから検証していきます。外務省のホームページに掲載された8月28日のプレスリリースは 以下の通りです。



 本28日、中国公安部から在中国日本大使館
冷凍ギョウザによるメタミドホス中毒事件に関し、
以下のとおり通報があった。

 1)中国側は、現在、本年1月末に日本で発生した
  中毒事件と 6月中旬に中国国内で発生した中毒
  事件について捜査を行っており、冷凍ギョウザの
  生産、輸送、販売の各段階を重点的に調査し、
  また、毒物についての分析を行った。
 2)6月中旬に中国で発生した冷凍ギョウザ中毒事件
  におけるギョウザは、市場では流通していない。
 3)できるだけ早く 事件の真相を明らかにするため、
  中国側は、今後も引き続き日本側と緊密な協力を
  維持していく。


 外務省の発表はこれだけです。日本と中国で起きた中毒事件について捜査を行なっているというだけで、中国が内部犯行の可能性を認めたとは読めません。しかし、流通しなかった餃子で中毒が起きたのなら、被害者は天洋食品関係者の可能性はあります。そこで、産経新聞は、「中国の事件は、製造元の天洋食品関係者が食べた可能性がある」とのこれまでの日本政府の見方が改めて裏付けられたとして、「天洋で混入強まる」との見出しで配信しました。(8.29 産経新聞)結論に至る理屈は、

 市場では流通していない餃子
→ 出荷されなかった在庫品
→ 工場で混入

だと思われます。しかし、8月6日の読売新聞は「天洋食品が事件後に中国国内で回収したギョーザが流通し」中毒事件が発生したと報じていますし、産経新聞自身も、「複数の関係筋によると、天洋食品は事件発覚後に流通していた冷凍ギョーザを回収したが、その後市場に再び流通したという」と伝えています(8.7 産経新聞)。中国公安部が「市場では流通していない」と伝えてきた意味は、日本のマスコミが「回収した餃子が再び市場に流通した」と報道したことに対する修正だと思われます。すると、次のようになって、外務省プレスリリースを基に「天洋で混入強まる」という結論にはなりません。

 市場では流通していない餃子
→ 回収された餃子(再流通はせず)
→(日本の)店頭で混入の可能性

 しかし、中毒事件に伴って回収した餃子を工場関係者が食べたりするものだろうかという疑問は残ります。そこで、もうひとつの解釈もできそうです。

 日本への未出荷分を中国で販売
→ 6月に中毒事件発生→ 事件後、回収
→「(今は)流通していない」

 この場合は、輸出港まで出荷されていた製品が戻ってきたなら、「回収した餃子」と言っても間違いではないでしょうし、中国の店頭で毒物が混入された可能性が残ります。従って、被害者の手元に毒入り餃子が渡った経路の解析は重要です。だから、中国側が「冷凍ギョウザの生産、輸送、販売の各段階を重点的に調査」しているのでしょう。外務省発表の内容から「天洋で混入強まる」と結論付けるのは飛躍しすぎです。外務省のプレスリリース以上の情報を握っているのかもしれませんが、記事にはそれ以上の根拠は示されていません。

 ところで、町村官房長官は29日午前の記者会見で、産経新聞のそのような単純な見方に同意してしまっています。中国側が「市場には流通していないギョーザが原因」との調査結果をまとめたことで、製造工場内での毒物混入が強まったとの見方について、「そのように思うのが普通だと思う」と答えています。(8.30 産経新聞)官房長官でさえも一般市民と同じ程度のことしか知らされていなかったのかもしれません。

 町村のコメントで、工場で毒物が混入されたとの見方を政府が追認したことになったのでしょうか。この後、外務省の発表内容とはかけ離れた情報が乱れ飛ぶことになりました。8月30日の昼のニュースで NHKがテレビで次のように伝えました。

 中国製の冷凍ギョーザに殺虫剤の成分が混入
 していた一連の事件で、ことし6月に中国国内で
 起きた中毒事件について、中国政府が 工場の
 関係者によって毒物が混入された可能性が高い
 という見方を日本側に伝えていたことがわかり
 ました。

 ここで注意しておきたいのは、NHKが「中国政府が内部犯行の可能性を認めた」と報じたのは、中国国内で起きた中毒事件についての話であって、日本の事件のことではありません。しかし、それはネットで原稿を確認できたから言えることであって、テレビでみると、「内部犯行の可能性」のテロップだけが印象に残ります。

 それにしても、これまで内部犯行説を否定してきた中国政府が、中国国内の事件だけとはいえ、内部犯行説に傾くには、それ相応の理由があるはずです。しかし、8月28日の 外務省のプレスリリースには、中国国内の事件に関する情報は「再流通したものではない」という以外にはありません。またしても、外務省は情報を隠しているのでしょうか?

 外務省はただちに、夕方の記者会見でNHKのニュースが伝えたような中国側からの通報はなかったと異例ともいえる全面否定の発表をしました。以下外務省のプレスリリースです。

 本日16:45付けで以下の外務省報道発表を発出
 致しました。
 本30日、一部報道において、中国政府が、中国
 国内で起きた中毒事件について、工場関係者が
 個人的な動機で毒物を混入した可能性が高いと
 いう見方を日本側に伝えてきた、毒物が中国国内
 で混入した可能性が高いことを初めて正式に認め
 た旨、報じられているが、日本政府として、中国
 政府からそのような情報の提供を受けたことは
 ない


 外務省はこのように反論しました。ところが、NHKニュースを裏付けるように、共同通信が 8月28日に「中国側の捜査トップが更迭されていた」と配信しています。中国国内では公安省・刑事偵査局の余新民・副局長が捜査を指揮していました。2月、北京で開いた記者会見で、有機リン系 殺虫剤メタミドホスについて「中国内で混入された可能性は極めて低い」と述べ、日本での混入を示唆し、「工場で混入」を主張した日本の警察庁と対立していました。しかし6月に中国でも 天洋食品製造のギョーザで中毒事件が発生したことから、メタミドホスが中国内で混入された可能性が一気に高まり、「事件処理の不手際の責任」を問われ更迭されたというのです。

 読売新聞のスクープのときには、「中国で生産される食品の安全、検査、監督などを行う食品生産監督管理局の局長(42)が8月2日に飛び降り自殺した」と香港紙「星島日報」(電子版)が伝えたと 報じられました。(8.9 毎日新聞)そして、今回の捜査トップの更迭と続けば、中国政府がこれまでの主張を引っ込め、(事実はどうあれ)「工場で混入」を認める方向で調整しているようにも受け取れます。

 ところが、共同通信のウラ付けはいただけません。この情報源について「信頼できる中国筋からの情報」と断っていますが、余・副局長が更迭されたことの傍証として、「北京の日本外交筋によると、日中警察当局者間の協議の場にも出席していない」ことをあげています。しかし、そもそも警察庁がやみくもに「製造段階混入説」を主張し、その証拠を中国側に提示しないという、信頼関係を損ねる行動にでた(第10回、GEN671)ことから、日中警察当局者 間の協議が 成り立たず、4月以降 開かれていない(8.11 毎日新聞)のですから、そもそも出席のしようがありません。捜査責任者の更迭情報も「信頼できる情報」かどうかはわかりません

 それに今回は、外務省が中国からの通報内容を一部なりとも隠しているとは考えられません。なぜなら、8月28日の外務省プレスリリースは、「今度は 中国側からきちんと情報を公表するように伝えてきたから公表した」という経緯があります。(8月29日 高村外相 記者会見、外務省ホームページ)従って、中国側も公開してかまわない情報だけを外務省に知らせてきたはずですし、わざわざ公開してくださいと要請された情報の中に、これまで日本側が主張していた内部犯行説を中国も認めたと読める部分が含まれていたならば、外務省はその部分を隠し立てする必要はまったくないのです。だからこそ、外務省は「コメントできない」ではなく、「明確に否定する」と断言できたのだと考えられます。そして何より、北京の日本大使館に伝えられた情報を外務省は即日公表しているのですから、どの部分を非公開にするかを内部で相談する時間もなかったことでしょう

 産経新聞の阿比留瑠比記者(政治部外務省担当)の取材によると、外務省担当者は、「本来なら、『捜査中のことは答えられない』と言うべきなのだが、このNHKの報道は全くでたらめだ。間違った事実が一人歩きして広まるのはよくないので、明確に否定する」といったことを説明したとのことです。(阿比留瑠比のブログ「国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」8月31日)そして、その日の夕方、阿比留記者の取材通り、上記のような記者発表が外務省で行なわれたのです。どうも、今回は外務省に情報隠しの疑惑はないように思えます。

 しかし、外務省の完全否定にも関わらず、翌31日の全国紙はNHKニュースを追認する記事をこぞって配信しました。

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■1面トップでおおはしゃぎしていた『朝日』をはじめとして、メディアが中国犯人説にしがみつくのは、なんなのだろう? この情報操作のありさまは、中国共産党朝鮮労働党などの独裁国家による『1984年』的な情報統制でないがゆえに、不気味だ。田中宇さんがいう、「ハイパー独裁」だなぁ。■外務省が、政府中枢部と完全に対立し、公然と内部矛盾をきたすような状況も異様だ。


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●「事故米をめぐって、食の安全に対する「縦割り」検疫システムで気になること」(『Like a rolling bean (new) 出来事録』)
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タグ : 毒餃子事件報道を検証する ナショナリズム 食品 安全 警察 真理省

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