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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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小林哲夫『ニッポンの大学』

■新旧ログ双方で大学院生の進路問題などをシリーズでかいた記憶がつよかったため、旧ブログでは、さぞや大学教育について、たくさんの記事をかいたかとおもいきや、さほどでもなかった。■教授という表記がはいった記事はおびただしくあるんだけどね(笑)。
■でもって、大学教授自身による内幕暴露本は、たくさんあるわけだが、そとがわから、データでもって多様性と動向をうつしとろうという第三者的な本というのは、あまりない。■でもって、そういったニーズにこたえるとしたら、石渡嶺司『最高学府はバカだらけ 全入時代の大学「崖っぷち」事情』と、小林哲夫『ニッポンの大学』だろう。
■両者は、実際の読者層(読了してそれなりに満足感をえられる客層)をかなり二分するだろうとおもう。■前者は、「とりあえず はやわかりしたい」「ゴシップ的におもしろがりたい」という層、後者は「まずは、とりあえず客観的であろうとするデータを多面的にほしい」という層に。 ■前者は、副題でわかるとおり、『別冊宝島』シリーズなどの暴露本系のノリであり、全然お上品ではない。表紙おびに、「日本の大学生はみんなバカ 大学はどこかアホっぽい!?」というコピーだけでなく、マンガさえかきこまれている。

つーか 教授 レポートの答え……」「ネットにないっすスよ  マジで

■これは、大学の大教室らしい空間で、至近距離(1メーター未満)ななめまえにたつ 50代後半かとおもわれる男性教員にむかって、めつきのわるい男子学生がはなっているセリフだ。■期末レポートなのかミニレポートなのか、ともかく提出をせまられて(それが過去なのか現在なのか、さだかでないが)、提出できないことをひらきなおる学生のヘリクツが、インターネット上からさがせないという論理だから、関係者はトホホといった感じだろう。■現実の大学では、まずおきない現象だろうが、水面下で無数につぶやかれているセリフだろうことも推測されて、ほほえましいというより、大学教育の自壊作用の惨状というほかない(笑)。
■だから、前者に、きまじめな論旨をのぞむのは、ハナからまちがっている。おちゃらけ本だとわりきる必要がある。■しかし、そうひらきなおってしまえば、これはそれなりに良書といえる。
■たとえば、「終章の バカ学生はバカ学生のままか?」は、なかなかいい記述だし、大学業界関係者むけのセミナー「受験生集めに効果的な情報の隠し方」と、「大学被害者友の会」主催の集会「大学にだまされない大学の選び方」は、かなりの程度大学の内実をえがきだせているんじゃないか? この架空のセミナー/集会の二段組の対比は、みる角度・利害によって、大学が開示する情報が全然正反対になること、こういった「詐欺商法」的な業界のカラクリと、それにダマされまいとするがわの攻防が、かなりわらえる。



【かきたし:2007/12/23 15:40】
■後者は、朝日新聞社がだしている『大学ランキング』の編集に創刊当時からずっとたずさわってきた編集者が、そのデータ収集・分析の経験を凝縮して、世にとうた新書。■冒頭の「はじめに」を少々ひいてみよう。

 偏差値以外のモノサシで大学を評価したい。
 受験生にさまざまな大学を知ってほしい。
 1994年に『だいがくランキング』(朝日新聞社)を創刊するとき、筆者はそんな思いでランキングづくりに励んだ。……


■反応はかならずしも好意的なものばかりではなかったようだ。比較されてよろこぶのは上位校だけだろうし、まあ、予想がつく。■しかし、ながれは急速にかわっていく。

 …大学関係者や文部省(当時)から冷たい反応が返ってくることがあった。「興味本位なランキングは大学の序列を助長するだけで有害無益」と。悲しかった。
 あれから14年たつ。1990年代後半から、大学設置基準大綱化、国公立大学の統合再編と法人化、私立大学の定員割れや倒産、法科大学院設置など、大学は教育や研究の根幹にかかわる課題を次々と突きつけられて、新しい政策を打ち出さなければならなくなった。学部学科の新設や改組、キャンパス移転、他大学との提携など、ほとんどの大学で改革が大きなテーマとなり、大学間での競争を強く意識し始めたのである。
 大学改革を進めるために、『大学ランキング』を活用するところが出てきた。…他大学と比べたとき自分の大学のポジションはどのあたりにあるかを知る術として、ランキングは重宝がられたのである。ある大学では大学院の設置を速やかに進めるため…文部科学省と折衝する。また、別の大学は…学内の予算配分の交渉材料に使うなど、ランキングを戦略的に使うところもあった。
 国の政策レベルでもランキングが重要視されるようになった。…
 『大学ランキング』創刊時にはおよそ想像できなかったことである。…
……
 そこで、原点に戻り、ランキングを通して「ニッポンの大学」の現状を伝えたく、本書をまとめてみた。


■第三者的にみると、意外なデータが浮上しておもしろい。■たとえば、東大ネタから数点とりあげてみよう。
■①2004年のベネッセ教育総研の調査「学生の満足度調査」(p.129)では、「専門的な知識が身につく」というアンケートで、東大は10位にさえはいれない(東大15位、京大16位、阪大・早慶は25位にさえはいれない)。■さすがに「一般教養的な教育が充実している」では2位にはいるが(京大・阪大は25位にさえはいれない)、これは「東大の先生が研究は一流でも教育は、やる気がないらしい」ことを、うらがきしている。教養学部はがんばっているようだが(京大・阪大・早慶の先生方は東大においつけで、教育意欲はなさそう?)。

「高学歴ワーキングプア」シリーズでもとりあげたが、いわゆる研究大学が全国各地の大学を植民地化して、弟子すじを続々とおくりこんできたことは周知の事実。■詐欺商法として問題なのは、そのコネ採用的な側面より、やはり「自校にのこれる・もどれる」的なふんいきをただよわせて大学院進学をすすめておきながら、しっかり母校の学閥人事を実践して(はかばかしい就職指導・援助などはせず)、まな弟子たちをうらぎりつづける点。■しかし、つぎのような東大閥は、単なる個人的暴走というよりは、醜悪さしか感じられない。

 東大の植民地政策はいまに始まったことではない。いや、むかしのほうが大学が少ない分、露骨だった。1960年代の大学、学部新設ブームのときのことであるが、渡辺一夫という著名な仏文学者がいた。彼は東大を定年後、63年に立教大文学部に新設される仏文科に弟子を多数引き連れて就任する。66年には明治学院大文学部に新設される仏文科にやはり弟子を連れ就任する。一族郎党を率いて二大植民地をつくってしまった。〔pp.140-1〕

■現在は、各大学の大学院が旧帝大系+αで充実し、競争原理も以前よりはたらいているだろうから、東大の有力教授が、こういったわがままをとおすことはできまい。■しかし、それは、競争原理がそれをゆるさないだけで、渡辺一夫御大のマネをしたい先生方はたくさんいそうだね。■ともかれ、高名な学者先生であろうが、ゲンナリさせられるね。その作品群がすばらしかろうと、その品性だけで、イヤになる。

●「『高学歴ワーキングプア』(水月昭道)続報
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タグ : 大学 教育機関 ランキング 小林哲夫

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コメント

現実は想像を超えます

>現実の大学では、まずおきない現象だろうが

丸写しレポートを書いた学生に書き直しを命じたら、彼は「せっかく5000円も出して友人に書いてもらったのに。」と口走りました。

たしかに現実は想像より奇なりですね

大学教員さま

■かきかけ文書に、貴重なコメントありがとうございました。■もと大学非常勤講師のかたの かきこみはありますが、現役教員(かりに非常勤であっても)のかたの、衝撃レポートは はじめてのはずです。

■それはともかく、これは さすがに あぜん…ですね。■『最高学府…』の、おびカバーのマンガも、教授ご本人をまえにしては、さすがに くちばしらんだろう、というセリフでしたが、先生のばあいは学生が面とむかって「せっかく5000円も出して…」とまで、くちばしりましたか…。

■①私語、②携帯メール、③爆睡、④お化粧、と、しずかであればいいってもんじゃない、最高学府の授業崩壊の惨状は、みみにしましたが、そこまで「現金な」発言を面前でくちにする学生が実在するとなると、小生も認識をかえねばならなくなりそうです(笑)。■大学という、権威をおびた空間の変質にとどまらず、わかものたち自身がくちにする「空気よめない…」系の層の大増殖を暗示する現象で、これを当人たちが同世代をどうみているのか、きいてみたいものです。皮肉でもなんでもなく。

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小林哲夫『ニッポンの大学』2

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