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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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安田敏朗『金田一京助と日本語の近代』(平凡社新書)

■ひとつきほどまえの刊行なので新刊とはいえないが、とりあえず紹介。

安田敏朗金田一京助と日本語の近代』(平凡社新書

金田一京助と日本語の近代

[カバー要旨]
わが国の代表的な国語学者・言語学者であり、文化勲章受章者という像が支配的な金田一京助
だが実は、敗戦による自己反省なきままに温存された国語学の宿痾を一身に体現する人物でもある。
同郷の石川啄木にたいする無償の援助をはじめ、美談に彩られたそのイノセントな人物像の陰には、日本語を考える際に看過できない問題が存在する。

金田一京助の内在的論理を実証的に追いながら、近代日本語成立に潜む力学を浮き彫りにする。




[目次]
はじめに 11
凡例 9

第1章:問題のありか ―― 「イノセント」であること 15

第2章:アイヌ語との出会い ―― 日本帝国大学言語学の射程 47
1. 「日本帝国大学言語学」の射程 ―― 上田万年から金田一京助へ 48
2. 「日本帝国大学言語学」の射程 ―― 語族から類型へ 66


第3章:「言語」論とその展開 ―― 戦前・戦中の議論を軸に 89
1. 「言語」の定義をめぐって ―― ソシュールパウル・『国語音韻論』 92
2. 音声と音韻と 105
3. 音韻論の展開 110


第4章:歴史認識・社会論 ―― 敗戦直後の議論を軸に 143
1. 「父よ あなたは強かった」 ―― 「おほきみ」をめぐる記憶の捏造 144
2. 「文明と野蛮」 162
3. 金田一と天皇制 166


第5章:あらたな国語を求めて(一) ―― 現代かなづかいをめぐって 179
1. 現代かなづかいの制定 180
2. 「現代かなづかい」論争 206


第6章:あらたな国語を求めて(二) ―― 標準語論と敬語論をめぐって 219
1. 標準語論 221
2. 敬語論 244


おわりに 261

あとがき 267
参考・引用文献 271
関連年表 279



■よみとくためには、言語学史の基礎知識、日露戦争前後の植民地主義帝国主義などについての少々の知識がもとめられる。■しかし、かりにそういった素養をもたなくても、金田一一族のことに少々でも興味があるなら、あるいは、石川啄木などに興味のある読者なら、第1章と4章だけでも、充分おかいどくのはずだ。

■言語現象は、真空中でおきないことはもちろん、社会から隔絶された個人の脳髄内でもおきない(言語情報が、社会から隔絶された個人の脳髄内で生起していても確認できないし、他者≒過去の自己もふくめたとの交流のない言語現象などナンセンスだから)。■アイヌ語がほろびることを自明視し、アイヌ民族を野蛮人と侮蔑し、アイヌ語の辞書と文法書さえ編集できれば、情報提供者の言語環境など どうでもいい、といった搾取的研究は、金田一京助によって典型的に実践され、それが知の植民地主義オリエンタリズムの一種であることは、本書だけでなく、いくつもの指摘があったことは、本書でも再確認できる。

■いわゆる偉人伝系の「伝記」ものというのは、後継者や親族などによって記憶がねじまげられ、本人と関係者による共犯関係としての合理化≒美化がさけられないが、金田一京助のばあいも、その典型例ということができそうだ。■こういったたぐいのものを、少年少女むけに翻案した「偉人伝」とやらは、ときとして、天才たちの育苗装置になるかもしれないが、基本的には、教育的に有害な作用をはたしそうだ。
■しかし、こういった資料批判をともなった伝記の検討は、野蛮というほかない植民地支配下や軍政下の惨状(「従軍慰安婦」制度や収奪による飢餓、独立運動の弾圧、等々)を資料にてらしてよびおこし、卑劣な忘却をのりこえるのとにている。■ふつごうな事実の忘却/合理化=記憶のでっちあげという、普遍的な知的野蛮をみつめなおすためには、こういった愚劣な伝記の批判的検討がもっともよい教材となる。てまえがってで自己陶酔型の賛美系自国史の批判的検討が、もっともよい歴史教育になるように。



●ウィキペディア「金田一京助
●ウィキペディア「アイヌ
●ウィキペディア「知里幸恵
●ウィキペディア「知里真志保
●旧ブログ「アイヌ」関連記事
●旧ブログ「安田敏朗『辞書の政治学』
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テーマ : 文明・文化&思想 - ジャンル : 学問・文化・芸術

タグ : 安田敏朗 アイヌ ナショナリズム 金田一 日本語

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コメント

『日経BPオンライン』から

●「アイヌを愛した国語学者、じゃなかったの?~『金田一京助と日本語の近代』安田敏朗著」(評:尹雄大)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081006/172847/

 ↑ 効果的な引用がなされている。


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