■ウィキペディアから。
「ファーストフード」? 「ファストフード」?アメリカで生まれた "fast food" という食文化と単語は、世界中のあらゆる国に浸透していった。日本においては、「ファーストフード」という発音・カタカナ表記でこの食文化が浸透したが、近年になって「ファストフード」と表記される場合も見られるようになった。
fastの母音は、アメリカ英語では[æ](アとエの中間の音)で短母音、イギリス英語では[ɑː](アー)で長母音である。同じ区別がある母音を含む外来語にはハーフ half、パス(コンピュータ用語) path、バス(風呂) bathなどがあり、日本語として長短どちらにするかの規則は曖昧である。
"fast" の発音としては、イギリス英語(ここではイギリス本国のほか、オーストラリア・ニュージーランドを含む)で「ファーストゥ フードゥ」と伸ばし、ドイツ語・フランス語・イタリア語などでは「ファストゥ フッドゥ」と短い母音を使っている。アメリカ英語では、「ファスフードゥ」「ファストゥ フードゥ」と短い母音を使っている。 日本では、イギリス英語のように「ファーストフード」と母音を伸ばす発音・表記が使われてきたが、「アメリカから入ってきた食文化であるからアメリカ英語に従う」という原音主義や、「日本語でファースト と言えばfirstの片仮名表記であることが多いため、first food と誤解されないようにファスト とした方がよい。」という意見もある。
日本放送協会、日本民間放送連盟、日本新聞協会など、マスコミ関連団体はすべて「ファストフード」に表記統一した。テレビ(やラジオ)業界では、字幕スーパーでは「ファストフード」という表記が使われているものの、「ファーストフード」と発音してしまうアナウンサーもしばしば見受けられる。
NHKが2003年に行った調査では「ファーストフード」と言う国民が圧倒的に多かった[1]とのことである。---------------------------------------
■でもって、この件についての、つぎのような見解も重要。
「
第219便:「ファーストフード」の復権・ふたたび」
●早変わり
先週に引き続き、「ファーストフード」の話である。
と書き始めてから先週何をつづったのかをまったく忘れている自分に気づいた。2月に出す予定の本の原稿締め切りが昨日だったのだが、根っからのスロースターターなので最後の2週間はほとんど恐慌状態になっていて、しかも今回は自分が書くだけでなく、30名のライターから原稿とデータを集めるという無謀な企画で、そのチェック作業も加わり、目覚めた途端に仕事を始めて、食事以外は仕事を続け、眠くなったら仮眠して、夢の中で「ヤバイ」と飛び起き、再び仕事を始めるという、ほとんど「底なし罰ゲーム」のような、まるでこの文のような息もつけない状態だったのである。
で、普段ならスペースアルクに掲載されてからすぐに内容を確認するのだが、今回は1週間後になってしまったのである。
愕然とした。「ファーストフード」と書いたはずが、知らない間に「ファストフード」に早変わりしていたのである。だがもしかしたら逆にこれも好都合かもしれないと思い直した。というのは、今回まさに書こうと思っていたのが、この「ファーストフード」と「ファストフード」の話だからである。
●斉藤さんとN編集長
スペースアルクに限らず、「ファーストフード」と書くと「ファストフード」と直す出版社が多い。これは会社ごとの決まりごとであったり、『朝日新聞』などの基準に準じていたりする。ほかの例では「プレイ」にするか「プレー」にするかなどがある。
「ファーストフード」が「ファストフード」に直されるのは、前々から変だとは思っていたのだが、よく言えば根っからのファジーな性格、普通の言葉で書けばいい加減極まりない生き方の僕は、「まあ、いいか」と放り出していた。ところがあるとき一緒に仕事をしたニュージーランドのライター、斉藤完治さんが、「それはおかしい。ニュージーランドでは『ファーストフード』と発音されています」と言うので、僕も追従した。よく言えば協調性のある、普通の言葉で書けば「トラの威を借るキツネ」である僕なのだ。
そのとき仕事をしていた某編集長に「オーストラリアでも『ファーストフード』と発音されていますよ」と書いてメールを送ると、すぐにお返事をいただいた。
「おかしいですね。最近読んだ某有名エッセイストは『ファーストフードは和製英語で、誤りだ』と書いていました。それから“first”はファーストで“fast”はファストというのは、受験英語の基礎知識。“first food”でなく“fast food”なのだから、『ファストフード』が正しいのでは?」という内容だった。
●世界規模の小調査
“fast”の発音が「ファースト」なのか「ファスト」なのかは、じつは辞書を引けばすぐにわかる話ではある。だが、辞書が間違っている可能性もある。そこでオーストラリア国内で数名のネイティブ・スピーカーに聞いてみるとともに、僕がお世話係をしている海外ライター集団「海外書き人クラブ」の仲間に手伝ってもらって、調査してみることにした。世界規模の小調査である。
結果は辞書のとおりであった。残念ながらイギリスからの調査結果は得られなかったが、イギリス英語に近い発音をするオーストラリアでは聞いた人すべてが「ファーストフード」と答えた。ところがアメリカに住むライター仲間数人によると、ネイティブのご主人たちはすべて短く「ファストフード」と発音したそうだ。
つまりイギリス英語では「ファーストフード」で、アメリカ英語では「ファストフード」なのである。言うなればどちらも正しいのだ。辞書にもそう書いてある。ただし、アメリカ英語でも「ファスト」と「ファースト」両方あると記されている辞書もある。
どちらも正しいのである。よって「ファーストフードは間違っている」という見解は、そっちのほうが間違っているのだ。
●和製英語
ついでに書くと「ファーストフードは和製英語」という主張もまったく的外れなのだが、ひとつ気になるのが「和製英語のどこがいけないのか」という点である。ビールを飲みながら見る野球はやっぱり「ナイター」だし、車にガソリンを入れるのは「ガソリンスタンド」だ。「昨日のナイトゲーム、燃えたねえ」などと言おうものなら、「お前の夜の生活など知らんわ!」と突っ込まれるのかオチである。「ペトロール・ステーションに立ち寄っていいかな」などと言ったら、「車に乗っているのにどうやって外国の駅に行くんだ」と言われかねない(ちなみにアメリカ英語では「ガス・ステーション」である)。
英語を話したり書いたりしているときに和製英語を用いるのは問題だが、日本語の中で使っている分にはまったく不思議はないどころか、極めて自然だと僕は思う。
●自然な言い方
最初に書いたとおり、ファジーな僕は「ファーストフード」だろうが「ファストフード」だろうが、あまりこだわらない。その出版社なり雑誌社なり新聞社なりの基準に合わせようと思っている。ただし自分で選べるのなら、「ファーストフード」にする。それは「オーストラリアではそう言われているから」ではなく、「日本語として自然だから」である。外来語としてずっと「ファーストフード」を使ってきたのだから、わざわざ替えるのも変だからである。
ついでに言うと、音引きひとつでもいいから省略したいほど急いでいるわけではない。もうひとつついでに言うと、音引きひとつ分でもいいから原稿料を余分にいただきたいという経済的事情はないわけではない。
●鵜呑みにされる恐怖
この「ファーストフード」と「ファストフード」の話を書きながら、「コワイ」と思ったことがある。それは「この手の話はけっこう鵜呑みにされる」ということだ。
想像でしかないのだが、「ファストフード」が広がった経緯は、おそらくアメリカで「ファストフード」という発音を聞いてきたか、アメリカ人に「ファストフードだよ」と言われた誰かが、そのまま鵜呑みにしてエッセーか何かに書き、読んだ人たちもそのまま鵜呑みにしたというところだろう。もしかしたらエッセイストではなく、「受験英語の神様」あたりの体験かもしれない。
問題は話が外国に関することで、自分で調べにくい点にある。「ふーん。そうなんだ」と思い込んでしまう。さらにマズいのは舶来の知識というものは自分が「知っている」と、誰かにひけらかしたくなるものだということだ。
そう考えると、僕があちこちで書いている「オーストラリア人は一日5回食事する」とか、「裸足で外を歩く人が多い」とか、「夕食は毎回ステーキという人もいる」とかいう話も信じられているということになる(もちろん事実ではあるが)。今後この「ブリス便」で書くことも、読者のみなさんは鵜呑みにするのだろう。
なんとも身の引き締まる思いである。どんな大ボラを吹こうかと。-------------------------------------
■言語学的記述をするなら、日本語には「ファーストフード」と「ファストフード」が共存し、はなしことばとしては、前者が圧倒的優位…、といったかきかたになるだろうか? ■このばあい「
「アメリカから入ってきた食文化であるからアメリカ英語に従う」という原音主義」が、あまり説得力をもたないことも事実。北米以外の旧英連邦諸国が「ファストフード」を日常文化としていないだろうことを、かんがえあわせてもね。慣用ってのは、あくまで多数決であり、語源をふくめた合理性なんて無意味だからだ。
■個人的には、「
ファストフード」も「
ファーストフード」もつかいたくない(笑)。■「はやぐい外食店」とか、いいかえは困難だが(笑)。
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