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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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オリンピックの正式種目にみる正統性=「ムダ」とはなにか29

■『中日新聞』の記事から。

日本がIOC動かす
 2016五輪でソフトボール復活へ

2008年8月23日 紙面から

 ソフトボールの五輪復帰へ、最強日本がリーダーシップを発揮する。22日、悲願の金メダルを獲得したソフトボール女子代表が北京市内で会見した。執念で米国を破った闘いぶりは国際的な評価も急上昇。ロンドン五輪で実施競技から外れるが、井川英福チームリーダー(63)は高まる注目度に「これで意見を言える立場になった」とニヤリ。2016年五輪での復活に向け、アピール活動でも“主役”を務める。

 泣いた。笑った。跳びはねた。グラウンドで喜びを爆発させた勝利から一夜明け。会見場に晴れ晴れとした表情の15人が並ぶ。上野がいる。山田がいる。頼もしい選手とともに、斎藤春香監督(38)が胸を張った。

 「日本が優勝することこそが大事だと思っていた。ソフトボールの素晴らしさを伝えることができたと思う」

 米国を倒しての世界一。それは単に勝利の2文字だけに止まらない。ソフトボール界の新たな“盟主”の誕生。日本が名実ともにリーダーの資格を得た。井川チームリーダーが興奮気味に何度もうなずく。

 「ついに金をつかんだ。これで意見を言える立場になった。国際貢献、普及活動に役立てる」

 過去3度の五輪、直近6度の世界選手権。いずれも優勝は米国だった。ロンドン五輪で実施競技から外れるソフトボール。その理由の1つは、そんな「一極集中」にもある。だが、金メダルによって日本の地位も向上。少なくとも「米国のための競技」ではないことを示した意味は大きい。

 この日、国際ソフトボール連盟のポーター会長は日本の金メダルを「ソフトボール界の大きな進歩」と絶賛。「決勝は大きな変化を示してくれた」と賛辞を続けた。欧州で競技が根付いていないのがネックだが、井川チームリーダーは「世界に発信できる立場として盛り上げていければ」と五輪覇者の発言力をフル活用する考えだ。

 2016年の復帰には来年10月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で過半数のIOC委員の賛成が必要。時間は少ない。でも、あきらめない。最高視聴率40%超をマークした熱闘。日本中が見た。世界も魅入るはず。悲願の金。そこからの動きが、きっと8年後の再開につながっていく。

 (寺西雅広)

----------------------------------------------
■あたかも、ソフトボールが次々回の2016年オリンピックで復活するかのようなみだしだが、全然ちがう(笑)。■が、この記事がしめす構造は、オリンピックがはらんでいるナショナリズムコマーシャリズムの病理、というか、それを抑圧した偽善性とは異質な深刻な矛盾をうきぼりにする。 ■この記事のかきては、「過去3度の五輪、直近6度の世界選手権。いずれも優勝は米国だった。ロンドン五輪で実施競技から外れるソフトボール。その理由の1つは、そんな「一極集中」にもある。だが、金メダルによって日本の地位も向上。少なくとも「米国のための競技」ではないことを示した意味は大きい」と、りきんでみせる。■いや、米国一極集中の競技であれば、国際大会など論外だろう。大相撲をオリンピックで維持するようなものだからだ。
■では、アメリカ以外にも強豪国がたくさんあり、どこが優勝するかわからないのなら、それでいいかである。■だが、ウィキペディア「ソフトボール」の記述がしめすとおり、米国一極集中がきえても、ソフトボールをオリンピック競技として維持する必然性は、ないといってよい【リンク省略】。

世界では北アメリカのアメリカ合衆国・カナダ、オセアニアのニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニア、アフリカのボツワナ、そして日本などで盛んである。
……
夏季オリンピックでは、1996年のアトランタ大会にて、女子のみが野球と共に正式種目になった。当初はアトランタ大会限定とされたが、その後継続が決定した(2008年の北京大会まで開催された)。

2012年ロンドン大会では、野球と共に競技種目から外れることとなった。2016年大会以降の開催については未定となっている。

これらの過程では、男子の野球と女子のソフトボールとがペアとして扱われている。競技種目からの除外については、共に世界的な普及度が高いとはいえないこと、さらに野球でメジャーリーグ選手の出場がなく、世界最高レベルの競技が行われていないことが理由とされている。

----------------------------------------------
■「世界最高レベルの競技が行われていないこと」をあげるなら、サッカーだってそうだろう。■テニスや、いろいろな競技で、こういった批判はだせる。
■結局は、ヨーロッパに競技人口がすくなく、強豪国などが存在しない競技は、はずされるという構図が、すけてみえる。■なにしろ、非ヨーロッパ的だとおもわれているのは、東欧・南欧だけではなく、イギリスやその植民地としてのアメリカそのものだからだ。アメリカは、ヨーロッパ人の植民地だが、なんといっても、非ヨーロッパ圏のひとつとしてのイギリスの植民地であることが、「なかまはずれ」の主要因なのだ。■ただ、政治経済的大国として、無視できないから、野球なども、オリンピック競技にふくまれたということ。
■さらに、ソフトボールのばあいは、野球以上に一流選手の層がうすく、男子のプロが存在しない、女性的種目であるといった、ジェンダー的な差別の対象でもあるといった、要素が無視できないだろう。■新体操など、アーティスティックな種目でないかぎり、男子の一流選手が層をなしていることと、その拠点がヨーロッパに複数あることが、オリンピック種目として維持される重要なかぎなのである。


■こういった、地域的かたよりを象徴しているのが、冬季オリンピックであろう。■冬季オリンピックを構成する競技群は、すべて寒冷地でしかメジャーでないものである。中欧・北欧という地域性がうんだ、アルペンスキーノルディックスキーという、「楕円の2中心」がなかったら、冬季オリンピックという興行自体がおもいつかれなかっただろう。■そして、そういった経緯がある(近代オリンピック自体が、近代ヨーロッパという地域性がうんだ「国際大会」であるという文脈もふくめて)からこそ、日本以外は、欧米とその植民地しか開催国にならないという、ある意味異様な事態が全然疑問視されないのだろう。「冬季」であれば、世界中でできる競技ではなく、「冬季」がながく、氷雪でおおわれる寒冷地をかかえた、経済先進地域だけのスポーツという、サッカーなどとは対極の性格が自明視されてしまうのだ。
冬季オリンピック


■実は、ヨーロッパに競技人口がおおく、複数の拠点がないとオリンピック種目にならないというのは、ウソである。■その象徴的な種目が、テコンドーである。■テコンドー空手以上に世界に普及しているとか、ヨーロッパにぶあつい競技人口がいるというのは、きいたことがない。空手からヒントをえて土着化、「非日本化」をはかって発達したとおもわれるテコンドーが、空手以上の世界的普及をする素地がなかったはずだし。*

* ■もともと、空手自体が、ヤマト系の武術ではなく、中国武術の土着化=琉球版として発達し、その一部が近代日本にもちこまれて変質したのが、現代の空手文化の主流だろう。さらに、そのブランド化に巨大な足跡をのこしたが、在日コリアンの大山倍達氏ら、非日系勢力であったことの皮肉(起源も現代化も非日系という現実)は、何度か紹介した『日本人という自画像』が強調している点だった。
テコンドーがオリンピックの正式種目となったのは、ひとえに、亡命していたコリアン武道家たちの政治力の蓄積が、欧米の「興行主」たちにうけいれられた、という点につきるだろう。■いや、オリンピックの正式種目となって、ほどなく、韓国選手が優勝できなくなったことは、柔道以上の世界化をしめしているともいえそうだ。■ちかい将来、空手はテコンドー合気道よりずっとマイナーな武道になるかもしれない(実際、ウィキペディアでの「テコンドー」の言語数はかなりおおい)。■しかし、テコンドーの基本的起源が琉球武術、ひいては中国武術にあることは否定できないだろう。ミーム(文化的遺伝子)とてしては、ナショナリズムコマーシャリズムミリタリズム/治安組織などを資源として、世界中の宿主に「自己複製」を展開中といっていいかもしれない。■「日本の武道・空手」といった虚構=神話としての「伝統の創造」は破綻し、民族武術としての「唐手(トーディー)」が「本家」の中国武術以上に展開中と。早晩「コリアン古来の武術・テコンドー」という神話も解体していくだろうし。


■このようにかんがえたとき、ソフトボールや野球が、冬季オリンピックやテコンドーにならって、「地域的かたよりがあって、なにがわるい」「競技人口より、パフォーマンスとしての魅力・集客力」と、ひらきなおることは可能ではある。なにしろ、「カーリング」という、スポーツとはおもえない種目や、競歩など、業界関係者しか観戦しないだろうスポーツだって、正式種目なのだから。■しかし、これらが、それでなくても、商業主義などによって肥大化をつづけてきたオリンピックのなかに一角を確保しつづけることの、政治的正当性、経済的合理性があるかといえば、かなり微妙だろう。
■日本の中央官庁にかぎらず、財務当局が「予算配分」という制度によって権力をにぎりつづけてきたように、国際オリンピック委員会も、正式種目の再編をおこなうこと自体を政治権力として、利権をむさぼりつづけようとするだろう。■したがって、きのうとりあげた「28競技以上にはしない。ロンドンでは26競技、1万500人以内に抑えたい」というロゲ会長の発言も、肥大化・浪費を自戒しつつ、健全経営を維持しようとする興行者としての理性を表現しているようにきこえるが、その背景は、そんなにキレイなものじゃなかろう。

■それにしても、予算を請求する運動、助成金を請願する運動、…、どうしてこうも、「パーキンソンの法則」が貫徹してしまうのだろう? 「とりあえず、とれるものは、できるだけとっておこう」「とれたものは、次回けずられないよう、ともかくつかいきってしまわなければ」…。かくして、スポーツにかぎらず、あらゆる「業界」「ニッチ産業」は、よりおおきなパイの分割をもとめる運動をくりかえし、そのなかで、みずからの正統性(存在の正当性)を必死にアピールしあう。■そして、そこに、財務当局やロビイストらの暗躍がくりかえされる構造が維持されていくと。


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テーマ : オリンピック総合 - ジャンル : ニュース

タグ : ナショナリズム コマーシャリズム ミリタリズム スポーツ 予算 冬季オリンピック テコンドー

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テコンドーの世界的地位

■「ちかい将来、空手はテコンドーや合気道よりずっとマイナーな武道になるかもしれない」と注記でかいたが、実に うかつだった。

■テコンドー関係者による証言なので、それをわりびいて とらえる必要はあるんだが、つぎのような記述を ようやく確認したので、はりつけておく。

●「世界を席巻するか"テコンドー"」(「スポーツ批評」4 1987 窓社 http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/korea3.htm
……日本国内にテコンドーの専門道場は、わずか20カ所あまりしかなく、大学の体育会のクラブは一つも存在しない。日本国内の競技人口は、女子や少年を含めても約3千人どまり。空手が数十万とも百万ともいわれる競技人口を国内に抱えているのと比較すれば、いかにマイナースポーツであるかよくわかる。
しかしこれは、日本国内だけの話である。世界においては、この図式は見事に転倒する。テコンドーの国際組織は、韓国系のWTF(世界テコンドー連盟)と、北朝鮮系のITF(国際テコンドー連盟)の二つが存在し、それぞれ3千万人(WTF)、1千5百万人(ITF)の競技人口を抱えているが、空手の法は「連盟に加盟していない流派もあわせて、世界中で3千万人くらい」(全日本空手道連盟の関係者の話)であり、数においてテコンドーの方がすでに空手を上回っているのである。しかもこの比較はあくまでも公称の数字によるものであって、実勢においてはもっと開きがあるのだ。
たとえばアメリカなどでは、「KARATE」の看板が掲げられた道場があったとしても、それを額面どおりに受けとるわけにはいかない。入口のドアを押して練習風景をのぞくと、壁に韓国の国旗を掲げてテコンドーの練習をしているシーンにたびたび出くわすからである。インストラクターに、
「テコンドーを教えているのに、なぜカラテを名乗るのか」
と質問すると、悪びれもせずに、
「カラテという言葉は、テコンドーをはじめとしたマーシャルアーツ(格闘技)の総称だからです」
と胸を張るのだから面くらう。
アメリカの武道事情に詳しい、日本テコンドー協会(WTF系)と島田明男元本部師範はこう解説する。
「東洋の武道の中で、空手が最も早く欧米に渡ったため、突き・蹴りの格闘技イコール空手というイメージが強いんです。
ですから、テコンドーを教えていながらも、いまだにカラテを名乗っている道場がたくさんある。テコンドーがアメリカに入ったのは1960年代ですが、急速に普及していって、今では全米の武道人口のうち、70%はテコンドーです。私が渡米して最初にテコンドーを知った頃は、まだ50%ぐらいでしたんですがね。
テコンドーはそれほど人気があるんです。そのことを知らないのは、おそらく世界中で日本人だけじゃないでしょうかね」


華麗な蹴り技

日本ではマイナーだが、世界においては堂々たるメジャースポーツのテコンドー、その特徴は、空手に比べて足技を重視している点にある。蹴り技は華麗にしてスピーディーで、その種類も豊富である--といっても一般の読者にはどのようなものか、今ひとつピンとこないことだろう。テコンドーを人に説明するときには、ブルース・リーをひっぱりだすのが、一番てっとり早い。案外知られていないことなのだが、ブルース・リーがスクリーンで見せた鮮やかなアクションは、テコンドーの影響を色濃く受けているのだ。
ブルース・リーが敵と対峙しているシーンを、ちょっと思い出してほしい。彼は半身になって構え、前後のステップを使いながら、敵の蹴りをステップバックしてかわし、次の瞬間、飛びこみながら前足でサイドキック(足刀横蹴り)、そして反転して後ろ回し蹴りで相手を吹っ飛ばしていたはずだ。あの華麗な蹴り技の技術、特に後ろ回し蹴りは、空手でもカンフーでもなく、テコンドーのテクニックなのである。テコンドーそのものを知らないでも、実はブルース・リーのスクリーン上でのパフォーマンスを通じて、その足技の魅力の一端には触れていた、というわけである。
ブルース・リーは、御存知のとおり、香港生まれの中国人であるが、テコンドーをはじめとするカンフー以外にも、空手、ボクシング、キックボクシング、テコンドーといった各種格闘技を研究したといわれる。そしてそれらの中から最も美しく、最もダイナミックな技を選び出してアクションを構成していった結果、足技ではテコンドーのテクニックが多用されることになったのである。
つまり、非常におおざっぱな言い方になるが、様々な格闘技の中でも、きわだって美しく、魅力的な足技をもつのが、テコンドーであるといえるだろう。
そして実は、この「美しい」ということが重要なポイントなのである。テコンドーは「美しい」がゆえに、人の心をとらえ、欧米をはじめ全世界に急速に普及してゆき、競技人口において他の格闘スポーツを追い抜いていったのだ。再び、前出の島田氏--。
「武道としての実戦性となったら、日本の空手は凄いですよ。あの正拳突きは、きわめて破壊力があります。私はテコンドーを始める前は、空手をやっていたのでよくわかる。しかし、テコンドーを実戦性の面から日本の空手と比較してもしようがないんです。テコンドーを、日本流の武術ととらえるのは、ちょっと違う。純然たる競技スポーツなんです」
テコンドーの試合は、頭にヘッドギァー胴にプロテクターをつけておこなわれる。突きは顔面への加撃が禁止され、ボディのみに限られているが、実際の試合ではボディへ突きをきめてもたいしたポイントにならず、勝負はもっぱら足技で決着がつく。蹴りは、腰から下への、いわゆるローキックは禁止されているが、顔面への蹴りは認められており、そのため必然的に足を高く上げる蹴りが多くなり、派手で見栄えのする試合展開となる。テコンドーの足技が発達したのは、この競技ルールの設定によるところが大きい。
「テコンドーは、いわば足でやるボクシングなんです。空手と違って寸止めではなく、実際に当てるから誰が見てもわかりやすいですし、足技主体のため試合が派手で面白いんです。テコンドーは武道としての実戦性を多少犠牲にしても、スポーツとしての面白さを追求していったんですよ。これは競技人口を増やすための、韓国の戦略、国策なんです」


テコンドーの世界戦略

韓国の国策とは、言わずもがな、オリンピックをにらみすえてのことである。そもそもテコンドーが誕生したのは、朴政権下の1940年代のこと。朝鮮半島に古来より伝わるテッキョン、ソベといった民族武術を、韓国の崔泓凞(チェ・ホンヒ)陸軍少将(当時)が、武道スポーツとして体系化・近代化したのがはじまりである。崔氏は、いわば柔術を近代化して柔道にまとめあげた嘉納治五郎に相当する人物なのであるが、その後彼が北朝鮮に亡命したため、テコンドーにも"南北分断"がもちこまれることになった。国際組織がWTFとITFに分かれているのは、そこに起因する。
ITFのテコンドーは、崔氏がつくりあげた初期のテコンドーの姿をそのまま伝えており、こちらは武道色を今も濃厚にとどめている。試合は組手だけではなく、型の演武と試し割りも同時に行われ、その三つの総合得点で争われる。組手において顔面突きが許される点も大きな特徴である。
それに対して、韓国のテコンドーはオリンピックへの参加を目標に、一直線にスポーツ化への道をひた走ってきた。何よりもまず、世界への普及度において先行している空手に、早く追いつかなくてはならない。もし空手が先にIOC(国際オリンピック委員会)に承認されることになれば、きわめて類似した競技であるテコンドーのオリンピック参加は、遠のいてしまう。
そこで韓国はテコンドーのスポーツ化をおしすすめると同時に、国家的なバックアップのもとで指導者と選手を育成し、財政的援助を惜しまずに海外への普及につとめた。その結果、1970年の時点で、統一組織をつくり、世界選手権の開催を達成していた空手に対し、テコンドーはじりじりと追い上げていき、73年に世界大会を開催、80年にはIOCに加盟し、昨年のアジア大会で正式競技として採用され、来年のソウル五輪ではオープン種目として登場するところまでこぎつけたのである。空手のほうはといえば、世界大会の開催はテコンドーに先行したものの、IOCへの加盟は6年遅れ、オリンピックどころかアジア大会の種目にすら採用されていないのが現状である。
武道としての実戦性を犠牲にしても、スポーツとしてのわかりやすさ、面白さを追い求めていった韓国の戦略が、伝統に固執する日本の空手を引き離してしまった。--。こう結論してしまうと、日本の空手関係者には面白くないだろうが、しかしこれはゆるがしがたい事実である。
スポーツは何よりもまず、快楽をもたらさなくてはならない。これは鉄則である。制限付きの直接打撃性をもちこむことで、見るものの美意識をくすぐり、選手に安全な形で思い切り打ちあう爽快さを提供することに成功したテコンドーは、その快楽原則により忠実であったといえるであろう。この点は、空手関係者のみならず、広く日本のスポーツ指導者・選手がかえりみなくてはならないポイントではないだろうか。
ともすれば日本のスポーツマンは、快楽よりも求道ストイシズムを選びとる傾向にある。それを日本の国民性であるとか、文化的風土であるといってしまえばそれまでだが、ストイシズムは短期的にはともかく、長期的には快楽原則の前に敗北する運命にあるのだということを、もう一度再認識するべきであろう。
楽しいからこそ、スポーツなのだ。そのことを忘れてはなるまい。



■「キムズノート」(http://www.taekwondo-net.com/modules/note1/index.php?id=1&tmid=28)という、在日系のテコンドー関係者による詳細な通史によれば、冷静な関係者なら、みな、原形が日本に留学した朝鮮人が修得した空手であったこと、その後、空手の影響を意識化させないために、技法の名称にとどまらず、足技への比重の移行をすすめたこと、国際テコンドー連盟(ITF=The International Taekwon-do Federation)が1966年に設立されていたのに、創始者の崔泓熙(チェ・ホンヒ)のカナダへの亡命によって本拠地が移転し、それにともない、韓国にのこされた指導者たちが世界テコンドー連盟 (WTF=The World Taekwondo Federation)を設立、後者がオリンピック正式種目になった(これらの記述は、ウィキペディア「テコンドー」はもちろん、他媒体の複数の記述とも矛盾しない)。■こういった経緯もからんで、創始者の影響がこいITF系には、空手起源の技法がかなりのこり、連続性が感じられるが、韓国で独自の展開をしめしたWTF(オリンピック競技などスポーツ性をたかめた流派)は、琉球唐手とはルーツを共有しているとはおもえないぐらい距離がひらいてしまったようだ。


【関連記事】
●「テコンドーがカラテの影響を受けたのは事実
- テコンドー初期の元老たちのほとんどがカラテ修練者」『Koreawatcher』(2001/03/07  http://members.at.infoseek.co.jp/koreawatcher/docs/webzine2.htm
●「テコンドー」『極東ブログ』(2004.01.30  http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2004/01/post_74.html
●「テコンドー、空手に負けるな! 五輪正式種目維持のためスポーツ外交開始へ」『朝鮮日報』(2005/06/15  http://www.chosunonline.com/article/20050615000029

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