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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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東京女子医大事件(2001年)をふりかえる

東京女子医科大学でおきた医療事故の被告だった医師が、きのうの判決をまえに、インタビューをうけていたことにきづいた。■一部転載。


警察の不当逮捕が地域医療の崩壊を招いた
 綾瀬循環器病院心臓血管外科 佐藤 一樹氏に聞く


……
――●●医師が不当に逮捕されたとする理由はどこにあるのでしょうか。

佐藤 刑事訴訟法上、捜査機関が被疑者や参考人を逮捕・勾留できる理由は、(1)住所不定であること、(2)証拠隠滅の恐れがあること、(3)逃亡の恐れがあること――の3つがあります。●●医師は当時、臨月の奥さんと暮らしていたのですから、(1)と(3)は絶対にあり得ません。また、事故の発生から逮捕まで相当の期間があり、それまでに県の事故調査委員会の報告は終了し、警察はカルテの押収や関係者などへの取り調べを行っていたので、●●医師が証拠を隠滅する恐れがあったとも到底思えません。捜査機関の本当の理由は、●●医師を拘束して自白を強要することだったと推測されます。

 実は、捜査実務方法を解説した検察向けの教科書には、「裏付け資料が不十分でも社会的な影響が大きい事件は立件して捜査を遂げる」という記述があるのです。「社会的な影響が大きい事件」とは、メディアの報道で社会的関心が高まった事件などを指しています。大野病院事件では、捜査機関がどのような意図で逮捕に至ったのか、真相は定かではありませんが、立件するのは本来難しいこの事件をどうしても成立させるために、自白調書が必要になったのではないでしょうか。

佐藤 私の場合も、6カ月間の任意取り調べ期間があり、関係者への捜査も十分に進んでいたにもかかわらず、他の医師らと連絡を取り合って口裏合わせをする可能性があるという理由で不当に逮捕されました。メディア報道などで事故が社会問題化していたからだと考えられます。「証拠隠滅の恐れ」という逮捕要件は非常に漠然としている上、裁判所も捜査機関からの逮捕令状請求のほとんどを詳細に検討することなく許可しているのが現状で、どう考えてもおかしい。こうした状況は、法改正などをしなくても現行法の下で改善できることです。医療界は今回の大野病院事件を機に、今のままでは不当な逮捕が増える危険性があることをもっと訴えなければいけないと思います。

 一方、捜査機関は、今回の不当逮捕により地域医療を崩壊させたことをしっかり認識すべきです。●●医師は大野病院の産婦人科を1人で担っていました。それが、逮捕により産科医が1人もいなくなり、その後も医師の補充がされず、ついには大野病院の産婦人科は実質廃止に追い込まれました。この被害を最も受けているのは、その地域の多くの患者さんです。これは、とても大きな問題です。

――逮捕されると、医師に対する捜査機関の対応は変わるのでしょうか。

佐藤 全く違います。私の場合、当初は参考人という立場で任意に取り調べを受けていて、捜査機関は私を「佐藤先生」と呼んで多少は紳士的に接していました。それが、逮捕以降は「佐藤」「おまえ」と呼び捨てになります。検察の取り調べに至っては連日、朝から深夜まで行われて日付けが変わることもざらでした。供述調書については、私が悪いことをしたという前提の下、あらかじめ決まった方向で捜査機関が文章を作成していく。さらに、調書の修正を依頼しても、「供述調書は捜査官が作成するものだ」と言って、まず応じてくれません

 おそらく●●医師も、私と同じ立場に置かれたことでしょう。任意の段階でも逮捕以降でも、取り調べを受ける際は、納得のいかない調書であれば署名・押印をしないといった慎重さが大切になるのですが、捜査機関の取り調べは精神的・肉体的にも予想以上に厳しく、ついつい捜査機関の意図に沿った調書に署名・押印し、「自白調書」が作成されてしまうことがあり得ます。公判開始後、●●医師は供述内容を一部翻したと検察は主張していますが、取り調べ時に心理的に追い込まれて、自身の意図とは異なる調書に署名・押印をしてしまった可能性があります。

――8月20日に判決が下されますが、もし●●医師が有罪となったら、医療界にどんな影響が出ると思いますか。

佐藤 産科医療の崩壊がさらに進むのは確実でしょう。そして、将来は基幹病院でしか分娩できなくなる。癒着胎盤の患者さんは全員、子宮を摘出しなければならなくなるかもしれない

 裁判官は通常、公判中に同意された証拠だけから有罪・無罪を判断します。その点、検察側に有利な証拠として●●医師の供述調書があるのは不安な点ですが、これだけ社会的な関心が高まると、裁判官は世論を無視して有罪判決を下せるでしょうか。

――大野病院事件を機に、医療の刑事免責を求める声が高まっています。

佐藤 医療行為や医師の刑事免責を議論する際には、言葉の定義が非常に重要になると思っています。医療行為といっても様々なものがあり、医師が問われる可能性のある犯罪の種類も多岐にわたる。そんな中でただ単に免責を主張するのは、「医療行為や医師のすべてを免責しろ」と言っているように取られかねない。これでは、世間には受け入れられないでしょう。

 私は、医学的な適応や医術的な正当性を背景にした「正当な治療行為」を、業務上過失致死罪として認めるのは問題があると考えています。●●医師のケースもこれに当たり、当然無罪となるべきです。今後、免責を求めていくのであれば、この点を明確にすべきではないでしょうか。そのためにも、多くの医師が法律の背景や理論を身に付ける必要があると思っています。

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■ちなみに、佐藤医師が被告となった訴訟については、「手術で死亡、医師無罪…東京女子医大事件」」(2005年12月1日 読売新聞)、「東京女子医大事件をきっかけに考える(2)」で、事件と判決の概要がわかる。■くわしい点は、佐藤医師ご本人のブログ『紫色の顔の友達を助けたい』。
■遺族やジャーナリストには佐藤医師の無罪判決に異論があるようだが、状況証拠をみるかぎり、手術責任医師と東京女子医大当局が、当時助手だった佐藤医師に全責任を転嫁すべく、証拠をけし、かきかえようとしたとおもわれる。■それをまにうけて、逮捕・起訴した警察・検察は、いくら密室でおきた、専門性のたかい事例とはいえ、不用意すぎる。
■そして、今回の判決でも暗にとわれているとおり、医師を密室で精神的においこむことで、不当にえた供述調書等を証拠とする権力犯罪。これを、ゆるしてはなるまい。■再三問題にしてきた、とりしらべ過程の完全可視化と、弁護士などの同席が整備されないといえない。それで困難になるような、とりしらべが警察・検察にゆるされていること自体、刑事訴訟法ほかの精神が形骸化し、権力犯罪がまかりとおっていることを、うらがきしているといえよう。


●『取調べ可視化 最前線
●「日弁連が取り組む重要課題
 取調べの可視化(取調べの全過程の録画)実現

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タグ : 警察 可視化 密室 検察 医療 訴訟

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