■生活協同組合の「
パルシステム」という組織の広報誌『のんびる』(5月号)の記事から。
NPO法人コミュニティスクール・
まちデザイン理事長、
近藤惠津子氏の文章。
フードマイレージの意味と矛盾
中国餃子の事件以来、「フードマイレージ」が時折マスコミに登場します。フードマイレージは食料の輸入量と運ぶ距離を掛け算し、単位はトン・キロメートル(t・km)。数値が高ければ高いほど、食料の輸入に石油を使い、CO2を出していることになります。日本の数値は世界一であり、輸入に頼る私たちの毎日の食が、地球環境に影響を与えていることを意味します。
ところが、フードマイレージが脚光を浴びると同時に、九州では、北海道から運ぶより、韓国から輸入したほうがフードマイレージは低い」とか「国産でもハウス栽培で重油を使ったらCO2をより排出する」などの声が聞こえます。私自身、品目別の数値の中で、飼料や油の原料にまで言及できていないことが気になっています。
例えば、ブラジルから1t の鶏肉を輸入すると、フードマイレージは2万t・km ですが、そこには4倍の重量のえさが隠れており、飼料自給率25%(濃厚飼料は10%)の日本では、3t のえさは輸入です。全量を米国から…と仮定するとフードマイレージは5万4千t・kmで、鶏肉をブラジルから輸入した方が環境にやさしいということになってしまうのです。
日頃は気づかない輸入の実態
では、フードマイレージに着目する意味はどこにあるのでしょう。?
世界一を誇る(?)日本のフードマイレージを稼いでいる食料はとうもろこしで、年間輸入量約1700万t、7割以上は米国からです。家畜のえさのほか、水飴の原料としてお菓子などに、異性果糖として清涼飲料水にと多様な用途があります。この穀類に分類されるとうもろこしの自給率はゼロ。この穀物の高騰が、さまざまな食品の値上がりにつながるのです。
また、鶏肉は自給率70%、豚肉は50%ですが、スーパーの食肉売り場で買い物をする限り、この実感はありません。つまり、日本の低い自給率、高いフードマイレージの原因となる輸入食料は、えさのほか加工食品や外食など、よほど意識しなければ気づかないところに使われているのです。
「わかって食べる」ことがフードマイレージを下げる
日本のフードマイレージの高さは、「何を食べているか?」を、私たちがいかに知らずに暮らしているかを教えてくれます。何がどの位輸入され、どこにどのように使われているか、そのことが地球環境にどんな影響を与えているかに、多くの人びとはあまりに無頓着です。
フードマイレージを下げるためには、できるだけ可視の範囲の食べ物を選択すること。つまり「わかって食べる」ことが大切です。わからないものに不安を持ち、知ろうとすることは、安心・安全な食の確保にもつながるのではないでしょうか。
こんどうえつこ/東京都生まれ。NPO法人コミュニティスクール・まちデザイン理事長。食農共育のプログラムで小中学校の出前授業や、高校・大学・大人向けの講演を行っている。著書に『わたしと地球がつながる食農共育』(コモンズ)、『食べ方で地球が変わる〜フードマイレージと食・農・環境〜』(共著、創森社)、他。------------------------------------------------
■「環境にやさしい」だの、「安心・安全な食の確保」だのといった、ぬるい表現に、ラディカルさを期待するのは、まちがっているだろう。■しかし、この程度の「ぬるい」認識でも、充分日本列島の大衆の致命的矛盾をてらしだしてしまう。
■それと、この水準でのかたりくちこそ、公教育現場にも、充分うけいれられる論法なのだとおもう。その意味では、近藤氏の2冊の単著・共著は、かなり重要な意味をもちそうだ。


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『わたしと地球がつながる食農共育』(『JanJan「今週の本棚」書庫』)●
『わたしと地球がつながる 食農共育』を読んで 財前宏●
『食べ方で地球が変わる―フードマイレージと食・農・環境』山下 惣一他編『ぶくぶくこえだめBLOG』
●「
資源消費という次元でくらべれば、農産物/畜産物/魚介類は連続体である」
●旧ブログ記事「
コーン・シンドローム」
●旧ブログ記事「
山下惣一」関連記事
タグ : フードマイレージ とうもろこし トウモロコシ コーン 自給率
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