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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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Ape(おなしザル)連続体としての、われわれと、その意識(「イー・モバイルCM」問題)

■テレビが自宅にないと、当然コマーシャルには ものすごく うとくなる。■先月はじめの騒動なんだが、だからといってわすれていい話題ではないようにおもえる。



●Bararck Obama played by a monkey in Japanese ad



■日本人の平均的な知性・品性は、つぎのような空間で、よくわかる。これは、永久保存版なのじゃないだろうか? この ひらきなおりの卑劣さ、論点のはずしかた、…。

●「【CM】「猿」がオバマ氏連想-イー・モバイルCMにブログ・欧米メディアなどから批判殺到で放送取りやめ」(2ちゃんねる)

■自分の問題としてとらえることのできない、いわゆる右派系の反応は、たとえば、つぎのような文章。
●「イー・モバイルCM 「猿」がオバマ氏連想」 ■①北米のヨーロッパ系集団が共有する(卒業できていない)「人種」意識=差別意識の実態が、どうであろうと、日本列島の居住者たちのほんどが、卒業できていない「人種」意識=差別意識をかかえていないのか?(たとえば、ジョン・G.ラッセル『日本人の黒人観』),■②東アジアなど、北米の差別意識に影響をうけそうな地域の差別実態・差別意識より、マシだのといった比較が、意味をもつのか?(かりに、よそがひどいなら、日本列島での「少々の」差別は正当化されるというのか?),■③日本人が自分たちをたとえば、ニホンザルなどになぞらえて、パロディCMをつくったとして、自分たちが「人種差別」の当事者として不愉快な経験をくりかえし、現に「自分たちの代表」といったみかたをされているリーダーをバカにしているようなCMを平然と、わらいとばせることを、当然視するのか?…などなど、右派系の反発は、やはりトンチンカン。
■ま、このヘンのツッコミをしたら、また論点ズラシなど、卑劣なたちまわりをするんだろう。なにしろ、自分たちの差別意識を正当なものだと信じきっているから、それを不当だと指摘されると、条件反射的に異様な反撃をはじめる。まさにビョーキ。

■ところで、北米での反応が一部記録にのこっているので、それもハメこんでおく。




■ところで、動物行動学のコンラート・ローレンツ先生など、生物学系のお歴々がのべてきたのが、鳥類・ほ乳類の乳幼児は かなり にかよっている。どうも、成獣・成鳥からの攻撃をさけるための普遍的「かわいさ」のようだ(「ヒトは なぜ こそだてするか?3=差別論ノート29」「乳児の生得的生存戦略」)。■当然、乳幼児は、かなりの程度「サルがお」である。はなのホネが発達していない乳幼児は、われわれがApe(おなしザル=「ヒト上科」)の一部であり、直近の「親類」としての「類人猿」と、冗談ではなく、連続体だと実感させる。
■一方、日本列島で、アニミズムの伝統もあって、ニホンザルなどと連続性が認識されてきたことをもって、「日本民族」(という「実体」があればだが)に Ape/Monkeyに対する差別意識が存在せず、当然、ヒトのあいだでの他者差別に援用などしたことがなかった、という仮説は立証困難だろう。■それは「ない」という証明がむずかしいといった次元になく、現代の日本列島の現状をみたときに、「サル差別がない」なんて仮説が まじめに検討にあたいするような ふんいきではない、とおもうからだ。

■だから、イー・モバイルをはじめとして、企業ニホンザル・タレントやチンパンジー・タレントを コマーシャルに動員する戦術をかんがえたとき、「ヒトをパロディ化するために、意表をついたキャラとして、連続性があきらかなサル類を利用する」という発想以外はイメージできない。■だから、アフリカ系など非ヨーロッパ系への差別意識とかかわりがあるなしにかかわりなく、「ヒトをパロディ化」したいという意図は否定できない。サルに対して蔑視(すくなくとも軽侮)が不在のばあい、わざわざ サル・キャラが援用されることなどない以上、「悪気などなかった」という いいわけは、意味がない。■ましてや、今回のばあい、オバマ候補のキャッチ・コピーをあきらかに意識した構成をとっていることで、オバマ候補への尊敬の念がなかっただろうことが、モレだしている。たとえば、現代日本人の男性たちのおおくが尊敬しているだろう、マイケル・ジョーダンタイガー・ウッズなどをイメージさせるために、サルをつかうか、かんがえれば、あきらかだ。■かれらが、すべてアスリートであることは重要だろう。デンゼル・ワシントンなど知性派キャラ、コリン・パウエルなど知将キャラが今後でてくるかだが、サラリーマンたちが代償行為の対象にしていないだろうことが、すけてみえる。■まあ、軍人(特殊部隊)系にしか大衆的な人気があつまらないことは、日本人男性の劣等感のうらがえとしての「ゴルゴ13」の位置づけでよくわかるが(笑)。

■ヒトがクジラやイルカ、ウマ/イヌ、あるいは動物実験や毛皮などに供される動物の「生存権」を問題化する、ひろい意味での「動物愛護」運動が、アニミズムの伝統がよわい一神教の世界、端的にいえばキリスト教世界から近代に発生したこと。■それが、①人類との連続性を意識化した結果なのか(おなじ生態系のなかでの「同列」の生命体であるとの自覚)? ②ブルジョア世界がうみだした、形式的な人権意識(「神のまえの平等」の近代的変種)の延長線としての、恩きせがましい「恩恵」意識なのか? それはよくわからない。思想史系の研究者には整理がついているのかもしれないが、すくなくともハラナのようなしろうとには、①②が未分化のまま混在・混乱したままのようにみえる。「自画像」的には前者①だけど、無自覚なネッコの部分では後者②だとかね。

■サル・キャラの援用のされかた、「イエロー・モンキー」といった蔑称、ヒト/サル間での「ハイブリッド」(混血)の誕生に対する、いいようのない恐怖感、…。これらには、サル類全体の連続性に対する人類がかかえる複雑な心理(コンプレクス)が端的にあらわれている。
【かきかけ】



●Google検索”イー・モバイルCM”
●「新刊『幻想としての人種/民族/国民』(ましこ・ひでのり,三元社)2【追記あり】
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タグ : 人種差別サル類人猿連続体

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2008.8.17.21:00ころ 朝日新聞の日曜版で連載されているらしき「国を


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