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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
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【位置 リベラル左派】

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諫早開門 にじむ消極姿勢、農相会見に漁業者ら憤り(読売・九州)

■『読売新聞』(九州発)の記事から、諫早湾干拓事業の訴訟の動向。


諫早開門 にじむ消極姿勢、
 農相会見に漁業者ら憤り



若林農相
記者会見する若林農相(10日午後8時21分、
東京・千代田区で)=竹田津敦史撮影


 「農業者らの不安を無視して排水門を開けることはできない」――。国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡る訴訟で、福岡高裁への控訴とともに、潮受け堤防排水門を開放した調査は先送りすることを10日夜の記者会見で表明した若林農相。「被害の深刻さを分かっているのか」。控訴断念と即時開門を信じた原告の漁業者らは批判のボルテージを高めた。

 一方、諫早市の干拓農地の営農者らは控訴には安堵(あんど)しながらも、「いつになったら決着するのか」と国への不信や不安を募らせた。

 若林農相は午後8時から50分間、農水省8階で記者会見に臨んだ。「佐賀地裁に控訴状を提出しました」と切り出した後、用意した談話をゆっくり読み上げた。

 「開門調査を実施するのか」「いつ開門するのか」。報道陣の質問は、佐賀地裁判決が命じた潮受け堤防排水門の開放に集中した。

 若林農相は「検討はこれから。今の段階では時期ははっきり申し上げられない」と慎重な口調で答えた。「開門調査へのハードルは高いのではないか」との問いには「おっしゃる通りだ」と答え、開門に消極的な姿勢をにじませた。

 開門調査を行う場合、中・長期になるのか短期なのかを聞かれると、「長期や短期というのはあいまいな概念。答えられない」と言葉を濁した。


 午後8時50分ごろ、農水省前で控訴断念を求めて座り込みを続けていた訴訟の原告ら約30人は、国側控訴の知らせを聞いた。「農水省は控訴を取り下げろ」「宝の海を取り戻すぞ」。原告らはシュプレヒコールの声をひときわ高くした。

 福岡県大牟田市のノリ養殖業松藤文豪さん(51)は「環境影響評価はすでに干拓工事着手前に終わっている。バカにしているのか」と憤っていた。

 「環境影響評価は、開門しないためのまやかしだ」。原告弁護団も同夜、佐賀市で会見し、国側の対応を批判した。

(2008年7月11日 読売新聞)

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■おなじく、『読売新聞』(九州発)の関連記事


諫早干拓
 環境アセス実施し開門見極めへ、
   判決は控訴

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡る訴訟で、国に潮受け堤防の排水門の開放を命じた佐賀地裁判決について、若林農相は10日、農林水産省で記者会見を開き、福岡高裁に控訴したと発表した。

 同時に、開門調査が実施できるかを見極めるため、数か月以内にも環境アセスメント(影響評価)を開始する方針を明らかにした。

 控訴理由について農相は、「排水門の開放は、干拓地での農業を困難にする上、(塩害や洪水などの)被害を防止するためには多額の費用が必要になる」などとして、「このような不安を無視して、判決の通り開門することはできない」と説明した。

 一方で「地元からは『開門してほしい』という要請もあり、双方の切実な声をくみ取るため、開門調査のための環境影響評価を始める」とした。調査方法は環境省と相談しながら決める方針で、その結果を受け、開門の仕方を決めるという。

 「環境影響評価の結果によっては開門調査を行わないこともあるのか」との質問に対しては「その通りだ」と答えた。また、開門調査を実施する場合には、事前調査や対策工事に少なくとも6年かかるとの見通しを明らかにした。

 農相は「判決の通りの(5年間にわたる常時の)開門はできないが、方法はいろいろある。常時ではない開門の仕方での調査も探るべきではないか」とも話した。

 原告のうち漁業被害や原告適格が認められなかった51人は国の控訴を受け、11日に福岡高裁に控訴することを決めた。

(2008年7月11日 読売新聞)

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■ウィキペディアの該当部分もはりつけておこう。


干拓に伴う環境破壊と漁業被害
1989年より「国営諫早湾干拓事業」の工事が行われ、1997年4月14日に潮受け堤防が閉じられた。それにより、かつては「宝の海」と言われた有明海において二枚貝タイラギが死滅、海苔の色落ち被害も大量に発生し、有明海全体が死の海と化したとして、自然保護団体のみならず、沿岸の漁協の猛反対にあっている。しかし漁業被害には、海苔業者が消毒目的に散布した酸、および化学肥料による影響があったとも考えられている。

2001年に武部勤農林水産大臣(当時)は、干拓事業の抜本的な見直しを表明したものの、所管大臣には、在任中にしかその権限がないため、武部の農相退任後、農水省は一転して推進の立場に逆戻りした。

さらに、2005年8月30日には、漁民らが公害等調整委員会に対して求めていた、有明海における漁業被害と干拓事業との因果関係についての原因裁定申請が棄却されたところであり、継続中の他の裁判への影響も懸念されている。

この干拓工事による漁業被害の事例は、文部科学省の外郭団体である科学技術振興機構(JST)のまとめた失敗知識データベース「失敗百選」において「ノリを始めとする漁獲高の減少など、水産業振興の大きな妨げにもなっている」として公共事業(建設事業)での失敗例として事例提供され、この結果に至ったシナリオ(経緯)として「組織、管理、企画、戦略不良、利害関係未調整で事業開始、誤判断、狭い視野、社会情勢に未対応、調査検討の不足、事前検討不足、環境影響調査不十分、計画・設計、計画不良、走り出したら止まらない公共事業、裁判所による工事差し止め命令、二次災害、環境破壊、赤潮発生、漁業被害、社会の被害、人の意識変化、公共事業不信」としている[1]

潮受け堤防の締め切りから約10年後の2007年11月20日に完工式が行われ、翌12月22日午後5時、潮受け堤防の上に全長8.5kmの諫早湾干拓堤防道路が開通した。 2008年6月27日には干拓事業と漁業被害と関連を問う裁判で佐賀地裁は漁業被害との関連を一部認め水門5年間開放するよう命じる判決を言い渡した。公共事業に対しノーを突きつけたものだった。


地元における干拓事業推進派の背景
一方、諫早湾南岸の諫早市小野地区及び同市森山町地区には強固な推進派住民が多い。この地域は島原半島首頚部の狭隘な地峡に当たり、江戸時代から昭和期にかけての干拓によって集水域面積に見合わないほどの広大な干拓地を擁するに至った地域である。

例えば旧森山町の林野面積646haに対して耕地面積941haであり、この耕地面積の84.2%が水田である。これは諫早湾北岸北高来郡高来町(現諫早市高来町)の林野面積3,231haに対する耕地面積が725haであり、そのうち水田面積が66.6%であることと比較すると、その水田面積と比べてこれを涵養する集水域の狭さが理解できる。
諫早湾岸6町の土地利用

諫早湾岸6町の土地利用を農林水産省統計部のサイト
「わがマチ・わがムラ」のデータよりExcelによりグラフ化(2004年7月8日現在)
森山町の林野に対する水田比率の高さは突出している


このため、この地域では不足しがちな灌漑用水を干拓地水田のクリーク網に溜めることで確保してきた一方、水をしっかりくわえ込む構造のクリーク網を備えた水田は梅雨期にこの地方を頻繁に襲う集中豪雨によって容易に冠水し、田植え直後の稲が壊滅的打撃を受ける危険と隣り合わせの米作りを強いられてきた。こうした悪条件の克服は、市、町といった一地方公共団体レベルの事業では手があまり、国、県レベルの事業による給排水問題の解決が望まれてきた。

しかしこの問題は、干拓事業が計画されて以来、本来農耕地の拡大を主目的とする干拓事業の副産物(堤防外の水面低下と調整池の成立)で解決できるとして長期にわたって放置され、干拓事業の遂行がこの地域で水稲栽培を中心とする農業を継続するための唯一の選択肢であると喧伝された。こうして地域の農民及び自治体行政の声は干拓推進を希求する方向で固まっていき、乏しい灌漑用水を地域の中で公平に分配する必要から生じた共同体の決定事項に異論を唱えることを強く控える気風ともあいまって、異論がほとんど外に漏れる余地もない強固な干拓推進派地区が形成されてきたのである。

これが、国や県当局が事業の当初からこの干拓は地域の人命と財産を守る防災をも目的としており、本来の防災目的として干拓を遂行しているとする根拠であり、諫早市小野地区と森山町地区住民、特にその中の水稲農家は事業遂行の人質的な立場にあるとも言える。

一方、反対派の主張にも疑問が唱えられている。反対派は科学的根拠の薄い主張によって感情的に否定しているだけ、という指摘もある。また、農業従事者と漁業従事者には違った影響があることから、双方の主張が対立している。さらに、地域住民の問題としてではなく、環境団体などから環境問題の象徴的存在として扱われているという側面もある。

干拓事業に賛成にせよ反対にせよ、いずれの主張にもその立場によって正当性があるため、容易に結論の出せない問題となっている。一方、生態系への影響という観点からはあまり顧みられていないという問題点もある。

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■農家のひとたちには 言い分があるんだろうが、「集水域面積に見合わないほどの広大な干拓地を擁するに至った」という構造があるからこそ、「梅雨期にこの地方を頻繁に襲う集中豪雨によって容易に冠水し、田植え直後の稲が壊滅的打撃を受ける危険と隣り合わせの米作りを強いられてきた」というのは、乱暴ないいかたをすれば「自業自得」。■漁業関係者が依存する生態系を破壊してまで、洪水をとめろ、といいはるのは強弁ではないか? 「干拓事業に賛成にせよ反対にせよ、いずれの主張にもその立場によって正当性がある」とか、「反対派は科学的根拠の薄い主張によって感情的に否定しているだけ、という指摘もある」などと、かかれては いるんだが、農業・漁業関係者双方の利害対立は、農家のがわが「原因」をつくりだしているとおもわれる。■要するに、政府の公共事業という、「とまれない巨人」をみかたにつけた農家がわが、巨大な堤防と道路をつくらせてしまって、漁業がわに、壊滅的打撃をあたえたというのが、基本構図だろう。 「反対派は科学的根拠の薄い主張によって感情的に否定しているだけ」とか、「地域住民の問題としてではなく、環境団体などから環境問題の象徴的存在として扱われているという側面もある」というのなら、賛成派がわは、旧来の漁業を破滅においこんでよい「科学的根拠」とやらをだすべきではないか? そして、地域対立を一方的に賛成がわ優位にかえてしまったことの、得失の道義的・倫理的正当性を整理してのべるべきだろう。■かりに、洪水による人命リスク等がシミュレーションできるにしろ、反対派住民は、漁業被害を賛成派住民に請求できるとおもうが、それでいいのか?
■いずれにせよ、国策がからまなければ、巨大な干拓事業などできなかったわけだし、地域対立をここまで悲惨なものにしなかったはずで、農水省ほか政府関係者は、その責任をおわねばならない。

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タグ : 諫早湾 水門 干拓 公共事業

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コメント

西日本新聞より

湾内2漁協から提訴 月内にも組合員14人 諫干の開門求め
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100218-00000001-nnp-l42

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