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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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医師養成数、増加へ転換(厚労省方針)

■『朝日』の記事から。

医師養成数、増加へ転換
 医療危機受け厚労省方針
2008年6月18日

 医師不足問題を受けて将来の医療のあり方を検討していた厚生労働省は18日、「安心と希望の医療確保ビジョン」をまとめた。82年以降初めて、医師総数が不足しているとの見解をとり、医師養成数の抑制方針を転換。中長期的に医師を増やす方針を打ち出した。看護師など他職種との連携強化、救急医療の充実なども盛り込んだ。
医学部入学定員総数

 舛添厚労相が設置した検討会で議論していた。この日、「新しい医療体制に向け、方向付けができる」と述べた。

 医学部定員は、84年の8280人をピークに89年に8千人を割り、07年は7625人(文部科学省調べ)。減少は、養成数抑制の方針を打ち出した82年の閣議決定のため。97年の閣議決定でも維持された。国は06年以降、「地元枠」などとして一部で定員を増やす緊急対策をとったが、「地域、診療科ごとの偏在や不足」との立場。将来は医師が過剰になるという推計を根拠に、恒久的な医師総数の増加には消極的だった。

 ビジョンでは「総数が不足しているとの認識の下で、対策を行う必要がある」とこれまでの姿勢を修正。抑制策をやめ、「医師養成数を増加させる」とした。具体的な人数は今後議論する。


 ただ、医師が一人前になるには入学から約10年は必要。当面の策として、看護師や助産師、薬剤師ら関係職種との役割分担を進める▽過重勤務せずに、子育てをしながら働ける労働環境を整備する▽診療科別の医師数を適正にする方策を検討する――などとした。


 また、地域内の医師数には限りがあるため、病院ごとに得意分野に集中して治療分担する必要があるとした。例えば重症患者の搬送先探しが問題となっている救急分野では、受け入れ調整役となる「管制塔病院」を整備。症状に応じて地域内の病院に振り分ける役割をもたせる。

 さらに、患者側の意識転換の必要性にも触れ、軽い症状で夜間休日に受診することが病院の負担を増している、と指摘。時間外受診の減少には、急な症状について診療必要度を相談できる電話相談窓口などの拡充が必要とした。(立松真文、林敦彦)

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■『読売』の社説も転載しておく。


医師増員
 計画的な養成と配置を図れ
(6月19日付・読売社説)

 医師不足を解消していくために、まずは必要な措置であろう。

 厚生労働省は、「安心と希望の医療確保ビジョン」をまとめ、養成する医師の人数について、これまでの「抑制」から「増員」へと方針転換した。

 1982年に医師数の抑制を閣議決定して以来、四半世紀ぶりの軌道修正である。医学部の入学定員は今年度約7800人だが、これをピークだった約8300人程度に増やす方針だ。

 政府は、70年代に1県1医科大学の設置を進め、医師の養成数を増やしてきた。しかし、80年代になると「将来、医師が増えすぎて医療費の高騰を招く」との見方が強まり、医学部定員の1割近い削減に踏み切った。

 ところが、現実にはいたるところで医師不足が叫ばれている。人口1000人当たりの医師数は2・0人で、経済協力開発機構(OECD)加盟30か国中27位だ。

 状況を見れば、積極的な増員へと、再度の政策転換は当然だ。むしろ遅すぎたと言えよう。

 だが、単に医師の全体数を増やすだけでは、直面している医師不足現象は解決できない。

 国はこれまで、医師数の増加ペースは抑制していたが、全体数を削減してきたわけではない。引退する医師は年間3000人前後なので、今でも毎年4000人ほど医師は増え続けている。

 にもかかわらず、「医師が足りない」という悲鳴が聞こえるのは、自治体病院など地域医療を担う中核病院を中心に、勤務医が次々と辞めていくからだ。

 総じて勤務医は開業医より収入が低く、長時間勤務の環境で医療にたずさわっている。

 とりわけ、産科や小児科、救急など、昼夜無く診察を求められる部門は過酷で、耐えかねた医師が開業医に転身している。医師が減り、残った医師はさらに過酷な状況になる、という悪循環だ


 休日・夜間に対応しない開業医が少なくないことや、専門分野しか診ない医師が増えたことも、医師不足を助長している。

 こうした状況を改善するには、過酷な分野で頑張る医師、地域医療を昼夜支える医師に、格段に手厚く診療報酬を配分するなど、医療費の在り方を大胆に見直す必要があろう。

 不足が顕著な診療科の医師を重点的、計画的に養成することも重要だ。一定期間、指定の場所で医師に勤務してもらうような仕組みも検討すべきである。

(2008年6月19日01時42分 読売新聞)

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■はっきりいって、医学部の入学定員総数をふやす計画が意味があるのか、微妙だとおもう。「医師が一人前になるには入学から約10年は必要。当面の策として、看護師や助産師、薬剤師ら関係職種との役割分担を進める▽過重勤務せずに、子育てをしながら働ける労働環境を整備する▽診療科別の医師数を適正にする方策を検討する――などとした」と、現在の不足分をすぐには うめられないので、応急措置として、いろいろ くふうする、っていうんだが、それが うまくまわるんなら、医師の総数は、不足していないかもしれないからだ。■弁護士や判事・検察官の 「不足」問題とは、ことが別種かもしれないが、人材分布のムラの問題という次元では、通底しているようにみえる。つまるところ、「あふれている領域と、絶対的に不足している領域がマダラ状になっている」という意味でね。
■そもそも、医師は、弁護士資格同様、やたらにひろい専門性をうたわれている。「日本の医師免許は診療科ごとに交付されるものではなく、医師は法律上はすべての診療科における診療行為を行うことができる」みたいに、非現実な感じでね。■もちろん、無医村に赴任するとか、そういったばあいには、よろずや的に全部の診療をみなければならないし、しろうとには にわかに理解しがたいぐらい、別の器官との連関が問題となって、クスリの調合とかを総合的に判断しなければいけないとか、万能選手的な勉強をわかいときにつむのは、わるくないことだろう。■しかし、救急医療の当番になっている、皮膚科・眼科医などが、タイヘンそうな外科手術などをことわって、たらいまわしの原因になっているというのは、よくきくはなしだ。要するに、10年ぐらい、専門家として 比較的せまい範囲の診療科での修業がないと一人前になれないし、医学部をでて10年ぐらいやったことのない診療科については、おそろしくて責任なんてもてないってことだとおもう。■たくさん診療科をあげている開業医は警戒すべきだとのべるお医者さんもいた(笑)。専門医をたくさんかかえる大病院に推薦状をかいてまわすという、適切なみたてができるかどうか自体が、あやしい人物がまぎれこんでいるいうことだ。

■それと、産婦人科医のように、20代では圧倒的多数が女性といった、はっきりいって、医師の主力をしめていた男性医師たちが総撤退をはじめた診療科があるように、医学部の入学定員総数を全国でふやしたところで、結局必要な医師数・過重でない労働条件をそろえられそうにない領域がのこりそうだ。■「診療科別の医師数を適正にする方策を検討する」とかいうが、所詮は、人気・不人気という問題をうまくさばける方針とはおもえない。■大都市部か地方か、激務になりがちかラクか、訴訟リスクがあるかほとんどないか、収入がかなりみこめるか そうでもないか、などで、やってられない現場と、かなり おいしい現場とが、歴然とわかれているようだから。

■そもそも、産科医・小児科医などの絶対的不足が問題化したのは、訴訟リスクなどもあるが、ウィキペディアの「病院での必要医師数の不足」が指摘するように、新人医師の研修制度を医局からうばったことが、破滅的にきいているとおもわれる。■「白い巨塔」がえがきだしたような、愚劣な権威主義・権力闘争は問題にしても、地域の中核病院の責任能力が崩壊した事実は、否定できないだろう。■新人医師の労働力搾取など、医局の権力構造の悪弊をこわしたのはいいとしても、医局の人事権が維持していた中核的な病院のリクルートを補完する制度がたてられるべきだったが、それをやらなかったわけだ。
■医療保険の機能不全として、「患者のモラルの低下」「コンビニ受診」といった問題も、医師たちの労働条件を、無意味に悪化させていることだろう。小児科医療や高齢者医療も、無料であったり、やすかったりする優遇措置が、不必要な医療をもたらしている点もみのがせない。■災害現場などでのトリアージのような次元まで切迫していないとはいえ、救急病棟が機能不全をひきおこす現状の一端は、不必要な医療が大量にまぎれこんでいる点だといえそうだ。「3時間まち、3分診療」といった大病院の悪循環であるとか、早慶戦のあとの急性アルコール中毒者大量発生での救急車不足とか、貴重な資源・人材の浪費というほかない事例はたくさんありそうだ。

■ともかく、ロースクール構想同様、総数をふやせば、競争原理によって労働市場が健全に機能しはじめるなんて幻想は、やめにした方ががいいとおもう。■はっきりいって、医学部の入学定員総数をふやして、10年後に研修をおえたあと一線にたつ段になって、過剰に人材が集中している診療科・現場と、依然として不足している診療科・現場という、皮肉な実態がでるかもしれないことを、本気で検討すべきだろう。



●ウィキペディア「医療崩壊
●ウィキペディア「福島県立大野病院産科医逮捕事件
●ウィキペディア「モンスターペイシェント

●旧ブログ「医師不足」関連記事
●日記内「産婦人科」関連記事
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テーマ : 医療・健康 - ジャンル : ニュース

タグ : 医師 医学部 リクルート 労働市場 厚生労働省

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コメント

厚労省の中で何かが起きている(日経メディカル)

●「厚労省の中で何かが起きている」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/mric/200806/506926.html
●「医師養成数、「増加」に方針転換」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200806/506928.html
●「空振り続く医師不足対策、打つ手はあるのか」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t011/200806/506898.html

産婦人科の意見

医師養成数、増加へ転換 (厚労省方針)
コメント(私見):
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2008/06/post_d6f6_6.html

厚生労働省は、医師養成数について従来の「抑制」から「増員」へと方針を転換しました。医療崩壊と称される医療現場の現状を打開するために、今後の中長期的な方向性としては必要な正しい対応と考えられます。

しかし、医師総数は今でも毎年着実に増えているのに、例えば、産婦人科の医師数は長期的に激減し続けています。単純に医師の総数を増やすだけの政策であれば、現時点において医師不足が顕著な診療科や地域の医師数が、期待通りに今後増えてくれるかどうか?は全くわかりません。現状の医師配置のアンバランスが、今後ますます顕著になってゆく可能性もあります。

また、医師の養成には時間がかかる(医学部6年+初期研修2年+専門研修3~6年)ので、今、大学の医学部の定員を大幅に増やしたとしても、実際の医療現場にその増員効果が現れ始めるのは十年後の話であり、当面の数ヶ月~数年間の短期的な医師不足対策は、中長期ビジョンとは別に考えていく必要があります。

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■最後の一節は、厚生労働省自身がみとめているんだから、蛇足だろう。また冒頭部分も根拠が具体的にしめされていない。■しかし、中段は重要な論点だね。
■ともかく、自由放任主義でおくかぎり、訴訟リスクがひくい診療科に医学部生がながれることをとめられないし、ひとで不足の空間をうめてくれる保証もない。■つまりは、リクルート・育成のムラ・ムダが構造的に解消なれないかぎり、過剰供給で医師の労賃がさがるところがふえるだけで、たとえば美容整形など利潤追求の業者だけがこえふとるといった、悲惨な結果だって、ありえる。■過重労働や過大な責任など、医師の責務と報酬が双方ひくめに推移するためには、育成数の増加が必要だが、いま切迫している医師不足には、なんら即効性がないばかりか、将来も保証がないなら、政策転換の意味はあやしい。

「地方の医師不足、その本当の原因とは?」(日経メディカル ブログ:色平哲郎の「医のふるさと」)

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/200810/508039.html

……長医師は、昨今の地方の医師不足が「新臨床研修制度で都市の
 研修指定病院に研修医が集中し、地方の大学医局に残らなくなったため」
 という一般的に流布している解釈に対し、
「本当に研修制度の問題なのか?」と疑問を呈している。

 長医師が、『医療タイムス』に載せた記事の一部を引用してみたい。


……一番の問題は、実は地方の医学部に地方出身者が少なく、
都市部出身者が多いことが最大の理由ではないか。
信大でも本県(長野県)出身者は例年2割いるかどうかであろうし、
小生が接する全国の医学生から各大学の状況を聞いても地元は
3割くらいの所が多く、さらに町村の出身者となると非常に少ない。

つまり都会で私立一貫校や塾など多額の投資をした者が、
地方の医学部に多く進学しているという実態がある。

その者らが、従来は都市の大学の医局に「外様」で戻るより
母校の医局に残ることがメリットが多いと判断していたのが、
昨今の地方の切り捨てという世間の風潮の中、
地方に残ることを避ける傾向にあり、
ちょうど新制度で都市に研修病院が増えたことが重なり、
都市に戻るようになったのが、地方の医師不足の主因だろう。……

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