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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

前ブログ: 『タカマサのきまぐれ時評

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胡錦濤【国家主席】は大地震を訪日前に知っていた!(週刊現代)

■きのう発売の『週刊現代』の「緊急大特集 大陸の天災人災」のトップ記事は、「胡錦濤【国家主席】は大地震を訪日前に知っていた!」。特集のトップページには、つぎのような おどろおどろしい「みだし」」がおどる。

胡錦濤【国家主席】は
 大地震を訪日前に知っていた!


死者10万人以上の可能性もある大惨事は“人災”だった! 
中国政府がひた隠す驚愕の真相 
●4月22日に地震局幹部を召集、29日には防災担当者を大量増員
●'96年に同地域で起きた麗江大地震も3ヵ月前に予知していた
●温家宝首相は発生直後、特別機に。しかもテレビカメラ同行して
●「地震を克服してオリンピックを成功させよう」のアピール


■しかし、記事中に「こうしたことを考えれば、今回の惨事を、胡錦濤主席は、5月の訪日前に予見していた可能性が高いのである」と、正直に推定にすぎないことを告白している以上、「胡錦濤【国家主席】は大地震を訪日前に知っていた!」という、おおみだしは、さすがに「詐欺商法」だろう。■ときに下劣な断定口調で「うらんかな」根性まるだしのスポーツ新聞の みだしなみの水準と批判をあびても、しかたがない。 ■記事そのものは、なかなかよませる迫力というか、取材のあとがみてとれる。■たとえば、

……
 四川大地震の発生から丸一日を経て、北京で国務院(中央政府) 新聞弁公室が記者会見を開いた。
 会見場が凍りついたのは、質疑応答に映った時だった。シンガポールの『聨合早報』の女性記者が、次のような爆弾質問を行ったのだ。
「われわれは四川省地震局の7人の職員からタレコミをもらっています。彼らは地震発生の数日前から、今回の大地震を予知していたにもかかわらず、北京オリンピック前に国内を動揺させてはいけないという上層部からの圧力で、地震発生を事前に公表できなかったと証言しています。これを説明してください」
 壇上の張宏衛中国地震局スポークスマンの顔色がみるみる青ざめていく。結局、
「そのような予知というのは、道理に合わない」
 とかわすのが精一杯だった。
 ’71年に開設された中国地震局は、中国全土20ヵ所に地震局を設置し、24時間態勢で地震予知活動を行っている。5000m級の高山と平地の断層が直接ぶつかり合う地震多発地帯「竜門山断層帯」に位置する四川省と隣の雲南省などでは、重点的に調査を行っている。
「中国地震局は、’76年に24万人の犠牲者を出した唐山大地震を予知して以来、中国国内の地震予知については定評があります。地質学的な分析はむろん、動物の異常行動に至るまで幅広く観測しているのが特徴です」(大阪市立大学名誉教授・弘原海[わだつみ]清氏)
 中国国務院の関係者も明かす。
「実は4月22日に、中国地震局の陳建民局長が、全国地震局長会議を緊急召集しています。その席で、前日に雲南省盈江市でM5.0の地震が発生したことを踏まえ、竜門山断層帯一帯、特に四川省で近々、大規模な地震が発生する可能性が指摘されたのです。この時の会議の議事録は、すぐに中南海(胡錦濤主席ら最高幹部の住居兼執務室がある区域)に報告されました」

 この秘密会議を受けて、翌23日と24日に、四川省地震局は省都・成都で、緊急地震工作会議を開いている。そこには四川省の防災関係部局の幹部90人あまりが一堂に会し、近く大地震が発生した際の救助・避難措置などについて、綿密に確認しあっている。さらに4月29日には、今回の地震で市民6000人が生き埋めになった四川省綿陽市で、防災担当者の大増員が図られている。

 こうしたことを考えれば、今回の惨事を、胡錦濤主席は、5月の訪日前に予見していた可能性が高いのである。 
------------------------------------------------
■「被災地への対応にみる中国共産党政権の判断の是非をめぐって」でもかいたとおり、不用意な中国政府批判は、感情的な反中国キャンペーンとして機能するだけで、冷凍ギョーザ事件同様、ロクなことがない。■で、冷静に、この記事をよんでいくと、胡錦濤主席ら政府中枢部の要人たちが、これらの報告について、しらなかったとかんがえるのは、はなはだ不自然ではあるが、断言できるとまでは、いえない。また、中枢部が、かりに熟知していたにしても、大量の住民避難などの措置を即断すべきかどうかといった判断を適切におこなえる状態であったかどうかは、微妙だ。なぜか? 『週刊現代』の記事をもうすこし転載しよう。

門山断層帯近くの大地震と言えば、’96年2月に雲南省麗江で発生した’96年2月に雲南省麗江で発生したM7.0の地震が記憶に新しい。当時、本誌記者が現地で直撃取材した中国地震局の幹部は、次のように明かした。
「われわれは3ヵ月も前から、2月か3月に麗江一帯で大地震が発生する確率が非常に高いと予知し、江沢民政権に報告していた。それなのに政府は何の対策も打ってこなかったのだから、これは天災ではなく人災だ」
 ちなみに、この時は少数民族納西族が住む人口30万人の都市が一瞬にして瓦礫の山と化したが、「死者300人あまり」というのが中国政府の公式発表だった。

 胡錦濤主席が今回の悲劇を予測できていたとするなら、なぜ事前に避難勧告を出すなど、予防措置を取らなかったのか。
 夏の北京オリンピックを「中華民族100年の夢」と言ってはばからない胡主席は、3月14日にチベット族自治区で発生した暴動を武力弾圧して以降、内外に広がった抗議運動に頭を悩ませていた。そのため、チベット族自治州の住民を避難させて新たな暴動に発展することを恐れたのではないか。
〔以上、p.15〕
-------------------------------------------------
■最後の2段落は、ともに あきらかな憶測情報にすぎない。■しかも、この記事の作文者たちは、自分がかいている文章のなかに矛盾(論理的ホコロビ)が発生していることに、全然無自覚なようだ。
■①まず、「予知」という、科学的に確立しておらず、すくなくとも、「いつなんどき、どこで」という時空の特定作業が困難なままでとどまっているのが地震学の水準だ。まともな地震学者なら、それは正直にみとめている(旧ブログ「地震予知」関連記事)。■しかも、「中国地震局は、’76年に24万人の犠牲者を出した唐山大地震を予知して以来、中国国内の地震予知については定評があります」などと、専門家の「おすみつき」をえて、得々としているようだが、要は「予知」にかりに成功しても、それによって 大した防災はできなかったということを、告白しているにひとしい。
■②さらに、震源地ちかくに、チベット族など懸案の民族問題をかかえていたこと、核施設があって震災が懸念されていたことは、事実だろう。■しかし、前項でのべたとおり、「予知」が科学的に「いつどこ」といった時空を特定できないまま、大量に住民を避難させてしまったばあい、その うけざら(地理的・経済的)をどう確保するか? ■「からぶり」のばあい、そのコストはどこが負担するのか?
■③それでなくても、チベット族を中心に 民族的摩擦が懸念されている状況で、大量の住民移動を命令で強行したばあい、それこそ「チベット族自治州の住民を避難させて新たな暴動に発展することを恐れた」のだとすれば、希望的観測にもとづいて、「おきないでくれ」とねがって、強権発動をさきのばし、ないし回避したとしても、全然不思議ではなかろう。
■④しかも、記事は、「われわれは3ヵ月も前から、2月か3月に麗江一帯で大地震が発生する確率が非常に高いと予知し、江沢民政権に報告していた。それなのに政府は何の対策も打ってこなかったのだから、これは天災ではなく人災だ」といった地震局の幹部のいかりを報じているが、すくなくとも今回は、秘密とはいえ、現地で緊急の対策会議などがもたれ、「大地震が発生した際の救助・避難措置などについて、綿密に確認しあっている」わけで、中央政府はともかくとして、無策だったわけではないことが、一目瞭然だ。■態勢が全然ことなる96年当時の政府対応と、今回をかさねあわせるのは、あらきかに「中国政府陰謀論」ともいうべき、先入観ないし差別意識がはたらいて、憶測に憶測をかさねるという、論点先取(「はじめに、結論ありき」)をおこなっていることになる。実に悪質な攻撃キャンペーンといえるだろう。
■⑤つづくp.16の、つぎのような記述にも、共通するあからさまな悪意をみてとることができるだろう。

回も温家宝首相は、地震発生から1時間半後には、震源地の四川省へ向かう特別機の機上にいた。同行したのは、242人の救援隊、12匹の救助犬、3台の救援車、7tの救援機材である。分刻みで先々まで予定が決まっている国家指導者が、これほど素早い対応を取れるというのは不思議である。
 温首相は、特別機にテレビカメラも同行させた、そして早くも機上から、「自分へのインタビューを全国に流し、「一秒就是生命!」(一秒はすなわち生命である)と力説してみせた。
 その間に胡錦濤主席は、共産党トップ9人からなる党中央政治局常務委員会を緊急召集。この会議を経て、5万人の救援隊の派遣と8.6億元(約130億円)の緊急支援が発表されたが、実はこの場で4つの重要方針も決定したという。
「第一に、政府の救援活動の大々的な宣伝、第二に、チベット族との友好のアピール、第三にオリンピックへの愛国主義とのリンク、そして第四に、諸国を味方につけることです」(前出・国務院関係者」……

-------------------------------------------
■あまりに てぎわのよすぎる 即応態勢と訪日の分業体制は、大震災を「“転禍為福”(禍転じて福と為す)」ための単なる手段だと、きめつけるのである。■そうかもしれないが、これも憶測だ。しかも、救援活動を、単なる示威的パフォーマンスだときめつけている。
■実に、気色わるい断定だ。
■この記事のあとには「だが、その間にも被災地では、死者や行方不明者が増えていき、阿鼻叫喚の地獄絵はいまだ続いている」といった、したりがおな論評がくわえられているが、およそ 中国政府非難のための素材として、現地住民の苦難を資源化して、カネもうけにつかっている この記事など、せいぜい同次元というほかあるまい。
■百歩ゆずって、中国政府中枢部が、全部おりこみずみの分業・パフォーマンスを演じているという仮説がただしいとしよう。■では、それをあげつらう意図はなにか? そうである。反中国的な意識をかかえる読者をあおり、そのために、現地の窮状を最大限にダシにするという、実に卑劣な商売だ。■『週刊現代』のスクープは、安倍前首相を退陣においこむなど、基本的にかっている方なんだが、今回のスクープは、商業主義メディアの最低の次元をみせてもらった感じで、実に気分がわるい。
■こういった、品性下劣な記事をかく記者と、それで簡単にあおられる読者が無数にいる日本列島というのは、全然「美しくない国」だね。再三かいてきたけど。■せっかく、現地でがんばる、救援隊組織の奮闘とか責任感とかで、気分がうわむいていたのに。
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断層とマグニチュードについて。

モーメントマグニチュードでいうと断層面積(長さ、幅)とずれ量と剛性率(地盤の固さ)から算出します。
沈み込む海溝では断層幅が最大200km程度取れるのに対して、内陸では地殻の厚さから30~40km程度しか取れません。よって、今回の四川大地震の断層の長さと幅から単純計算してもMw8程度で相応です。
また、断層面は一様ではなく、ずれが大きいところもあれば、ずれが小さくほとんど小さいところもあります。ほとんど小さいところは地表に断層の食い違いを見ることはできません。

今回の四川大地震は余震分布などの解析から長さおよそ300kmの断層が動いたことがわかってきました。
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/topics/china2008/
内陸の浅いところで起きた逆断層型のメカニズムの地震としては世界最大級の部類に入ります。
近年、内陸の横ずれ断層としては
2001年のチベットの地震
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/sanchu/Seismo_Note/EIC_News/011114.html
2002年のアラスカ中部の地震
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/sanchu/Seismo_Note/EIC_News/021103AL.html
があります(ともに人があまり住んでいないため被害がほとんどなかった)。

一方、
2004年末のスマトラ沖地震では断層の長さが1300kmです。
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/info/coralreef.html
モーメントマグニチュード(Mw)は9.1~9.3です。
M9クラスとなると断層長が少なくとも600km以上は必要になります。

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