プロフィール

ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

前ブログ: 『タカマサのきまぐれ時評

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

ブロとも申請フォーム

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム14

前便つづき。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
     世界の環境ホットニュース[GEN] 675号 08年04月10日
          ご意見・ご投稿 → このメールに返信

           毒餃子事件報道を検証する【第14回】         

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 毒餃子事件報道を検証する   原田 和明

 第14回 メタミドホス 2万ppm 考

 千葉県警は1月30日の発表まで 千葉市の女性とは一度も連絡をとらないなど、千葉市の事件にはまったく無関心だったにも関わらず、事件発表から2か月も経った3月末、千葉市の女性が購入した餃子には 約2万ppm (ppm は100万分の1なので100分の2、つまり2%)という とんでもない高濃度のメタミドホスが含まれていたと発表しました。今回は千葉県警の発表した数値の意味を考えて見ます。

 千葉県警の分析結果を伝える4月1日付読売新聞から引用。


 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、千葉県警は31日、中毒を起こした千葉市の母娘が食べたギョーザが入っていたパックの未調理品から、最大約2万ppmの極めて高濃度の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を検出したと発表した。

 同県市川市の一家が吐き出したギョーザの3580ppm を大きく上回り、ニラの残留基準値(0.3ppm)の6万倍以上になる。県警は「残留農薬とは到底考えられず、製造から袋詰めの間に人為的に混入された可能性が高い」としている。

 鑑定では、未調理の3個の皮から1490~1万7680ppm、具から410~1万9290ppmを検出。母娘が吐き出した調理済みギョーザでは、皮から1470ppm、具から1240ppm が検出された。

 内閣府によると、体重50キロの人が一度に摂取しても健康を害さないとされる量は0.15ミリ・グラムで、今回の濃度をギョーザ1個分に換算すると最大約260ミリ・グラムになる。

 本山直樹・千葉大教授(農薬毒性学)の話「原液を直接かけないとあり得ない濃度。子供なら1個、大人でも2個食べると死ぬ可能性がある」(引用終わり)


 この千葉市の母娘が食べた餃子(未調理品)は既に本人が現物を持ち込んだ生協で分析されており、具と皮は分離しない状態でメタミドホス濃度は130ppmだったことが報告されています。(2.1 読売新聞他)

 餃子1個は約14gですから 餃子1個あたりのメタミドホス混入量は130ppm×14g=平均 1.8mg(ミリグラム)と推定されます。この量はシリーズ第2回で紹介したように「何らかの症状が出てもおかしくない」量に相当し、千葉市の母親が餃子1個を飲み込んで一日入院したという症状も合理的に説明できます。

 それに対して、今回千葉県警が発表した約2万ppmというのは、「大人でも2個食べると死ぬ可能性がある」というとんでもなく高い数値です。最も低い数値でも先に生協が分析した数値の数倍はあり、生協の数値が平均値というわけでもなさそうです。生協の分析結果と今回の千葉県警の鑑定結果はどうしてこんなにも大差がついたのでしょうか? それらの乖離の原因については千葉県警からは何の説明もありません

 まず、千葉県警は一体どのような分析を行なって、2万ppmという高濃度を検出したのでしょうか? ヒントは「今回の濃度をギョーザ1個分に換算すると最大約260ミリ・グラムになる。」です。生協の分析結果では平均1.8mgにしかなりません。

 問題の餃子1g から1万9290ppm のメタミドホスが検出されたならば、その餃子の欠片1g には 19.3mg のメタミドホスが含まれていたことになります。餃子1個は約14g ですから、餃子1個には 14g×19.3mg/g=270mg(最大)となり、記事の記述とほぼ一致します。これは餃子を0.1g ずつに分割した場合でも 結果は同じになります。

 つまり、千葉県警は問題の餃子を皮と具に分け、さらにそれを 1g ずつ(または0.1g ずつ)に分割して、その細分化されたサンプルを ひとつずつ分析していったと推定されます。この方法ならば餃子中に仕込まれた毒物の濃淡がわかります。しかし、餃子1個につき、14回も分析を繰り返さなければなりません。時間もかかります。しかし、それでも 急げば数日で 結果は得られるでしょう。2か月はかかりすぎです。

 一方、生協の分析方法は数個の餃子をミキサーで粉砕し、サンプルを平均化して分析したと考えられます。こちらの方法が一般的で、濃度の分布はわかりませんが、短時間で平均値を求めることができます。

 以上の違いを理解したうえで、千葉県警の分析結果を再評価してみます。

 1万9290ppm が検出された餃子の具部分(1g)には19.3mg のメタミドホスがあったことになります。その他の部分にはまったくメタミドホスがなかったと仮定すると、その餃子1個中の平均濃度は、

   19.3mg÷14g=1380ppm

となり、「母娘が吐き出した 調理済み ギョーザでは、皮から 1470ppm、具から1240ppm が検出された。」に近くなります。

 さらに、千葉県警がサンプルを 0.1g ずつに細分化して分析していたとすると、0.1g 中に 1.93mg のメタミドホスが あったことになります。そして、その他の13.9g にメタミドホスが入っていなかったと仮定すると、

   1.93mg÷14g=138ppm

となります。これは生協の分析値130ppm に近くなります。

 以上のことから推察すると、千葉県警はサンプルを 1g あるいは 0.1g に細分化して分析したと考えられ、問題の餃子は毒物の濃度が極端に高い部分と、ほとんど毒物がない部分に二分されると推定されます。

 毒物の濃淡がはっきりしていますから、毒物の混入が人為的なものであることは間違いないでしょう。しかしそのタイミングは、毒物が平均化されてしまう餃子の具を作る段階での混入とは考えられません

 千葉県警は「残留農薬とは到底考えられず、製造から袋詰めの間に人為的に混入された可能性が高い」(4.1 読売新聞)と言っていますが、一部の餃子には針穴も確認されていますし、兵庫県警の「密封容器の内側からメタミドホス」という鑑定結果は偽装の疑いが強いのですから、袋詰めの後という可能性も依然として残ります。

 千葉県警はサンプルを細分化するという手法で最高濃度を導き出しています。そうして得られた最高濃度に餃子の重量を乗じて毒物の最大値を見積もるという計算上のトリック(最大値を平均値と混同する)を使いました。これでは1個の餃子の細分化したサンプルがすべて最高濃度のメタミドホスを含んでいたことになります。そうすることによって「子供なら1個、大人でも2個食べると死ぬ可能性がある」との専門家のコメントを引き出すことに成功しました。

 しかし逆に、生協が発表した130ppm の数値や、実際に1個を飲み込んでしまった被害者が一日だけの入院で済んだという状況との乖離を説明できなくなっています。千葉県警は問題の餃子の中には致死量の毒物が入った餃子もあったのだと言いたいのかもしれません。それならそれで、すべての分析結果を出してそう説明すればよいのです。千葉県警は都合のよい部分だけの発表や計算上のトリックで世論を誘導することはやめ、すべての情報を開示することが求められます。

----------------------------------------------------
■兵庫県警にかぎらず、千葉県警もかたればかたるほど、墓穴をほっている。警察庁の指揮のもと、あらかじめ用意された結論に強引にもちこんだという、国策捜査とデマカセ会見という病理をどんどん露呈させるかたちで。■中国や「北朝鮮」の政府をあしざまにいう 右派ナショナリストのみなさんは、二重の基準を悪用せずに、ちゃんと批判しよう。

■それにしても、再三かいていることだが、取材している記者さんたち、デスクさんたちは、自分たちの報道の意味を把握しているんだろうか? ■他社がながしている、あるいは過去の自分たちのながしてきた情報との比較検討をしないんだろうか? 共時的・通時的な比較検討による、資料批判をしないようなら、それはジャーナリズムのなにあたいしないとおもうが…。
スポンサーサイト

テーマ : 食に関するニュース - ジャンル : ニュース

<< 見当はずれの新銀行東京批判(竹中正治) | ホーム | 生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム13 >>


コメント

毒餃子事件

専門家である私は農薬入り餃子事件報道について、極めて不自然であり、何らかのコメントがあってしかるべきだと思っていましたが、メタミドホスの数値がクルクル変わるのにメディアからは何の疑問が発せられないのが不思議に思っていました。
今回、専門家でない方がこのようにこのように理性的に分析している記事を読みびっくりしました。
世界から信頼される試験はGLP試験(Good Laboratory Practice )といって、試験開始前に詳細な試験計画書が作成され、試験操作手順書に従って、実験され、全ての生チャートを含む記録証拠は保全されます。従って、GLP試験で行われた試験結果の数値が変わることはありえません。
メタミドホス0.03ppm以下の濃度は日本の野菜でも恒常的に検出されています。何故なら日本で最も売れている農薬アセフェート(商品名オルトラン)の活性代謝物はメタミドホスだからです。生協が何故このような安全性に全く問題がなく、恒常的に検出される濃度でも発表するのかその無知さにはあきれました。
今回の中毒では簡便に測定できる赤血球コリンステラーゼ活性の測定値がメタミドホス中毒の決め手になるのは世界の常識であるのに報告がないのも理解できません。
専門家からみれば謎だらけですが、こんなことに首を突っ込んでも何の利益にもならないので黙っているだけと思います。


池田清彦さんだったか…

sakuradorfさま

■コメントありがとうございます。
■生物学者の池田清彦さんだったかが、動物行動学者をなのる、あやしげな論者が、トンデモ生物学を発表しつづけることに対して、専門家は自分の本務にいそがしいし、トンデモ論にかかわって得することなどないから、でていかない。だから、ああいった連中が横行する。大槻教授みたいな奇特な人物はごく例外的…といった、はなしをどこかで、かいていたように記憶します。■それは、業界の事情として、そうなんだろうとは、拝察いたします。
■しかし、やはり専門家は、新聞に投稿するなどして、世論を喚起する責務をおっているとおもいます。

■ちなみに、仮名だとおもいますが、「世界の環境ホットニュース[GEN]」を配信しつづける「原田和明」氏は、ベトナム戦争での枯葉剤や、水俣病関連の記事をふくめて、化学・薬学の専門知識をおもちのかただと、小生は信じております(http://www.google.com/search?hl=ja&ie=Shift_JIS&oe=Shift_JIS&as_sitesearch=http%3A%2F%2Ftactac.blog.drecom.jp%2Farchive%2F&q=%90%A2%8AE%82%CC%8A%C2%8B%AB%83z%83b%83g%83j%83%85%81%5B%83X&btnG=%8C%9F%8D%F5)。

■しろうとが、化学の世界にくびをつっこむのは危険だとおもいますが、いわゆる「科学ライター」とよばれるかたがおおくない現状では、情報をつきあわせて、事態を推測するほかありません。
■ちなみに、「農薬アセフェート」「オルトラン」については、原田さんが記事化していますので、それを紹介しました(http://harana.blog21.fc2.com/blog-entry-186.html)。■『AERA』のような雑誌はとりあげも、新聞は沈黙というのは、日本のメディアのヤミをうかがわせます。アリバイ的に週刊誌ではとりあげる、朝日新聞のような媒体の体質も…。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。