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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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交通量のコンピュータ・シミュレーションは、なぜ機能しない?=「ムダ」とはなにか28

■『宮田秀明の「経営の設計学」』シリーズのひとつ「道路予算は地方を救わない」(2008年2月1日)から、一部転載。


……
 国の経営を、論理に従って清々粛々と行うのが為政だと思う。しかし国会では、論理のよく分からない議論が横行している。例えば福田康夫首相の「地域の自立・活性化や国民生活に必要な道路整備を実施するため、暫定税率は今後10年継続しなければならない」という説明は論理的に正しいのだろうか。

 道路を整備することが、産業にどのような直接的効果をもたらし、市民にどのような間接的効果を及ぼすのかを試算して数字で示すことが求められる。さらにその効果は、この予算を別の事業に用いた時の効果と比較し、優劣判定を行ったうえで政策を選定するのが論理的な為政である。

 予測が入るので、数字で表現するのは易しいことではない。しかし、できないわけではない。もし官僚や経済学者にできないのなら、民間シンクタンクや私たち理系の大学人に任せてはどうだろう。

 道路特定財源の暫定税率分の年間2兆6000億円という金額は、国の教育関係予算の3分の2に相当するほどの額だ。それなのに、道路投資かガソリンの値下げの2つの選択肢しかないというのでは議論がお粗末すぎる。道路には政官業癒着が強いことも、現代日本では公共投資の効果が低くなっていることも、もう共通認識になっている。もっと議論が交わされて新しい政策が提示されるべきだ。


シミュレーションによって
 必要な輸送手段や交通が分かる


 私たちの研究室では船舶や輸送や交通も重要な研究テーマなので、この分野の詳細を知る機会も多い。

 関東運輸局の依頼で、東京湾の有効利用の研究を以前に行った。東京湾アクアラインのできる前のことだ。木更津と川崎の間をフェリーで結び、道路の渋滞を解消しようというものだった。この答えは簡単だった。車を80台積めるフェリーを10~15隻建造すれば、日量7000台の車を片道1時間もかからないで運べる。

 1隻20億円ぐらいだから、船舶に200億~300億円、その他を含めても600億円ぐらいの投資で賄えそうだった。フェリー案では運航費が確かにかかる。だが、総工費1兆4400億円をかけて50年計画の償還がまず不可能なアクアラインの案とは比較検討さえされなかった。
……
 高速道路シミュレーションの研究については1年半前にこの欄でも紹介した(コンピューターが見つけ出した「中央道拡張」のムダ)。分割前の道路公団に依頼された研究である。高速道路上の車を1台1台再現し、400万台の車を1日8万6400秒、1秒刻みで走らせるシミュレーションを使った研究だ。

 車同士が衝突しないように1秒ごとに行うのだ。このシミュレーションで分かったことはたくさんあるが、1つは高速道路の渋滞の大部分は大都市周辺に限られるということだ。東名高速道路なら厚木と東京の間にバイパスがあれば、大きな改善が得られる。例えば東名と西湘バイパスをつなぐのも効果が高いと予想された。

 渋滞による経済的損失は何兆円にも上るという試算があるようだが、そのほとんどは首都圏と京阪神圏で発生している。地方都市またはその周辺でも見られるが、比較にならないぐらい小さな規模だ。
……

--------------------------------------------------
■ついでに、「コンピューターが見つけ出した「中央道拡張」のムダ」(2006年7月7日)も主要部分をはりつけておこう。


 3年前、私は学生と一緒に東名高速道路の上を横切る陸橋から、高速道路の様子をビデオ撮影していた。静岡市と清水市の中間辺り、茶畑の近くだった。目的は、映像から高速道路を走る自動車の速度と車間距離の関係を探り出すこと。映像を使って様々な事象を解析する、このような研究手法を自然科学では画像解析と呼ぶ。

 東名高速道路を走る車の速度は、時速60キロから時速140キロの間でほぼ正規分布を示す。最近利用が増えてきたETC(自動料金収受システム)対応の料金所ゲートは「時速20キロ以下で走行」と指示されているが、実際に車の速度を調べてみると、時速40キロを中心に時速20キロから時速60キロの間に散らばっており、やはり正規分布になった。


高速道路サービスの本質とは

 この調査は、2002年に当時の道路公団の要請と協力を受けて始めたものだった。高速道路の経営をシミュレーション技術によって科学的に行うのが目的である。高速道路は一種のサービス業で、サービス内容は比較的単純だ。利用者が短時間で移動することを助ける、つまり“時間価値の提供”が高速道路サービスの本質である。

 日本人の平均的な時間価値は1時間当たり2500円。乗用車には平均1.3人乗車している。こうしたデータを使えば、時間価値を定量化して評価することができる。例えば、鉄道の駅や空港から目的地までタクシーとバスのどちらを使うか。タクシーに乗ると30分早く着くことが予測される。だが、タクシー料金はバス料金よりも2000円高い。この場合、タクシーを選ぶ人の時間価値は1時間当たり4000円以上で、平均よりも時間価値が高いと言えるわけだ。

 今や、全国7000キロメートルを超える高速道路ネットワークをそのままコンピューター上で表現することはそれほど難しくなくなった。多くの車に搭載されているカーナビは、まさにそれである。道路の車線数やインターチェンジなどの情報を加えて、高速道路網をグラフィックス表示するのはコンピューターの得意技。渋滞情報だってリアルタイムに配信される時代になった。

 コンピューター上に表現した仮想の高速道路に、1日400万台の車を走らせ、交通の流れ(フロー)を作ると、現実とほぼ同じ道路交通の様子が再現される。これがシミュレーション技術である。


 高速道路の利用者は、インターチェンジで必ず磁気カードやETCを使うので、入出車の数字は毎日正確に記録されている。車の流れは、ビデオ撮影した実際の計測結果を使って時速60~140キロの正規分布でデータを与えてやる。そうしてコンピューター上で、400万台の車を1日8万6400秒、1秒刻みで走らせ、衝突しないようにすべての車は実際のドライバーが運転するかのごとく再現する。最後に、通行にかかった所要時間から1台1台の時間価値を算出すれば、高速道路サービスが生み出した価値を評価して支払った高速料金と比較できる。

 道路上の車の流れは、非線形で難しい現象である。特定の交通量では、全くスムーズに流れていたのに、たった10%交通量が増えただけで渋滞が発生したりすることがある。こうした現象も、シミュレーションの実験で全く自然に再現できる。


「10兆円を遣って100年償還」の妥当性

 これまでも、このコラムで何度か書いてきたが、コンピューターシミュレーションの最大のメリットは未来を予測できることだ。例えば、第2東名を建設すると約10兆円の総事業費がかかるという見積もりが出たとしよう。この時、この見積もりと30年間の全利用者が受ける時間価値を比較すれば、予算額が妥当なものかどうかを評価できる。

 30年間の需要の伸びを推定するのが一番難しいところだが、10兆円を使って建設した後で、実は償還には100年かかりますといったような無責任な経営を行わないために、シミュレーションによる道路の科学的経営は必須である。何億円もするような巨大なスーパーコンピューターを使うという話ではない。読者の皆さんのお手元にあるパソコンを、10台か20台つないでフル稼働させれば十分に可能な話なのである。

 私の研究室でも、開発したシミュレーションツールを使って簡単な事例検証を行ってみた。中央高速道路の拡幅工事についてである。


 中央道では、数年前に約1000億円かけて大月から小仏トンネルまでを2車線から3車線に広げる工事が行われた。小仏トンネルから東京方面にかけては2車線のままである。コンピューター上で3車線を、過去に戻して2車線にして現在の交通量を流すシミュレーションを実行してみた。ちなみにこれは、研究室の4年生の卒業論文テーマである。結果は、2車線でも、3車線でも、走行する車の平均速度は1日中ほとんど変わらなかった。もちろん、これだけですべてを判断するわけにはいかないが、1000億円の投資はほぼムダだったと言って間違いではない。

 事故が起きた場合には、3車線化にはそれなりの効果がある。だが、その効果も東京の府中や高井戸周辺にある2車線区間で事故が起きた時の強烈な渋滞を考えれば、たいしたことではなかった。

 経営を科学するのは簡単ではない。やさしい事例と難しい事例がある。設計の世界でやさしい設計と難しい設計があるのと同じである。2人乗りのセスナ機の設計はやさしいが、マッハ2で飛ぶ大型旅客機やステルス戦闘機の設計は極めて難しい。

 高速道路の経営の難しさは、50人乗り旅客機の設計のレベルに例えられるだろう。中級以下のレベルということである。その気になれば日本の高速道路サービスの90%は科学的に解析できると断言してもいい。残りの10%は、受益者負担と社会インフラとしての公共負担のバランスをどうするべきかという経営判断の部分である。行政に委ねられるべきなのはここだけだ。
……

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■なんだ、ほとんど事前に計算可能なんじゃない。■「東京湾アクアライン」の不採算も、きっと官僚たちやゼネコン、そして政治家たちも、全部しったうえで、納税者や地元民をだましたにきまっている。
■これが、巨大なムダづかい以外のなんだろう?
■要するに、市場原理でまけぐみにあたっている地方に、不必要な工事をでっちあげて、土建業界とそれによって職にありつける貧困層を「すくっている」だけと。
■おなじ失業層・半失業層をすくうにしても、もうすこし 意味のあるつかいかたができるはずだ。教育・保育・医療・介護とかね。
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コメント

東京都内の某養護学校も、校舎は新築して豪華になったのに、中にある教材は老朽化したままで、人体標本は壊れかけていました。「健常」者よりも文字での情報伝達が困難であり「可視化」する必要が高いのに、標本など可視化するための教材に金を使わないで、保健の授業などどうやって進めろというのか。
現場の教員が自由に使えるのは筆記用具などのかぎられた文房具だけで、新教科である異言語(実質イングランド語)の教材も教員が自腹で買っていました。これもお金がないのではなく、ゼネコンに払う金はあるが児童・生徒のために使う金はない、という都政の一側面でしょう。

要するに、官僚や政治家の「おてもり」予算と…

「匿名希望」さま

■養護学校は、おそらく「人件費をてあつく加配しているんだから、それ以上のムリはいうな」ってのが、当局のホンネでしょう。■たしかに、ほかが「工場生産」をモデルにしているのに対して、保育園みたいな人事配置をしようとしている(そうでないと、現場がまわらないし、障碍児教育の専修経験者でない教員がまわされるという、いい加減は おいといても…)。
■要するに、「文教予算は、それでなくても人件費等でおにもつなのに、教材費なんてのは やりくりしろよ。どうせ産業兵士として前線にいけない児童だろ…」って、ロコツな差別意識が背景にあるでしょう。なんていうか、「これでも温情みせてやっているんだ。福祉社会として…」といった、ハンパなパターナリズムが作用している。

■それにしても、教材を自腹とは、大学の先生みたいですね(笑)。大学の先生も、研究費はもちろん、教材づくりを全部、大学予算からひねりだすことはできなくて、ポケットマネーからだすという、トホホな状態を大学当局や文科省は黙認しているようです。■いずれにせよ、それでなくても、サービス労働が自明視される野蛮な教育現場は、予算の不足分まで教員の個人負担で「節約」すると。
■みうちの選挙区に中小企業経営者がおおいので、選挙対策なんじゃないかと疑惑がある、某銀行のザル経営もふくめて、自治体の財政というのは、タカリをはじめとした私物化の巣なのかもしれません。■はやく「美しい国へ」移行しなければ…。

ウィキペディア「東京湾アクアライン」最新版の記述

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E6%B9%BE%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3&oldid=21273846#.E5.BB.BA.E8.A8.AD.E3.81.AE.E5.8A.B9.E6.9E.9C
総工費として約1兆4,409億円の巨費が投じられたが、実際の利用は想定交通量を大幅に下回っており、その費用対効果の面から大きな批判を浴びている。これは通行料金が非常に高いためと言われ、数回の料金改定を経て現在の通行料金(普通車の海上部は1km当たり198.68円で、同様に高額な通行料金の本四架橋より若干低い)となった。その結果採算性に重大な問題が生じているが、これはもともとの想定交通量の見通しが出鱈目だったという厳しい指摘がある(開通から20年後には上下合わせて一日64,000台、すなわち片側1車線上を2.7秒に1台の車が通過するという、実際にはありえない通行量が想定されていた)。

建設の目的の一つとして、東京をバイパスする環状高速道路の一部を担い、首都高速道路湾岸線等の混雑緩和に役立つことが期待されていた。この点については、アクアラインに利用転換する車両が少なかったために、残念ながら目立った成果は得られていない。
……

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道路特定財源 影響

2008年04月09日の天気と予定党首討論 福田首相と小沢民主党代表が道路特定財源のあり方などをめぐり討論. ・普天間飛行場にかかわる措置に関する協議会. ・韓国総選挙. ・北朝鮮最高人民会議(国会に相当). ・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)総会(ブダペスト...


道路交通需要の動態と政界=「ムダ」とはなにか41

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