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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
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【位置 リベラル左派】

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起こるべくして起きた“ゆうパック”遅配騒動を他人事のように分析する日本郵便経営陣の「見識」(週刊ダイヤモンド)ほか

■「統合・再出発の初日から大混乱 ゆうパック・ペリカン便の前途(週刊ダイヤモンド)ほか」 (07/08)の続報。おなじく、週刊ダイヤモンドの続報記事の転載。

起こるべくして起きた“ゆうパック”遅配騒動を他人事のように分析する日本郵便経営陣の「見識」


「これだけの騒ぎを起こしておきながら、本社経営陣も支店幹部も、すべて現場のせいにして、知らんぷり。原因を究明し、解決しない限り、遅配はまた起きる」

 日本郵便の現場職員は、ゆうパックの遅配騒ぎの責任を現場に押しつけて知らんぷりを決め込む幹部の態度に怒り心頭だ。

 34万件もの遅配騒ぎを起こしたゆうパック。過去に培った郵便事業への信頼は地に墜ちた。

 日本郵政の郵便事業会社である日本郵便にとって、ゆうパックと日通ペリカン便の統合は郵政民営化の目玉事業であり、赤字事業立て直しの試金石でもあったが、一敗地にまみれてしまった。

 だが、日本郵便の経営陣には、この大失態を招いた責任感はいまだに無いようだ。

 日本郵便が遅配謝罪会見を開いた7月4日、日本郵便の全支店に届いたのは「郵便事業会社のみなさまへ」という文書…だ。そこでは、「社員のみなさまにおかれましては円滑な業務移行に向けて、万全の体制とすべく準備をしていただきましたが、送達の遅れなどの問題が発生しました」と、鍋倉真一社長が遅配騒ぎを他人事のように述べていた。

ゆうパック遅配3

 添付された想定問答集「対外スタンスペーパー」では、遅配理由が「統合による作業内容が変更されている部分の不慣れ、一部の区分機に不具合が発生したこと、運送便の遅延などが原因と考えている」と書かれていた。

 つまり、ゆうパック統合に十分な準備を行ったにもかかわらず、現場の不手際で遅配が発生したとされており、統合を指揮した経営陣や幹部の責任については一切言及されていなかったのである。

 客に遅配理由を聞かれたら、現場職員は想定問答集通りに答えるしかない。彼らが怒るのも当然だ。

 さすがに日本郵便経営陣も社員の反発の凄まじさに気付いたのか、翌5日に届いた文書…では「今回のゆうパック遅延については、もとより社員の皆様に責任があるものではありません」と、書かれていた。だが、誰に責任があるのかは触れずじまいである。
ゆうパック遅配4

 この文書を楯に各支店の幹部は5日の朝礼で「今回の遅配は誰も悪くないし、誰にも責任はない」と訓示し、遅配騒ぎの責任問題にほっかむりを決め込む体たらくぶり。休日返上で遅配解消に奔走した現場職員は、怒りを通り越してあきれかえった。まさに組織は弛緩しきっているのだ。
消費者不在の無為無策 幹部は責任逃れに終始

 7月1日配達指定のゆうパックを配りきれずに翌2日に配っており、ターミナル局と呼ばれる、物流拠点が機能マヒを起こし、普通局にゆうパックが届かない大混乱が起きていると本誌がネット配信したのは7月2日夜のことだ。

 この時点で、配りきれないゆうパックを配達するため、郵便事業部門の〝背広組〟と呼ばれる本社、支社の幹部に招集がかかり、ターミナル局や大型支店に動員されていた。かたやターミナル局では、局舎内に仕分けできない郵便物が溢れかえり、局舎内に入れない郵送トラックが大渋滞を起こし、周辺住民の通報で警察が交通整理に乗り出すという異常事態が起きていたことがのちに判明する。

 だが、日本郵便は、本誌の「ホームページに遅配の告知を出したり、謝罪なり釈明の会見を開く予定はないのか」という質問に、「一切、回答しない」とダンマリを決め込んでいた。

 日本郵便関係者は「2日の金曜日さえ乗り切れば、全郵便局(支店)の4分の3を占める旧特定局は土日は休みだし、企業の大口発注も減るから、人海戦術で処理すれば遅配を隠し通せると考えたのだろう。現場を知らない幹部の考えそうなことだ」と振り返る。

 だが、3日以降、テレビや新聞が騒ぎ出すや日本郵便は一転、謝罪会見に踏み切る。

 だが、鍋倉社長の釈明は、「いろんな研修や予行演習は行ったが、やや不慣れな人間が多かった」「遅配は一過性のもので、7日には正常化できる」と、現場に責任を押しつけ、まるで突発的事故が起きたかのようなものだった。

 しかも、この時点で日本郵便はすでに一部の大口顧客には遅配発生の事実と、大々的に解決策に乗り出す旨を伝えていた。一方で、一般消費者に遅配の事実をホームページで公開したのは翌5日だ。小口の一般消費者などどうでもいいということだろうか。

 この鍋倉社長の釈明を聞いた現場職員は怒り心頭だ。

 というのも、そもそも職員は「いろんな研修や予行演習」などやったことがないからだ。

 労働組合幹部は「統合のための研修なんて多くても数時間。十分な準備なんかまったく行われていない」と明かす。

 下の写真は労組幹部が示した事業統合に向けた職員研修用資料だ。A4判で139ページの資料集、69ページのマニュアル、8ページの注意事項。この三点セットを幹部が職員の前で約40分棒読みする〝勉強会〟が唯一行われた研修だ。

ゆうパック遅配1

 旧郵便局の時代から、郵政グループが新しいシステムや手法を導入する場合は、「業研」(業務研修)が行われる。これは、当局が事前に労働組合に通告し、研修時間を事前に決めた上で、一般業務終了後に時間外勤務のかたちで、行われる。それゆえ、当局も職員も研修が行われた場合は、それが記録に残る仕組みになっている。

 だから、日本郵便がしっかり準備を行ったとするなら、「業研」に費やした時間がその証となるが、現時点では一向に開示する様子はない。総務省は今回の遅延騒ぎについて、日本郵便に経過報告を求めており、この業研時間がいずれ焦点になるだろう。

 元々、今回の統合には現場から準備不足を懸念する声が出ていた。

 というのも、日本郵便の事業統合は旧ペリカン便とゆうパックを統合するものだが、統合されたのはブランドだけで、オペレーションや情報システムは統合せず、そのままだ。つまり1つの事業に二つの方式が併存しているのだ。

 例えば、荷物の区分はゆうパックが郵便番号、ペリカン便は事前に割り振られた地域コードになっている。だから、それを読み取る職員の端末も異なり、ターミナル局では、職員が二種類の端末を持ち歩き、“二丁拳銃”と揶揄されている。両方を読み取れる新端末は統合までに職員の人数分揃わないというありさま。遅配の元凶となった区分機も当然のことながら、両者の仕様は異なる。

 にもかかわらず、お互いのやり方をほとんど学ぶことなく、いきなりぶっつけ本番で統合したのだから、ターミナル局が混乱するのも当然のことだ。「日通から移籍してきたペリカン便担当者には事前研修がほとんど行われていなかったようだ」
と指摘するターミナル局職員もいる。

 しかも、日本郵便は民営化前のスリム化と称して、ターミナル局の集約と、職員定数を減らす「減員」を進めており、「一日あたりの取扱量が60万個から100万個に増える事業統合への対応は綱渡りで、いずれパンクする」と労組幹部は統合前から予想していた。

 まさしく、遅配騒ぎは起こるべくして起きた
のである。


遅配解消の“大本営発表”に職員の反発は強まるばかり

 日本郵便は6日にターミナル局のマヒが収まり、7日午前には遅配も解消したと発表した。

 だが、現場の職員は「あんな大本営発表を信じる職員なんて一人もいない、遅配解消は言葉のトリックに過ぎない」と切って捨てる。

 実際、ターミナル局のマヒが収まるということは、ターミナル局に滞留していた大量のゆうパックが今度は、配達を担当する支店に積み上がることを意味する。当然、支店はオバーフローを起こし、機能はマヒすることになる。

  例えば、トヨタ生産方式を導入したモデル局で、郵政改革の総本山として名を馳せた埼玉県の越谷支店。7日夜になっても、臨時便と呼ばれる集配計画外の大量のトラックが次々とゆうパックを満載して押しかけ、局舎内には大量のゆうパックが積み上がっていた。

 現場職員は、「配達指定日を過ぎたゆうパックが大量にあり、職員は“ロシアンルーレット”と呼んで、配達を押しつけあっている。人手も集配車も足りず、幹部がゆうパックをリュックに詰めて、バイクで配っている」と明かす。

 つまり、7日に遅配が解消したというのは、7日以降に出したゆうパックが遅配しないということであり、それ以前に出したゆうパックの遅配が解消したわけではないのだ。まさに言葉のトリックだ。

 本誌既報の通り、7日の朝には「配達指定期日を過ぎた生もの(冷蔵輸送ではない果実や野菜)はもう配達するな」との命令が出された郵便局もあり、とても遅配が解消できた状況にはなかった

 ちなみに、下の写真のように、7月2日に大阪府から埼玉県の筆者宛に送られたゆうパックは遅配が解消したとされる7日時点でやっと近所の支店に届いた。だが、その後、所在不明になり、届いたのは8日の夜だった。配達に訪れた職員は「まだまだ遅配が続いておりまして」と謝るばかりだった。 
ゆうパック遅配2
 今週にも、日本郵便はゆうパックの完全正常化宣言を出す予定だが、“正常化”は現場職員の大量の残業と幹部職員の動員という人海戦術でなんとかしのいだというのが実態だ。遅配の原因である人員不足、準備不足が解消されたわけではないのは明らかだ。現場には、「夏休みに入って再び郵便物が増えれば、またパンクしてもおかしくない」との声さえある。

 現在、小康状態を保っているゆうパックの集配は、顧客のゆうパック離れで物量が大幅に減ったことによるもので、これまでたどってきたじり貧の道をさらに早く転げ落ちていることを意味する。果たして、今回に遅配騒動で失った信頼とシェアを日本郵政は回復することが出来るのか。市場の8割のシェアを握るヤマト運輸と佐川急便の二強の背中がさらに遠のいていく。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)

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■経営陣や幹部職員に責任感がないこと、おやかた日の丸で、民間業者の気合とは好対照であることは、いうまでもない。■しかし、前便で「「配達日時にうるさい某蜂蜜会社」とかいった表現自体に、組織への内部批判というより、責任転嫁している職員の認識が露呈しているとおもう」かいたとおり、幹部職員以外も、組織体質に鈍感なのではないか? 決して問題の本質は、「郵便事業部門の〝背広組〟と呼ばれる本社、支社の幹部」とかだけに集約されるものではないとおもう。

■おそらく「抵抗勢力」として 侮蔑されていただろう、労働組合など、現場の矛盾に敏感な層の 懸念が、予想どおり ふきだしただけなのではないだろうか? ロジスティクス上、システム的にも 人員的にも、どうにもならない物理的・心理的限界が はっきりしているのに、現場をしるはずの幹部職員は、上部に問題の本質をうったえる努力を放棄した。■というか、そのぐらい無力感にさいなまれて、「いずれ破綻となって、自分たちの懸念、統合問題の本質は露呈する」と、諦念と軽侮のもと、事態を放置していたのかもしれない。「そうれ、いったこっちゃない…」と、現場の混乱ぶりをまえに、自嘲気味に対応しているとしたら、気の毒というものか。

■国労・動労という、巨大労働組合を解体においこむという、まあ、それだけの目的で国鉄を解体した余波は、過剰な利潤追求体質につながり、たとえば、JR西日本の福知山線事故のような惨劇をもたらした。ムリして「輸送力」を追求しても、結局、まともな機能は維持できないということが、最悪の事態をもってしか、理解されなかった。■今回の問題のばあいは、そういった破綻はないかもしれないが、定時運行が全然保証されない鉄道、という、日本ならありえないような事態と同質の問題がふきだしたといえる。「ゆうパックは、おそくて わすれたころに とどくけど、やすいよ」といった、サービス内容と顧客をつかまえるならまだしも、冷凍・冷蔵の宅配とか、ビジネス周辺の重要業務関連の配達、記念日など個人の心情によりそわないサービスが論外な領域などには、およそ参入できない組織であることが 露呈したということだ。■悲惨なのは、統合・合理化しようとしたものの、旧郵便局時代、旧ペリカン便時代には簡単に維持できていただろうこともできなくなってしまったという現実。なんのための、合併だったのか? まったく意味不明な事態が出現したわけだが、それは、事前に自明な構図だったのではないか?

■別記事も転載。■週刊ダイヤモンド編集部の 小出康成記者が、なぜだか 旧郵便局関係者からしか 取材をしていないが、つぎの記事は、旧ペリカン便社員からの ききとりなので、惨状は、もっとすごいことが わかる。


ゆうパック大混乱 旧ペリカン便社員「お役所体質」への怒り
Sankei Biz 2010.7.9 20:56

 34万個にも及ぶ配達日指定荷物の遅延で大混乱が続いた「ゆうパック」。顧客の怒りはもっともだが、吸収合併された「ペリカン便」の出向社員たちも怒り心頭だ。郵政事業会社の社員は、お役所体質が抜けきらず、この非常事態にも右往左往するばかり。それを尻目に、旧ペリカン便の社員たちは夜を徹した手作業で必死に働いているという。(夕刊フジ)

 郵便事業会社は今月1日、昨年4月に日本通運からJPエクスプレス社に移管されていたペリカン便事業を、ゆうパックに吸収する形で新体制をスタートさせた。だが翌々日の3日にはすでに、全国のターミナル支店が大混乱に陥っていた。

 「荷さばき用ベルトコンベヤーからあふれ出る荷物、異臭を放つクール便…。作業員は多いが、何をどうしていいか分からない。壁沿いには、誤って運ばれた荷物がうずたかく積まれ、鳴りやまない電話には誰も出ない。そんななか、大量のお中元を積んだ大型トラックが次々と到着する状況でした」(現場関係者)。

 聞くだけで思わず逃げ出したくなる惨状だが、実際、都内のある支店では、旧郵政事業出身の管理職が数時間にわたり“行方不明”になったという。この事態に立ち向かったのは、吸収合併された旧ペリカン便からの出向社員や、そのアルバイトたちだった。

 「事前研修では粗末な冊子が配られただけで、そのまま本番を迎えました。当然、システムも人も機能マヒで、最終的には機械に頼らない手作業で仕分けせざるを得ませんでした。現在は、日通時代からペリカン便を守ってきたベテランたちが、飛び交う怒号のなか鮮やかに荷さばきしています。郵便事業会社の社員たちは何も口出しできない状態です。これがお役所と民間の違いなんですね」(同)

 荷さばき以外でもトラブル続出だったようだ。ある送り主はあきれた表情で話す。

 「生野菜を発送したのに3日たっても先方に届かない。クレームの電話を入れたら、『送り先で箱を開けて腐った品をリストアップし、その分だけ弁償する』というトンデモない答え。相手先の玄関でそんな失礼はできない、と返送を要求したら、返ってきた荷物には開封された跡があった」

 埼玉県では大量のパスポートが遅配となり、職員が電車や徒歩で運ぶという“人海戦術”まで登場した。

 そもそも混乱の元凶はシステムと事前準備を軽視した上層部なのだが、郵便事業会社は原因を「業務の不慣れ」と発表。責任は現場にある、と言わんばかりの姿勢に、旧ペリカン便社員の怒りは頂点に達している。

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■産経としては、お役所体質を批判し、民間企業のすばらしさを称揚するために こんな記事をかいたんだろうが、これは、官僚制の病理であって、官民なんてのは、関係ない。■だって、組織上吸収されたとはいったって、旧ペリカン便系の幹部職員だっていたはずで、システム統合のときに、いろいろ具体的提言をしているはずなんだよね。というか、システム統合の責任の一端は、旧ペリカン便系の幹部職員に絶対ある。末端の職員や労働組合からの反発・懸念だけではなくて、もっとシステム構築の中枢部にいた人物が、今回の事態は予想ずみだったはずで、いまさら、旧郵便局の幹部に責任転嫁したって意味がない。その意味で、産経の記事は、きわめて政治性のたかい とりあげかたではある。■かたちばかりの民営化は、単なる混乱をもたらすだけという、官僚制の病理問題の典型例となってしまったことに メスをいれないかぎり、国鉄解体バンザイ論と同質である。
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こういった幹部をかつぐ組織に自浄作用はあるか?

日本郵便:「ゆうパック」大量遅配で報告書を提出


 宅配便「ゆうパック」の大量遅配問題で、日本郵政グループの郵便事業会社(日本郵便)は30日、遅配の原因や対策をまとめた報告書を総務省に提出した。日本通運の「ペリカン便」との統合で荷物が倍増する一方で、経営陣の見通しの甘さから、従業員の訓練など統合準備が不十分だったと認めた。これを受け鍋倉真一社長ら日本郵便の役員6人と、斎藤次郎・日本郵政社長が報酬10%を3~1カ月返納する。総務省は報告を精査して、業務改善命令などの行政処分を検討し、8月にも決定する方針だ。【望月麻紀】

 ◇経営陣の見通しの甘さを原因に挙げる
 報告書によると、統合当日の7月1日夜、一部の集配拠点であて先別に荷物を仕分ける区分機の使用方法の誤りなどで機械が停止、荷物の処理に遅れが発生した。荷物が作業場をふさぎ手作業に切り替えるスペースも確保できず、さらに処理が停滞した。輸送トラックの遅延を招き、影響が全国に拡大したため業務がほぼ正常化した7日までに34万個を超える遅配が起きた。

 最初に混乱が起きた集配拠点は、ペリカン便を運営していた日本通運の拠点が多く、いずれも6月30日までペリカン便の業務に使用しており、従業員が区分機の訓練をする機会が不足していた。ペリカン便とゆうパックでは、集配拠点で使う区分機や作業手順が異なることは日本郵便も認識していたが、「(ペリカン便の)人や施設も合わせて引き継ぐため、特に大きな問題は発生しない」と判断したという。

 今回の統合は、通常期に比べ冷凍・冷蔵の荷物が1・5倍に増える中元期だった。増える荷物に対応するため、東京都内の集配拠点の近くに冷凍保管庫を借りたものの、狭くて荷物があふれるというミスもあった。

 報告書は経営陣の統合計画の見通しの甘さを浮き彫りにすると同時に、「区分機の使用方法や手順の確認などが現場任せで、要員確保などは外見的な確認にとどまり、集配拠点が現実に機能するかといった実態的なチェックは行えていなかった」とも認めた。

 さらに、顧客への公表遅れなど経営姿勢を問われる問題も発生。「本社・支社に認識の甘さがあった」と経営責任を認めた。旧郵政省出身の鍋倉社長ら官僚OBが名を連ねる経営陣に改めて批判の目が向けられそうだ。

 中元期の7月1日に統合したことについては、ゆうパックとペリカン便事業は、収益計画が不十分などとして統合が1年延期され、赤字が50億~60億円発生しており、これを食い止めるため、最も早く統合準備が整う時期だったことを説明。さらに、荷物の取り扱い個数は、昨年末の歳暮期のゆうパックだけの実績よりも、統合後の中元期の総数の方が少ないことから、統合は「差し支えないと判断した」としたが、結果的にその判断が甘く、大量遅配につながった。

 ◇歳暮に向け訓練強化
 日本郵便の浜俊之執行役は30日の会見で、「再発防止策を着実に実施し、年末に向けて安定的な業務運行をすることで信頼の向上に努めたい」と話した。

 中元期よりも荷物が増える年末の歳暮シーズンに向け、日本郵便は、要員の配置や区分機の使用訓練、管理職による業務運行の把握の強化などに取り組む方針だ。また、大規模な遅配に発展し現場で何が発生しているか分からない状態があったことへの反省から本社への報告体制も見直す。

 しかし、遅配の影響で顧客離れが進み、ゆうパックの7月の取り扱い個数は計画値の15%減に落ち込む見通し。30日には、日本郵政グループの郵便局会社の「ふるさと小包」で、約4万個のウナギのかば焼きが発送できなくなっている事態も発覚し、顧客の信頼をさらに失いかねない。

 一方、宅配業界首位のヤマト運輸と2位の佐川急便は価格引き下げなど営業面で、ゆうパックへの攻勢を強めている。26日にはコンビニチェーンの「デイリーヤマザキ」がヤマトとの業務提携を発表、9月1日から商品の発送をゆうパックからヤマトに切り替える予定だ。

 ゆうパックは以前から上位2社に引き離されてきたが、遅配などによるイメージダウンの影響は大きい。国内の宅配便事業自体が頭打ち傾向にある中、業界内の激しい競争も、ゆうパックの再起に重くのしかかる。

 ◇ゆうパック遅配に関する日本郵便の報告書骨子◇
◆遅配の主な原因

・ペリカン便との統合で従業員と施設も継承するため「特に大きな問題は発生しない」と考えた本社などの認識が甘かった

・日本通運から引き継いだ、あて先別に仕分ける機器の使用の訓練が不足していた

・トラブル時の手作業を想定した人やスペースが足りなかった

・中元期に増える冷凍荷物のために借りた保管庫が狭かった

・混乱の中で各支店の状況が正確に本社に伝わらず、対応に遅れが生じた

◆主な対策

・要員配置の見直し

・集配拠点の管理者育成

・繁忙期の期間雇用社員を対象に区分機の訓練を実施

・集配拠点を模様替えして作業スペースを確保

・業務運行把握のための支店機能強化

ゆうパック:遅配問題 7日は「ほぼ順調に流れている」(http://mainichi.jp/select/biz/news/20100707k0000e020050000c.html
ゆうパック:26万個に集配遅れ 統合で扱い数倍増(http://mainichi.jp/select/biz/news/20100705k0000m020059000c.html
ゆうパック:集配で遅れ相次ぐ 「ペリカン便」継承で混乱(http://mainichi.jp/select/biz/news/20100704k0000m020043000c.html
郵便事業会社:ゆうパック再出発 「ペリカン便」姿消す(http://mainichi.jp/select/biz/news/20100702k0000m020068000c.html
ゆうパック遅配:準備おろそか、「見切り統合」 マニュアル到着遅れ、訓練1回(http://mainichi.jp/select/biz/news/20100706ddm002020012000c.html
毎日新聞 2010年7月30日 21時49分(最終更新 7月31日 1時19分)

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