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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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東京マラソンはちゃんと総括されて第2回をむかえたのか?

東京マラソンがまた、あす開催されるようだ。第1回については、ほぼ1年まえに旧ブログで2本記事をかいた(「東京マラソンで都心「大封鎖」 2月18日、銀座6時間(朝日)」「まつりは、基本的に迷惑行事である(東京マラソン)」)。■そして、ついさきほど、当時まともに収集しなかった、大会への批判的見解をまとめてコメント欄におさめておいた。■その際、非常にバランスのとれたコメントを発見したので、全文はりつけておく。

2007 / 02 / 19
  東京マラソンは本当に成功なのか

月18日(日曜日)、約3万人の市民ランナーが参加する第1回東京マラソンが開催された。最大で7時間近くに亘って、首都の主要道路封鎖を余儀なくした大イベントである。

世界の他の大都市マラソンのように、競技者側・市民側から発展し成長していったレースではない。日本陸上競技連盟(陸連)が主導してつくり上げたレースでもない。競技者が欲しがったわけでも、マラソン競技の中心団体が欲しがったわけでもなく、政治が欲しがったイベントだ。

都知事が思いつきで始めた、選挙対策の話題づくりイベントで、東京五輪招致の宣伝の一環、石原電通マラソン・・・等々といった冷めた見解は置いておくとしても、12億5千万円もの運営費を投じて開催すべきイベントなのか。ほとんどのメディアが伝えているように、本当に大成功なのか。さすがに甚だ疑問である。

ず、都知事選(4月)や他の5大都市マラソンとの兼ね合いで急遽選んだ開催日程からして、極めて利己的だ。市民レースとして40年来の人気を誇る、同じ都内で開催される伝統の青梅マラソンと全く同日に開催日を設定し、結局は青梅マラソン側が開催日を変更せざるを得ないハメになった。
さらに、私立大学の入学試験がある時期に、朝から始まる大レースを決行したことも、考慮が足りないと言わざるを得ない。東京の学校の受験には、地方からの多くの学生にとって宿泊だって必要だ。地方や海外からの参加を積極的に受け入れている東京マラソンでは、交通だけでなく宿泊施設の確保も、受験生の障害になり得る。この日は、コースのすぐ傍にある慶応義塾大学三田キャンパスでも入学試験が行われたが、大学側曰く「試験日程を決めたときにはこんなイベントは聞いていない」。

もっと言えば、この2月という時期は、東京で最も雪が降る確率が高く、多くの市民ランナーが苦しんでいるスギ花粉も舞っている。世界のなかでも東京こそ、この2月は市民マラソンを避けるべきではなかろうか。

してやはり、3万人もの行列にクネクネと観光名所を廻らせ、その上完走制限時間を7時間と長くとった結果、場所によって7時間近くにも亘って主要道路を閉鎖するという事態によって被る、一般市民の迷惑・損害は大きい。

東京マラソンは、旧来からあった車椅子のレースも統合して、ロンドンマラソンのようにさも障害者にも優しい大会のように盛り上げている。だが、レースの現場に行ってみれば分かることだが、そもそも一般の障害者こそが、このレースで多大な迷惑を被ることになるのだ。なにしろ、ランナーが走っている道路を横断するために係員に誘導される地下鉄通路などは、東京の場合、ほとんどの個所が階段だけなのだ(エレベータはおろかスロープすら道路の両側にはない!)。車椅子では、横断できないではないか!

車両に掛かる迷惑については、「そもそも都心に車で来るな」という意見も多いし、東京の場合は首都高で迂回すれば閉鎖された道路も横断可能な個所も多い。しかし、一刻を争う事故・事件は、やはり想定すべきだろう。

コースに囲まれ「陸の孤島」となった浅草界隈では、「この日に具合が悪くなったら死ぬ」と漏らしたお年寄りも居たという。緊急車両は優先されるとしても、たとえば警備会社の急行サービスなんかはどうなるのか。テロの危険があるこのご時世に、他の大都市を猿真似して、いきなり同じ規模で都市開放型レースを始めようという了見にも、大きな疑問が残る。

既に多くの話題となっている、宅配サービスや地元商店の損害、ランナーが捨てた大量のゴミの問題も、言うまでもない(一部報道であったそうだが、ランナーが捨てたバナナの皮で一般人が滑って転んだというのは、疑わしい情報だが・・・)。

もちろん、関係者以外に全く迷惑を掛けずに、大きなスポーツイベントを開催することは不可能だ。だが、ほとんど効果のないイベントを、多大な税金と一般市民の迷惑を犠牲にして開催することは、もっとナンセンスである。良かったことと言えば、このレースの準備のために違法駐輪の自転車を撤去したことくらいだろうか。逆に言えば、普段は行政がサボっているということでもあるが・・・。

京都内や23区内にだって、歴然たる格差がある。日本全国だけでなく、都内にだって、市民ランナーを呼び込みたいという地域は多いはずなのだ。東京五輪招致問題もそうだが、全ての地域のことを考えずに、東京のド真中の観光名所を巡らせることばかり考えるから、都民不在の税金の使い方だと呼ばれるのだ。

しかもこの東京マラソン、今後も続いて東京の伝統行事となり得るのか、非常に疑わしい。万一、現職都知事が三選に失敗すれば、2回目すら無いかも知れない。それでなくても、未来の都知事選で、「東京マラソン廃止」という公約を掲げた候補者が当選する可能性は高い。

もちろん、都市開放型の市民マラソンの存在自体を否定したいわけではないのだ。ただ、いきなり12億円以上の巨費を投じるイベントにするべきなのか。いきなり3万人を走らせるべきなのか。東京のド真中の観光名所を回る必要があるのか。7時間も完走制限時間をとるべきなのか・・・。やり方を間違うことで、マラソンという競技が一般市民に悪者扱いされては、日本の陸上界にとっても痛手である。


    稲見純也 JunYa Inami

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稲見純也氏とは、「野球やアメフト、ウィンタースポーツなどを主な分野とするスポーツコラムニスト」だそうだが、実にすばらしい。■障碍者をはじめとする社会的弱者を直撃するだろう巨大イベント。そして、おびただしい巨大な「余波」。
■「まつりは、基本的に迷惑行事である(東京マラソン)」)のコメント欄で市民ランナーのコメントを紹介しておいたとおり、昨年の開催が、石原慎太郎という政治家のつごうで強引に開催された政治的イベントであることは、否定できまい。東京オリンピック再招致といった目的はともかく、伝統のある大会をつぶしたり、おしのけたり、わざわざさむい時期に市民ランナーをはしらせる巨大イベントは合理化が困難だ。■しかも、都心とは、東京都民だけの空間ではなく、首都圏および日本列島の中枢であり、そこをいそいでとおらねばならない物流や人材がおびただしい、「日本の心臓・大動脈」とたとえるのにふさわしい存在なのだ。■石原氏は、その首長になったとき、治安維持のために自衛隊を動員するのは当然だとばかりに閲兵するなど、権力欲・顕示欲まるだしだが、日本の心臓部を長時間機能停止させる権力をにぎっているといった確認をしたくて、第2回をひらこうとしているようにさえみえる。
■ところで、愛知万博などは、その経済効果などが金融系の研究所によってさかんに試算されたわけだが、東京マラソンは、それがなされたのだろうか? いや、「おてもり」の試算が複数ならべば、それでいいわけではないが、うえにあげたとおり、膨大な負の影響がゆびおりかぞえられる。有形無形の被害やリスクだが、有形のものの経済的な試算だけでも、「プラス」の面と併記して、おおきく「プラス」になるのだという試算がだされたのだろうか? 新聞紙面等にはでていないとおもう。■東京都議会では、その功罪がちゃんと検討されて、今回の開催にこぎつけたのだろうか? 石原都知事が3選されたからとか、死者等が当日でなかったからといった理由だけで、当然のように開催されていいとはとてもおもえない。

■ともかく、昨年の文章のコメント欄にもかいたが、ジョガーやランナーが個人的にはしるだけなら、環境負荷・社会的損失がちいさな 趣味である。しかし、かりにプロ選手だけがはしるにしろ、まとまって公道をはしるために道路封鎖や交通規制をするかぎり、大迷惑な存在にほかならない。



●旧ブログ「「ムダ」とはなにか」シリーズ
●旧ブログ「石原都知事」関連記事
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