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ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

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生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム57=原田和明「宮崎口蹄疫騒動を検証する」第4回 口蹄疫診断の国際標準

■「生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム54=原田和明「宮崎口蹄疫騒動を検証する」第1回 宮崎の家畜はなぜ殺される」「生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム55=原田和明「宮崎口蹄疫騒動を検証する」第2回 10年前の口蹄疫騒動」「生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム56=原田和明「宮崎口蹄疫騒動を検証する」第3回 偽装工作のルーツ」の続報。


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世界の環境ホットニュース[GEN] 756号 10年6月12日
         ……

         宮崎口蹄疫騒動を検証する(第4回)

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 宮崎口蹄疫騒動を検証する            原田 和明

第4回 口蹄疫診断の国際標準

 口蹄疫騒動でも例によって、検査方法の妥当性から騒動を検証しています。本連載の第1回では一般的実験方法に照らして、第2回では、2000年に宮崎と北海道で起きた口蹄疫騒動のときの検査方法と比較して、今年の騒動における検査方法がいかに杜撰なものかを明らかにしてきました。さらに今回は、口蹄疫診断の国際標準と比較してみます。

「口蹄疫」判定検査を一手に引き受けているのは、動物衛生研究所です。同所は、2001年以前は家畜衛生試験場と称していました。そこの室長が国際標準となっている「口蹄疫」の 診断法を 紹介しています。(山口 獣医学雑誌. 24,
p.1-26(1997)より以下引用)
 農林水産省家畜衛生試験場
 ウイルス病研究部病原ウイルス研究室長村上洋介

 「口蹄疫ウイルスと口蹄疫の病性について」(総説)

 5.診断

 1)世界の口蹄疫診断の現状

 口蹄疫の発生は畜産物の国際流通に多大の影響を及ぼす。このため,各国が検疫検査に使用する診断手法を統一する必要があって, 材料の採取, 輸送, 検査手法はOIEによってマニュアル化されている。わが国を含めて各国はこの診断マニュアルに準じた診断方法を採用している。

 2)日本における口蹄疫の診断

 わが国は口蹄疫のワクチンを使用していない清浄国である。従って,ワクチン接種を行っている地域で問題になるキャリアー動物の問題はなく,ウイルスの隠蔽(masked infection)は起こらないことを前提に,感染動物や発病動物の摘発を行う。口蹄疫を疑う疾病が発生した場合には,水疱病変の分布や形状などの臨床観察のほか,本病が最も伝染しやすい疾病であることを念頭において,同居豚,農場内及び周辺農場への伝播状況などの疫学的状況を正確に把握する必要がある。また,患畜は病変形成の前からウイルスを排泄するので,発生農場を中心に数週間前からの家畜の出荷先と導入元を正確に把握して追跡調査を実施する必要がある。口蹄疫の伝播は速く,対応が遅れると被害が広域に及び被害が増大するので,効果的な防疫対策をとるには疾病の摘発から診断までを迅速に実施する必要がある。日本における口蹄疫の診断は,「海外悪性伝染病防疫要領」に基づいて実施する。病性鑑定材料の採材と運搬方法も,この要領に細かく記載されている。また,口蹄疫の実験室内診断は,わが国では農林水産省家畜衛生試験場海外病研究部(東京都小平市)の高度封じ込め施設内で安全に実施するように定められている。

 口蹄疫を疑う疾病が発生したときには,まず最寄りの家畜保健衛生所あるいは役場等に通報する。また,報告を受けたこれらの機関は速やかに農林水産省に通報する。病性鑑定材料の採取と運搬に先立っては農林水産省と協議する。病性鑑定材料には,可能な限り新鮮な水疱上皮を採取する必要がある。口蹄疫の診断材料は,同一農場であれば家畜個体ごとに採取する必要はなく,複数の個体から新鮮な水疱上皮を集め採材してかまわない。(中略)

 3)診断手法
 病原学的検査では,同時にタイプ分類が可能な抗原検出用のエライザや補体結合(CF)反応,ウイルス分離及びPCR法が,また血清学的検査手法では,中和試験,抗体検出用エライザ及びVIA抗原などウイルスの非構造蛋白質を用いた抗体検出法が,それぞれ標準的な手法になっている。なお,口蹄疫を疑う疾病の診断では,実際には口蹄疫以外の水疱性疾病との類症鑑別(※)も同時に実施する。(以下略)
 (※)類症鑑別
 口蹄疫とよく似た伝染病として,豚では豚水疱病,水疱性口炎,水疱疹及び豚痘などのウイルス病がある。また,牛では,牛伝染性鼻気管炎,牛ウイルス性下痢・粘膜病,ブルータング,趾間腐爛などの類似疾病も一見口蹄疫に似た症状を示すので注意する必要がある。なお,豚水疱病や水疱性口炎は口蹄疫と同様にわが国には発生がなく,いずれも臨床的に口蹄疫と区別が出来ない。これらの水疱性疾病が発見された場合には,口蹄疫を想定した対応が必要で,最終的には後述する実験室内検査を実施する必要がある。
(引用終わり)



 2000年の宮崎口蹄疫騒動では「患畜」について4つの検査が行なわれるとともに、九州各県への感染拡散に対する監視(サーベイランス)も行なわれていましたから、そのときは、国際標準に準拠した方法で検査が行なわれていたことがわかりました。ところが、翌月の北海道では、PCR検査でウイルスの型を特定するだけとなり、今年の騒動では北海道の経験を踏襲する形をとりつつも、ウイルスの型も公表しないまま、PCR検査で「陽性」だったと繰り返すばかりです。

 そして、6月にはいるとついには、「写真判定」で感染と断定するという荒業が登場しました。「写真判定」や症状だけで診断することの問題点は、すでに村上が総説の中で「一見口蹄疫に似た症状を示す、臨床的に口蹄疫と区別が出来ない病気があり、最終的には実験室内検査を実施する必要がある」と述べている通りで、意図的でないならば、村上の後輩たちがなぜこのような初歩的ミスを犯すのか理解に苦しみます。

 このように、国際標準の口蹄疫検査法を基準にして、2000年の宮崎、北海道、2010年の宮崎と3度の口蹄疫 騒動を振り返ってみると、家畜衛生試験場(後に動物衛生研究所)の検査方法がどんどんいい加減になっているのがよくわかります。

 いい加減になっていったきっかけは、ひとつのミス(誤診)と、それを隠蔽するために行なわれた偽装工作(検査結果の改ざんと北海道での捏造)だと思われます。そのときに行なわれた偽装工作が先例となってスタンダード(基準)として扱われ、基本が忘れさられてしまった模様です。すると、次の機会には、基本を見失っているのですから、さらなるミス(誤診)を誘発、それを隠すために次々と大きなウソをつかなければならなくなる・・・。それに製薬業界と関係が深い専門家が豚インフルエンザ騒動に続く二匹目のドジョウを求めて便乗した。これが2010年の宮崎口蹄疫騒動の基本骨格だと推測されます。


 4月20日未明にPCR検査で陽性が出ると、農水省はただちに専門家の意見を聞き、当該水牛を家畜伝染病予防法に基づく殺処分等の防疫措置の対象となる口蹄疫の疑似患畜と判断、10年ぶりの口蹄疫発生を発表しました。(2010.4.20農水省プレスリリース)

 疑似患畜との判断を提言した専門家が誰かはわかりませんが、同日夕刻に召集された専門家会議(食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会第10回牛豚等疾病小委員会)は、臨床結果との矛盾の説明を求めず、再検査や他の検査法との比較も要求せず、「疑似患畜」との診断結果を追認していますので、当該専門家とは当委員会のメンバーの可能性が高く、メンバーでなくても利害を同じとするグループの一員だと思われます。

 ちなみに、牛豚等疾病小委員会のメンバーは、2010.4.20 農水省プレスリリースによると、

 【臨時委員】
 岡部 信彦   国立感染症研究所 感染症情報センター
田原  健  (社)鹿児島県家畜畜産物衛生指導協会 事務局長 
 寺門 誠致   共立製薬(株)取締役先端技術開発センター長
 (○は委員長)

 【専門委員】
 明石 博臣  (国)東京大学大学院 農学生命科学研究科教授
 今田由美子  (独)動物衛生研究所 動物疾病対策センター
 佐藤 英明  (国)東北大学大学院 農学研究科応用生命科学専攻教授
 清水 実嗣  (株)微生物化学研究所 研究開発部長
 津田 知幸  (独)動物衛生研究所 企画管理部


 PCR検査の結果を提出した動物衛生研究所から2名の参加があるのですから、セールス会議でもない限り、当然、臨床結果との整合性に対する説明が求められ、PCRの再検査が要求されたに違いありません。会議は非公開のため何が話し合われたのかは不明ですが、この件ではその後、わずかにエライザ検査が一度行なわれただけとの経過から考えて、会議ではPCR検査「陽性」についての疑問は出ず、逆にPCR検査「陽性」をどうやって正当化するかが話し合われたと考えられます。

 しかし、この会議で新規ビジネスが話し合われたとしても、消毒薬やワクチンの販売促進のために20万頭もの家畜の殺処分はやりすぎではないか? なぜこんなにも騒動を拡大し続けるのか? 畜産業が崩壊してしまっては、長期的には製薬業界にとってもマイナスではないか? との思いは消えません。どうもここまでの大混乱は想定してなかったのではないか? 何か誤算があったのではないかとも思えます。

 最初の「疑似患畜」を発表した時点では、東京都小平市にある動物衛生研究所が唯一の口蹄疫のPCR検査機関ですから、同所で騒動をコントロールできると考えていたと仮定してみます。ところが、早くも想定外のことが起きました。最初の疑似患畜を発表した当日から、「宮崎で口蹄疫に類似の症状発見」との報告が連日続いたのです。(以下引用)

 2例目(朝日新聞2010.4.21 11:21)
 宮崎・川南町で口蹄疫疑いの牛6頭 県内で2例目

 同県農政水産部によると、今回の1例目と似た症状の牛が川南町の農場にいるとの連絡が、(4月20日に)獣医師から宮崎 家畜保健衛生所(宮崎市)にあった。同衛生所が立ち入り検査をしたところ、乳用種37頭、黒毛和種14頭、交雑種14頭の計65頭のうち、乳用種4頭、黒毛和種2頭の計6頭に、舌がただれているなどの症状が出ていた。このため、県は牛のよだれなどを、動物衛生研究所海外病研究施設(東京都小平市)に送ったところ、農林水産省から県に21日早朝、「陽性」との連絡があった。

 3例目(朝日新聞2010年4月22日0時36分)
 宮崎で3例目の口蹄疫疑い例3頭 2例目近くの農場

 県畜産課によると、感染の疑われる牛が都農町で確認された20日、川南町の2軒の農場について、往診した獣医師から「口の中がただれる症状の牛がいる」と、宮崎市にある宮崎家畜保健衛生所に連絡があった。同衛生所が同日、2軒に立ち入り検査をし、翌21日に感染の疑いがわかったという。

 4例目(2010年4月23日 読売新聞)
 口蹄疫の感染疑い4例目、川南で新たに2頭

 宮崎県都農町、川南町で家畜伝染病「口蹄疫に感染した疑いのある牛が見つかった問題で、県は22日、新たに川南町の畜産農家が飼育する牛2頭に感染の疑いがあると発表した。これで、感染の疑いのある牛は4農家の計14頭となった。県は埋却用地を決め、この農家が飼育する65頭を薬殺処分する。

 発表によると、診察した獣医師が21日、舌や唇に潰瘍などの症状を示す牛がいることを宮崎家畜保健衛生所(宮崎市)に連絡した。家畜防疫員が黒毛和牛の雌3頭に口蹄疫と似た症状を確認。検体を独立行政法人・動物衛生研究所国際重要伝染病研究チーム(東京都小平市)が遺伝子検査し、22日に3頭のうち2頭が陽性と判明した。最終的な確認には約1週間かかる。

 この農家は、最初に疑いのある牛が見つかった都農町の農家から南東に 3.4キロ、2、3例目の川南町の2軒の農家からは200~400メートル離れている。県は農家周辺の通行を制限し、牛舎などを消毒した。
(引用終わり)


 これほど持ち込まれては、このうちのどれを陰性にして、どれを陽性にするかといった整理をする余裕がありません。かといって、すべてを陰性にしてしまっては、最初の診断は誤診ではなかったかとの疑念をもたれかねません。従って、すべてを陽性とせざるをえなかったと考えられます。こうして、騒動は一気に広がり、早くも最初の診断から3日目にして、動物衛生研究所は騒動をコントロールできなくなっていたのです。

 ところで、4例目にして初めて、「3頭のうち2頭が陽性と判明」と1頭だけですが「陰性」判定を獲得しています。このことは、症状だけでは感染を判定できないことを物語っています。にもかかわらず、6月には「写真判定」が導入されました。このことは国際基準を無視した今回の判定基準がいかにいい加減なものであるかを農水省自らが白状しているようなものです。

 ところで、この1頭はPCR検査で陰性と判定された(感染していないことが証明された)ものの、殺処分されてしまいました。このことも、同じ農場にいるというだけ、あるいは経営者が同じというだけで全ての家畜を「疑似患畜」としてしまう、今回の農水省の判定基準が矛盾に満ちたものであることを示しています。

 今回の口蹄疫騒動が、農水省と専門家委員会が画策したかもしれない「豚インフルエンザ騒動に続く二匹目のドジョウ作戦」だったとすれば、騒動は企画者の思惑を大きく外れ、作戦開始当初からコントロールできずに企画者自身が右往左往していると見られます。

 ところで、騒動発生から9日目の4月28日、国連食糧農業機関(FAO)は、今回の口蹄疫の発生について、英国初め 欧州で蔓延し、120億ドルの被害をもたらした2001年のような惨事に発展する可能性を指摘し、国際的監視強化を呼びかけました。(2010.5.31衆院本会議 公明党・石田祝稔の発言)その上で、FAOのファン・ルブロス首席獣医官が、世界の口蹄疫封じ込めの経験と知識を持つFAOが、助言や勧告のため日本に専門家チームを派遣する用意があるとの提案をしていたのです。(2010.05.21 共同通信)

 封じ込めに失敗している日本政府としては、ありがたい申し出かと思われますが、日本政府は、「今後もFAOから適切な助言を得たい」としながらも、在ローマ日本大使館を通じて5月21日までに、 ローマのFAO本部に「ワクチン使用などの対策を行っている最中で現在は受け入れを考えていない」と回答、意外にも申し出を断っていました。(2010.05.21 共同通信)

 自作自演の騒動に最初から翻弄されている農水省というお粗末な構図ならば、世界の口蹄疫封じ込めの経験と知識を持つFAOの専門家チームなど受け入れられるはずがありません。この仮説に矛盾はないのか、これからもう少し検証を重ねていきます。

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■さあ、デタラメをあばくメディアが登場するだろうか? みものである。
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