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Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

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7月17日から新免許証、裏側に臓器移植欄(読売)ほか

臓器移植関連記事の続報。
過去記事へのコメントへの、とりあえずのフォロー。



7月17日から新免許証、裏側に臓器移植欄


 警察庁は3日、運転免許証の裏側に、臓器移植意思表示欄を新設すると発表した。

7月から導入される新免許証
7月から導入される新免許証
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20100603-OYT9I00466.htm

 7月17日から導入され、切り替え時に順次交換する。

 意思表示欄は、臓器提供の有無や、提供したくない体の部位を選択することができ、自筆の署名欄もある。現在、運転免許センターや各警察署で、免許証に張る意思表示用シールを配布しているが、一層の普及を図るため印刷することになった。

(2010年6月3日12時54分 読売新聞)

--------------------------------------------------------------
■警察まで加担するとなると、変死者の解剖忌避問題などと反対の構図だが、おぞましい事態がおきるような気もする。身元不明者が「無断で」解剖されてしまったケースとは ちがって、「本人が臓器移植を意思を明示しているんだから…」みたいな論理でね。


●旧ブログ「変死 を含む記事
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テーマ : これでいいのか日本 - ジャンル : 政治・経済

タグ : ハイパー独裁

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コメント

臓器移植法、「改正の内容を知らない」40%


「毎日」記事ほか

改正臓器移植法:17日施行 小児脳死に対応、36%--毎日新聞アンケート
 <分析>

 ◇提供病院「救急現場にしわ寄せ」「成人より判定困難」--全国348施設アンケート
 15歳未満の小児からの脳死臓器提供が可能になる改正臓器移植法が、17日に全面施行される。渡航移植に頼ってきた小児の国内での移植を実現する制度改正と期待されるが、厚生労働省が臓器提供に対応できると認めた全国の医療機関のうち、施行時に小児からの提供に対応できるのは36・8%にとどまることが、毎日新聞の調査で判明した。現場からは「脳死患者が発生する救急医療の現場は多忙すぎて対応不能」「小児からの提供に疑問を持つ医師もいる」などの声が上がり、法改正に追いつかない医療現場の実態が浮き彫りになった。【藤野基文、永山悦子】

 「成人の脳死判定だけでも大変なのに、小児まで対応するのは負担が大きすぎる」。岡山赤十字病院(岡山市)の集中治療室(ICU)。さまざまなチューブや機器につながれた患者のベッドの間を、医師や看護師が慌ただしく動き回る中、同病院の實金(みかね)健・救命救急センター長はそう話した。同病院は改正法施行後も小児の臓器提供をする予定はない。

 同病院には、年間4万人以上の救急患者が来院する。ICUが、すべて埋まることも珍しくない。同病院は97年の現行法施行以降、脳死臓器提供の経験はないが、年1度、シミュレーションを実施している。成人の脳死判定から臓器提供終了まで45時間前後かかり、その間、救急部門の日常業務をストップするしかない。6歳未満の小児の場合、2回の脳死判定の間隔を現在の4倍に当たる24時間以上空けるため、さらに18時間も長くなる。

 「ほとんどの家族は心臓が止まるまで何とかしてくれと考えている。我々は寝る時間がなくても、全力で治療にあたる。患者の救命が使命であり、救えなければ敗北だ。臓器提供の意思は拾い上げたいが、普通の救急診療を犠牲にしてまでは踏み込めない」と、實金氏は心境を明かした。

 法改正で提供可能な医療機関として新たに認められた東日本のある小児病院は、17日時点では対応しないことを決めた。治療のため患者や家族と付き合いが長い小児科医の中には「親に意思確認するのは心情的に難しい」と話す人がいるという。また、小児は蘇生力が強く、脳死状態と思われても何年も心臓が動き続ける例もあるなど、脳死判定の難しさが指摘されている。「話し合いの結果、移植に協力すべきだと考える医師は約半数いた。だが皆が悩んでいるので、踏み切れない」と男性院長は話す。

 臓器提供を担う医療機関の多くは医師不足や過酷な勤務実態が指摘される高度医療、救急医療の拠点病院だ。

 東京歯科大市川総合病院(千葉県市川市)の菅貞郎副院長は、脳死臓器提供を2回経験したことがある。院内で脳死判定にかかわる脳神経外科の常勤医は3人、休みは月2~3日しかない。「地域の中核病院はどこも疲弊している。小児の脳死判定が医学的に難しいことも気にかかる」として当面、小児の提供に対応しない。

 本人の意思が不明でも家族の同意で脳死臓器提供を可能にしたことも改正法の大きな柱だが、同病院も岡山赤十字病院も、施設側から臓器提供の説明をする予定はない。家族から相談がなければ、従来通り、意思表示カードで提供意思を示した15歳以上の患者にのみ対応する予定だ。

 日本移植学会の寺岡慧理事長は「移植医療を広げるためには、救急医療体制の改善も急務だ。各医療機関への説明や、一般への啓発に努めたい」と話す。

 ◇「虐待見抜けぬ」の声も
 調査は、厚生労働省が臓器提供への対応を認め、昨年4月時点で名称を公表している大学病院▽救命救急センター▽日本救急医学会などが認定する医療機関計322施設と、改正法施行後に加わる小児専門病院の一部計26施設の計348施設を対象に5月下旬から実施。229施設(回答率65・8%)から回答があった。

 臓器提供への対応について、「成人と小児の両方に対応する」と答えた施設が35・0%、「小児のみ」が1・8%で、小児に対応する施設は計36・8%。「成人のみ」と答えた施設は48・9%だった。「成人のみ」と回答した施設に理由を聞いたところ(複数回答可)、「対応する体制が整備されていない」が62・4%、「(小児臓器提供の要件である虐待を受けた児童から提供させない)虐待防止体制が整備できない」が40・4%、「小児の脳死判定は医学的に難しい」との答えも22・9%あった。

 本人意思が不明の場合、提供に同意する家族の割合は、「3割程度」から「ほとんどない」との予想が、小児の85・2%、成人の74・4%を占め、改正法による提供の大幅増に否定的な見方が目立った。
……
毎日新聞 2010年7月1日 東京朝刊





[解説]改正臓器移植法

誰もが対象者 家族で確認を

 ある日、家族の誰かが病気や事故で病院に搬送され、「脳死状態にあります」と医師に告げられたら、あなたならどうするだろう。問われるのは、脳死状態の夫や妻、子どもの臓器を提供するかどうかという選択だ。

 改正臓器移植法が7月17日、全面施行される。改正法で変わるのは、脳死臓器提供の条件だった本人の書面による意思表示が必須ではなくなり、「提供しない」という意思表示がない場合は、もう一つの条件だった家族の承諾だけで提供できることだ。15歳未満の子どもからの臓器提供も可能になるが、読売新聞社の全国世論調査では40%の人がこれらの変更点を知らなかった。

 脳死臓器提供はこれまで、提供意思を記したカードを持つ本人とその家族の問題だった。脳死になるのは、100人の死者のうち1人程度。2008年の内閣府調査によると、意思表示カードの所持率も8・4%に過ぎず、多くの国民にとって人ごとだったのも仕方がない。それが全面施行後はカードの所持にかかわらず、脳死になった人の家族は選択を迫られることになる。

 本人の意思表示が前提の現在でさえ、承諾したことが正しかったかどうかで臓器提供後に悩む家族がいる。

 厚生労働省の作業班が08年にまとめた臓器提供者(ドナー)の家族への聞き取り調査では、多くが「本人の意思を尊重したかった」と話す一方、葛藤(かっとう)や苦悩を漏らす人もいた。「ドナーファミリーの会」の運営にかかわる北海道の男性(75)は「突然脳死になり、気が動転したまま臓器提供を承諾し、『これでよかったのか』と後悔する家族からの相談をよく受ける」と話す。

 まして全面施行後は、本人の意思が分からないまま決断しなければならないケースも出てくる。今後は運転免許証や健康保険証にも意思表示欄が設けられる。家族が判断に困らないよう、「提供する」「提供しない」という意思表示はした方が良い。

 臓器提供について家族で話をして、互いの考えを知っておくことも大切だ。交通事故で05年に亡くなった父の腎臓を提供した兵庫県西宮市の小林美奈さん(43)は、お寺の住職だった父が生前、「お坊さんは生きている人の役に立たなければいかん」と繰り返し話していたため、父の腎臓提供を申し出た。特に臓器提供の話はしなかったが、「判断は間違いなかった」と言い切れるのは、こうした会話があったからだ。

 家族との話し合いで欠かせないのは、改正法についての正確な知識だろう。厚労省や日本臓器移植ネットワークはホームページやパンフレットで改正法の内容を紹介しているが、子どもも話に参加できるよう今以上に工夫してほしい。

 死後の話をすることには抵抗感もあるかもしれない。だが、自身の「死」をどうデザインするかは、人生の意味や価値を考える上でも欠かせない。この機会に一人一人が脳死や臓器提供の意味、ひいては生と死について話し合ってほしい。(科学部・小日向邦夫)

(2010年6月30日 読売新聞)




【改正臓器移植法 命は救われるか】(中) 家族が“脳死” あなたなら?
「産経」2010.6.29 22:44

 「もし、あなたの最愛の人が脳死状態になったと医師に告げられたら、あなたはどうしますか」
 静岡県立こども病院の植田育也・小児集中治療センター長は最近さまざまな人に、こう問いかけている。
 7月17日に施行される改正臓器移植法は家族の同意で臓器提供が可能になり、15歳未満の子供の臓器提供もできるようになる。
 「法改正後は誰にでもこうした場面が訪れる可能性がある。事前に命について考えておくことが重要なことではないか」という考えからだ。
 同病院は独立した小児集中治療室(PICU)を持つ全国15施設のうちのひとつ。年間約500人の重症小児が運び込まれ、救命措置が施されるが、それでも治療の甲斐なく命を落とす子供は毎年15人ほどいる。
 同病院にPICUができた平成19年以降、植田センター長らは救命治療にもかかわらず、患者が医学的脳死と診断された場合、家族に「脳死状態にある」と告げてきた。これまで脳死状態と診断された子供は12人。診断後は、心臓マッサージや強心剤投与など積極的治療を続けていくか、心停止するまでゆっくりと別離の時間を取る「看取り医療」を行うか、家族に選択してもらっている。
 多くの家族が選ぶのは看取り医療だったという。
 動かぬわが子と添い寝をしたり、好きだった絵本を読んであげたり…。家族が別れの時間を共有し、最期の時を迎えていった。
■■■
 「まずすべきことは懸命な救急治療。そのうえで看取り医療も含め、全力で医療を行ってもらったという納得感がなければ、家族は移植を選択しにくいだろう」。植田センター長はそう話す。

もっとも、“納得”のいく医療が日本では行われていないと指摘する声もある。
 厚生労働省の研究班の報告書によると、平成19年度に不慮の事故で死亡した1~4歳児の7割が高度な救急設備が整備されていない小規模医療機関に搬送されていた。世界保健機関のデータでは、日本は0~1歳未満の子供の死亡率が低い一方、1~4歳の死亡率は他の先進国に比べて高い。
 臓器移植関連学会協議会も「小児の不慮の事故による死亡は十分な集中治療を受けていない可能性がある」として今年3月、小児救急体制の改善を求める提言を行った。
 一般的な救急現場も課題を抱えている。平成21年の全国の救急搬送人員は約418万人で臓器移植法が施行された9年の約1・5倍。厚労省の研究班が18年、全国の救急施設などで行った調査では、脳死を経て死亡した可能性がある症例のうち、実際に脳死であるかどうかを確認したのは約3割にとどまった。
 余裕のない救急現場。臓器提供が行われる場合、法的な脳死判定手続きなどで2日間はかかる。人手や経験の乏しい施設は業務の負担が増すとして、家族への臓器提供の打診が消極的になることも懸念される。
 日本医科大付属病院高度救急救命センターの横田裕行部長は「必要な現場に、経験豊かな医師らを応援で派遣するなどの処置が必要」と指摘している。
■■■
 改正法施行後、脳死状態になった患者の家族には「臓器提供」という選択肢が増えることになる。静岡県立こども病院で脳死状態とされた12人の子供の家族に、その選択肢があったら、臓器提供を選んでいただろうか。
 植田センター長は「それはわからない」と答える一方、こうも指摘した。
 「家族同意は、家族に『脳死を認めるか否か』という判断を迫るので非情だという声もある。しかし、逆に言えば『どちらを選ぶこともできる』ということだ」
 そのとき、あなたなら…。

---------------------------------------
■「「提供しない」という意思表示がない場合は、もう一つの条件だった家族の承諾だけで提供できる」という、強引さがすごい。■まあ、しんじゃったあとは、本人どうすることもできず、所詮は、のこされた関係者の一存ではあるんだが…。
■結局、「遺族」の選択に全面的にたよりきるという、残酷な制度であることは、ますます鮮明化してきた。「たすかりたい」「たすけたい」という関係者にとっては、どうでもいい葛藤なのかもしれないが。

吉本秀之「書評『侵入者』」(2000)

書評『侵入者』(http://members3.jcom.home.ne.jp/hist_science/nancy.html
書評
ジャン=リュック・ナンシー『侵入者 いま<生命>はどこに?』
  西谷修訳編、以文社、2000
 『総合文化研究』(東京外大総合文化研究所発行)第4号(2000)所収
「我々は、死後の臓器提供へと自己決定している存在なのである。 」
 この不思議な言葉は、何だろうか? 発言者は町野朔上智大学法学部教授、発言の場面は臓器移植法改正に向けた厚生省研究班の最終報告書(2000年8月22日)である。
 日本の臓器移植法は、周知の通り、平成9年7月16日に公布されその3ヶ月後から施行された。現在、臓器移植の数を増やすための改訂作業が厚生省において進められており、上記の最終報告書を受け、今年度秋の国会で改正法案が審議される予定である。
 今回の修正案では、深刻なと言ってよいほど重大な根本的変更がもくろまれている。日本の現行法では、死にかけている人体から移植のための臓器摘出を行ってよい絶対条件としてその当人がドナーカードにその意思を明確に表示してあり、なおかつ家族が反対しないことがあげられている。それが修正案では、ドナーカードなどの書面にて自分の身体からの臓器移植に明確に反対の意思表示がなされていない人物に関しては、臓器提供の意思があると見て、移植のための臓器摘出を行ってもよい、としている。
 つまり、ドナーカードに明確に臓器移植に反対する旨を明示している極々例外的な人物を除いて、ほとんどすべての日本人は、不慮の事故等で脳死状態に陥ったときに、即ち死にかけたときに、自分の身体から臓器を摘出される可能性がある、ということである。
 法理上の180度の転換だと言ってよいであろう。この、すべての国民の生死に直接関わる可能性のある重大な変更が、十分な国民的議論を待つことなく、移植医と厚生省と関係者の意思により、この秋の法案改正で目指されているのである。
 『侵入者 いま<生命>はどこに?』の編訳者西谷氏によれば、フランスでは、すでに明確な反対の意思表示がなければ臓器摘出に同意したものとする法律が施行されている(77頁)。「侵入者」の著者、フランスの哲学者ジャン=リュック・ナンシー氏は、50歳の夏(1990年)心筋梗塞の発作にみまわれ、その翌年心臓の臓器移植を受けた。「侵入者」は、そのナンシー氏が「他人の心臓を受け入れてから、やがて10年になろうとしている」(7頁)時点で、自分の心臓移植体験を公表したものである。
 「移植はまず十全な回復として現れる。つまり気がつけば心臓がまた脈打っているのだ。」(25頁)「とはいえ、すぐに、よそ者としての他者が顕在化してくる。・・・免疫学的な他者、置き換えられないのに置き換えられてしまった他者だ。その他者の顕在化が「拒絶反応」と呼ばれる。」(27頁)身体のアイデンティティを守っている免疫システムが他人に由来する心臓を拒否するのである。その拒絶反応を抑えるために、免疫=アイデンティテイを低下させる強力な薬剤(免疫抑制剤)を投与する。すると、身体の内部に隠れていた異物・古くからの内部への侵入者が活性化する。「そんなふうにしてわたしは、何度も、帯状ヘルペスのウイルスやサイトメガロウイルスを経験することになる。」(30頁)そして胃やその他の身体部分を痛め弱める別の治療が施される。
 「そのうえガンがやってくる。悪性リンパ腫だ。」(34頁)「ここでもまた、別のやり方で治療は暴力的な侵入を必要とする。化学療法や放射線療法で相当量の外来物を混入させるのだ。悪性リンパ腫が体をむしばみ病弊させるのと同時に、治療が体を攻撃し、いろんなしかたで苦しめる。」(35頁)そして、苦痛を抑えるためのモルヒネが投与される。このモルヒネは、アイデンティティの最後の砦、脳神経系のアイデンティテイを危うくする。すなわち、意識の低下と錯乱。「冒険が終るときには意識朦朧としている。もう自分が誰だか分からない。・・・ひとはたちまち、いくつもの何だか分からない状態の間で、さまざまな苦痛の間で、無力さの間で、意思阻喪の間で、漂い、異様な宙吊り状態になってしまう。」(37頁)
 さて、『侵入者 いま<生命>はどこに?』は、ナンシー氏の「侵入者」、ナンシーへのインタヴュー「ナンシー、他者の心臓」、編訳者西谷氏の「ワンダーランドからの声―「侵入者」の余白に」並びに「不死の時代」という4編からなっている。西谷氏の2編の論考は、脳死臓器移植問題について注目すべき独自の分析を行っている。
 事柄の重大性に鑑み、ここではもう少し、脳死臓器移植問題についていくつかの論点を簡単に整理しておこう。
 1)生前同意か推定同意か? 厚生省の臓器移植法改正の動きは、現在の生前同意から推定同意(反対の明確な意思表示がなければ、同意したものと推定する)に向かっていると言える。この点に関して欧米がおしなべて推定同意を取っているというのは俗論であり、デンマーク倫理委員会の調査によれば、明確に推定同意を取っているのはスペイン、ポルトガル、オーストリアだけである。日本の現行法のように個人が脳死か身体死を選択できるという法案を採用している国はなく、近親者の権限をどこまでどのように認めるかでスペクトルがある。なお、デンマーク倫理委員会ははっきりと推定同意の導入に反対している。
 2)脳死は個人の死か? 過去30年間の脳死者について正確なデータが取れる事例を収集し、脳死から心臓死までにかかる時間を調べた結果によれば、175例で1週間以上かかっており、そのうち80例が2週間以上かかっていた。さらに7例においては、脳死判定後半年以上も心臓が動いていたことがわかった。最長で14年5ヶ月動いていた例が報告されている。また、脳死患者がまるで生きているかのように自分で手を動かし、胸の上に持っていく「ラザロ症候」は世界中で相当数が報告されている。これは医学的には脳死と判定された患者の脳幹の一部が生きている可能性を示唆している。
 3)死の定義 欧米の移植医を含む専門家の間には、大脳死(脳幹は生きていて、大脳だけが死んだ状態。すなわち植物状態)を死の定義とすべきだと意見が根強く存在する一方、市民の間にも脳死を死とする定義に対して異議申し立ての動きが生じている。 
 推定同意が立法化された場合、我々はみんな臓器提供予備軍です。覚悟は出来ていますか?

   参考文献
・小松美彦『黄昏の哲学:脳死臓器移植・原発・ダイオキシン』河出書房新社、2000
・森岡正博「日本の「脳死」法は世界の最先端」『中央公論』(2001年2月号)318-327頁
・森岡正博氏の「臓器移植法改正を考える」ホームページ:
   http://member.nifty.ne.jp/lifestudies/ishokuho.htm

(吉本秀之 http://members3.jcom.home.ne.jp/hist_science/index.html

毎日新聞 2010年7月17日(岡山版)

改正臓器移植法:きょう施行 6割以上「知らない」--県調査 /岡山

 15歳未満の小児からの脳死臓器提供を可能にする改正臓器移植法が17日、全面施行される。改正により、脳死臓器提供は本人が生前に拒否の意思を示していなければ、家族の同意で可能になる。だが、県が昨年度行った意識調査に6割以上が改正を「知らない」と回答。県は「臓器移植について家族とよく話し合ってほしい」と呼びかけている。

 県が昨年8月~今年3月に実施した16歳以上の男女1万366人を対象にした聞き取り調査などによると、改正の事実を知らなかった人は65・5%に上った。本人が臓器提供を拒否していなければ、家族の同意で臓器提供が可能になることについて、66・1%が「知らない」と答えた。

 もし自分が脳死や心臓停止による死亡と判断された場合、提供の是非を家族に委ねると答えたのは65・7%。だが、自分が家族の臓器提供の判断を任された場合、家族の意思を代弁できるかについて「代弁できる」と答えたのは16・9%にとどまり、42・8%が「できない」と答えた。

 臓器移植に関心があると答えた人は64・2%。「臓器提供意思表示カード」などを所持する人は25・5%だった。県は「法改正で、拒否を意思表示しなければ臓器移植の対象になる。事前に自分の意思を明らかにすることが重要」と話す。

 今後は、臓器提供の意思表示欄がある免許証なども発行される予定。県は17日午前10時半から、JR岡山駅周辺で街頭キャンペーンをする。【井上元宏】

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