プロフィール

ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

前ブログ: 『タカマサのきまぐれ時評

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「世界で唯一、カネだけが無色透明で、フェアな基準」考

■「世界で唯一、カネだけが無色透明で、フェアな基準ではないか」とのべたのは、日本列島の成人にアンケートをとったら、8わりちかくいきそうな知名度バツグンの企業家である。■この指摘を正論だという議論は、存外おおいことは、検索エンジンをまわしてみるとよくわかる
■もちろん、つぎのような痛烈な批判はある。しかし、ここまで分析的に反応できたひとは、あまりいないようにおもえる。

……
●●はどうやら本気なのである。
それとも、これをして、いさぎよい生き方であると賞賛されたいのか。
むりだね。
どうしてかって。

●●は、金で買えないものがあると思っている。それは、血筋とか、家系、毛並みだという。あるいは、そういったものを背景にした利得、権益がはなからフェアネスを欠いていると批判しているわけだ。
そして、カネだけが、無色透明でフェアな基準である。と。
●●君よ、君の言っていることはまったく正しい。
その通りである。
もし世界が、●●が言うところのカネで買えるものと,●●が考えているらしいカネで買えないものだけで構成されているとすればの話である。
カネで買えるものを考えてみれば、それが何であるかがわかるはずだ。
車、豪華なマンション、金目当ての人々の関心、カネで何でも手に入ると思っている女の自尊心。要するに、カネで買えるのは、カネで買えるものだけである。
これが、同義反復というのなら、もっと分かりやすく、計量可能なものだけであるといってもよい。
計量可能なものであれば、だれでも、どこでも、いつでもこれと交換できるという意味で、カネほど便利で、貴重なものはない。そして、確かに血筋はカネでは買えない。

俺も有り余るカネがほしいとおもう。(誰だってそうだろう。)

しかし、世界は計量不能のもので満ちている。
敬意、愛情、おもいやり、つつしみ深さ、恥じらい。矜持。信頼。これを見えない価値といってもよいかも知れない。もちろん、憎悪や嫉妬といったネガティブな価値を加えてもよい。
でもね、血筋や家柄なんて買いたいとも思わない。買ったところで、持て余すだけだからだ。

計量できないものを手に入れるために、時にひとはカネをどぶに捨てることもある。敬意や尊敬は、そうしないと手に入らない場合もあるからだ。空間的なものは、ほとんど計量できるかもしれないが、時間が育むものはほとんど計量不能であるといってもよい。

金は、ものの価値のものさしであり、同時に欲望のものさしでもある。
三百万円出せば買えるロレックスは、それで「金持ちの象徴」を手にすることができる。金持ちに対する畏敬や、羨望をひきつけることもできる。
このときお金の象徴が意味しているものは何か。
それこそ、●●が血筋や、家系、毛並みといった言い方で表現したもののイミテーションである。
カネは差別を無化しはしない。則物化するかもしれないが。

あえて、イミテーションの世界を俺は愛すると●●が言うのなら、拍手するしかない。
でも、俺の前には現れないでくれ。

-------------------------------------------
■すばらしい。これ以上の分析をつけくわえることは、すべて蛇足になりそうな予感がする。■しかし、当時の狂乱から一歩ひいてみられる現段階でふりかえるのは、無意味ではあるまい。

■たとえば、この企業家は、こうもいっている。「誤解を恐れずに言えば、人の心はお金で買えるのです。女はお金についてきます。人間はお金を見ると豹変します。豹変する瞬間が面白いのです。皆ゲンキンなものです。金をもっている人間が一番強いのなら、金持ちになればいいということなのです。人間を動かすのはお金です。」■つまり、かれが経済力をもって自由にできるとする「人の心」とは、性愛や献身というパフォーマンス領域にかぎられることがわかる。いや、表面にあらわれるパフォーマンス部分以外に「内面」なんてのを想定したって、たしかめられないんだから無意味という人間観は充分成立する。■しかし、それは、「外化することによって量的に把握できないもの(たとえば、ヒトの内面など)は存在しないことにしよう」という、にげを表明していることにもなる。

■それと、「カネと権力は正反対の存在ではない。むしろ権力に寄り添おう々とするのがカネの常である」という指摘にもあるとおり、カネでかえる権力はかぎられている。巨大権力を巨額の資金でかえるかとえいば、そうとはかぎらない。逆に、巨大権力が動員できない資金などない。■つまり、百人・千人単位の相対的貧者のココロは自由にかえるが、百万・千万単位の人心を自由にできるだけの富者はいないし、巨大権力を自由に「購入」できる富者もいない。■表出される異性愛や献身を「購入」することはできても、「内面」が支配しきれないという微視的次元にとどまらず、「政治権力」という巨視的次元での支配も自由に「購入」はできないのだ。

■こうしてみてくると、この企業家があきらかにした構図とは、政治権力 >> 経済権力 >> 社会的序列 という、現象面として露出する次元の 序列関係にすぎない。「無色透明で、フェアな基準」とは、経済権力 >> 社会的序列 という、現象面として露出する次元の 序列関係で一元化したいという、ブルジョア・イデオロギーの、いいかえだろう。■だから、「カネで買えないものは、差別につながる。血筋、家柄、毛並み。世界で唯一、カネだけが無色透明で、フェアな基準ではないか」という差別論は、一見もっともにみえるが、まにうけては いけないだろう。
■もちろん、かれは「差別につながる」「カネで買えないもの」が、「血筋、家柄、毛並み」だとはいっていない。だから、引用した文章のかきては、誤解している。かれは、「カネで買えないもの」がすべて、「血筋、家柄、毛並み」がらみの事物だといっているにすぎない。■もし、かれが「血筋、家柄、毛並み」がらみでしか てにいれられないものすべてが、「差別につながる」といっているのなら、それはただしい。しかし、そうではないから、やっかいなのだ。■かれの世界観のまずしさは、「カネで買えないもの」がすべて、「血筋、家柄、毛並み」がらみの事物だときめつけている点。「カネで買えないもの」には、ヒトの内面・愛着・時間・記憶など、おびただしい「差別につながる」とはかぎらない事象があることを、みない点だ(あえて捨象している気はするが)。

■一方、内田樹氏のように、カネにわずらわされる層はすべて貧乏人であり、そうでない層は、収入・資産の大小にかかわらずカネもち、といった発想の逆転をはかる御仁たちもいるが、それでことたりるわけでないことは、もちろんだ。■ワーキングプアの実態はもちろんのこと、「人間を序列化する基準として金以外のものさし」が「差別に繋がるものだ」という直感は、相当程度ただしいし。■企業家の ひらきなおりともいえる金銭観=独自の差別論に対して、説得的な批判を展開できないかぎり、内田氏らの 執着のなさは、特権的な達観、ないしは偽善的な説教にしかなるまい。



●旧ブログ「人の心はお金で買えるのです。女はお金についてきます」関連記事

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コメント

『新しい経済社会学』(978-4324081518)という本が出ました。右、お知らせまで。

ありがとうございます

貝枝さま

■渡辺 深『新しい経済社会学』(ぎょうせい http://www.google.com/search?hl=ja&q=%22%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AD%A6%22+%E3%81%8E%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%9B%E3%81%84&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=lang_ja)。みるからに おもしろそうですね。

新しい経済社会学
日本の経済現象の社会学的分析

編著者名 :渡辺深/編集
判  型 :A5
体  裁 :単行本
定価(価格):1,890円(税込み)
本  体 :1,800円
ISBN   :978-4-324-08151-8
発行年月 :2008年2月17日
分  野 : 分野別一覧> 一般図書> 教養一般(単行本)

「生保外交員はなぜ女性なのか?」「夫婦間の経済勢力は何で決まるのか?」など、
日本の様々な領域の経済現象を分析することで、
新しい経済社会学という理論モデルを紹介する書。

身近な話題を取り上げ、経済社会学の入門書として読める。

大学生など経済学・経済社会学を学ぶ人だけでなく、経済学部卒の人や、「経済入門」のような本を好む人にもお薦めの一冊。

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 目次
  序章 新しい経済社会学の概念枠組

  1 生命保険と貨幣-ゼライザーの経済社会学
   生命保険エージェントの女性化に関する試論
   地域通貨への経済社会学的アプローチ

  2 労働市場とジョブ・マッチング過程――グラノヴェターの経済社会学
   NPO労働市場のジョブ・マッチング過程――非営利活動への参加経路
   転職者のジョブ・マッチング過程

  3 エスニシティとジェンダー
   韓国人ニューカマー企業家――起業過程と資源動員
   夫婦間の勢力と4つの資本


■一見、『ヤバい経済学』(http://www.google.com/search?hl=ja&q=%22%E3%83%A4%E3%83%90%E3%81%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%22&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=lang_ja)に刺激をうけた、社会学者による日本版『ヤバい社会学』(二匹目のドジョウ)なのかとおもったら、もっとかっちり実証をした教科書みたいですね。■一応めをとおしてから、コメントする予定です。

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