ポーランド大統領機墜落 和解寸前…ロシア苦悩4月13日7時56分配信 産経新聞
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■原因究明・遺族受け入れ 手厚い配慮
【モスクワ=佐藤貴生】ポーランド政府専用機墜落事故で、ロシアは原因究明から遺族受け入れまで、細かい配慮を行ってポーランド政府に全面的に協力する姿勢を示している。同国の国家元首を受け入れて和解に踏み切ろうとする矢先の悲劇とあって、ロシア政府も大きな衝撃を受けていることは間違いない。事故後の対応には、ようやく訪れたポーランドとの関係改善の芽をつんではならない、という思惑が色濃くにじんでいる。
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◇服喪の日◇ モスクワ市内のポーランド大使館や西部サンクトペテルブルクの同国総領事館には、事故の犠牲者を悼むロシア人らが多数訪れ、手向けられた花やキャンドルが増え続けている。
ロシア政府が遺族受け入れのために用意したモスクワ市内のホテルには、ポーランドから100人以上の関係者が到着した。両国の専門家は遺体の身元確認を合同で進めており、ポーランドのコパチ保健相は「ロシア側の専門家は熱心に作業を進めている。ロシア政府に感謝したい」と述べた。両国は事故原因の究明も合同で行う見通しだ。
事故が起きた10日、プーチン首相は現場に飛んでポーランドのトゥスク首相と抱き合って犠牲者を悼んだほか、メドベージェフ大統領も黒いネクタイ姿で国営テレビに出演、弔意を示した。ポーランド国民への連帯を示す服喪の日の12日、ロシアのメディアは広告中止などの対応を取った。
◇「歴史の清算」一変◇ こうした迅速な動きは、ロシア政府が事故をいかに重く受け止めているかを象徴するものといえる。第二次大戦初期にソ連秘密警察がポーランド兵を大量虐殺した「カチンの森事件」から70年となるのを機に、首相に続いてカチンスキ大統領を受け入れて「歴史の清算」を果たすはずだったのが、事故により事態が一変してしまったからだ。
◇欧州戦略に影響も◇ ロシアとポーランドは過去、幾度となく戦火を交えるなど対立と融和を繰り返した。最近では、オバマ米政権のミサイル防衛(MD)見直しに伴ってポーランドへの迎撃ミサイル配備計画も白紙となるなど、ロシアとポーランドの政治的関係が変わる可能性も出ていた。
欧州でも屈指の対露強硬姿勢で知られるポーランドとの関係は、ロシアの欧州戦略全体を左右しかねない重要な意味がある。ロシアは事故後の対策に万全を期すことで、関係改善の流れを継続したい意向だ。
ただ、70年を経て再び訪れた「カチンの悲劇」がポーランドの人々の脳裏に長く刻まれることも間違いなく、将来にわたってロシアとポーランドの関係に影を落とすことも確実だ。
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最終更新:4月13日10時27分------------------------------------------------
■多数の犠牲者をまえにしてなんだが、いろいろ やりきれない記事の含意としか、おもえない。
■①大統領が こだわった愛機だったそうだが、旧式で、しかも再三の事故の続発で、最近つかわれなくなってきた機種らしい。操縦ミス説がつよいらしいが、もともとハイリスクだったんじゃないか?
■②ロシアがわが、非常に気をつかっているという報道だが、「
カチンの森事件」自体が、道具化されているような気がしてならない。■要するに、社会主義体制がおわろうと、ロシア民族による帝国主義的体質はかわらず、だからこそ、スターリニズムの負の遺産が全然清算されてこなかったわけだ。ポーランドが反ロシア的なのは、当然だ。そんな反ロシア感情に、アメリカがつけこむ。今回のキルギスなどもそうだが、結局のところ、旧ソ連周辺の諸地域は、その時代の負の遺産を清算できていない。そして、そういった ひずんだ構図をつくったのは、ロシア帝国時代からの連続性をもっているだけではなくて、ソ連成立時代からの白色テロだの、冷戦だの、要は大英帝国・アメリカ帝国の策動が全部からんでいる。■英米両国は、その点で、パレスチナ問題とならんで、中央アジアや東欧のかかえる負の遺産にずっとつきあう責務がある。 ■それはともかく、はっきりいって、今回の事故がなければ 一挙に和解がすすんだはず、といった無責任な願望があったからこそ、こういった論評しかできないってことだとおもう。
■だって、プーチンって、人格者みたいな えがかれかたがされているけど、旧ソ連の秘密警察の職員であり、後身の
ロシア連邦保安庁の長官だったりするわけだ。謝罪とか和解とか、そういったやりとりには、苦悩がともなうのは当然だし、そういった人物が犠牲者をいたむという行為自体が、複雑な感情をはらんでいることなど、全然ふれようとしないのも、不自然。
■まあ、日本の右派メディアは、北方領土問題と資源開発がらみでしか、ナショナリスティックな反応をしめさない。■中国共産党による独裁的な強権政治を あれほど、「正論」でもって、あしざまにたたくなら、ロシア国内でくりかえされた、プーチンらの政敵がけされていった経緯とか、旧ソ連地域だった周辺諸国に対する過酷な対応とかを、なぜもっとはげしく報じないのか? 社会主義体制(一党独裁体制)さえ、かなぐりすてれば、それで民主国家だとでもいうのか? ■チェチェンなど、自爆テロをふくめた さまざまなテロリズムを誘発しているのは、現在の(世襲のない皇帝たちによる)「ロシア帝国」なのだから、パレスチナ問題などとならんで、右派メディアの論調の不自然さは、もっと批判されねばなるまい。
■そういった 「ごつごう主義」は、チベット亡命政権のような、脆弱な政体がギリギリの選択肢としてえらんだ、「敵の敵は味方」主義とは、異質なものだ。■戦後の日本の社会民主主義勢力が、中国やソ連とつながっていたというなら、アメリカ政府の謀略にのっかるかたちで延命してきた歴代自民党政権の暗部も、ちゃんとたたかなければ。そういった、奇妙な不自然さと通底する、対ロシア報道は、もっとちゃんと監視・批判されるべきだ。
●「
「カチンの森の虐殺」から70年」(『
Apes! Not Monkeys! はてな別館』)
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テーマ : 軍事・平和 - ジャンル : 政治・経済
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