■古今東西、ほぼ普遍的に暴力的傾向が突出していると、経験的にも統計的にも確認されつづけたきた20歳前後のわかい男性が、突出しておとなしいのが、1980年代以降の日本列島であることは、旧ブログで何度かかいた〔旧ブログ
「殺人率 20歳前後」関連記事〕。■殺人だけではなく、レイプなどの凶悪犯罪全般において、日本のわかものたちは 紳士的なのである(あくまで統計上だが)。たとえば、少年犯罪に関しては、ウィキペディア「
最近の少年犯罪の動向」などをみても、『犯罪白書』などでも当局自体が、激増傾向などを否定しているのである〔詳細は『
少年犯罪データベース』〕。
■ところで、ときどき参照する『社会実情データ図録』ではあるのだが、つぎのような図表のタレながし(「
犯罪者と被害者との関係(犯罪種類別)」)と解題はこまりものである【図像がアップできないので数値で紹介】。
件数 親族等 面識あり 面識なし その他
殺人 (1224) 44.2% 40.1% 15.4% 0.2%
傷害 (22962) 11.0 44.1 44.9
……
強姦 (1373) 3.3 34.5 62.2
強制猥褻(3683) 0.8 17.6 81.5
……
(注)警察庁の統計による。「その他」は被害者が法人・団体の場合、被害者がない場合。
()内は件数の実数。
(資料)犯罪白書(平成18年版) 犯罪の種類によって犯人と被害者との関係がどのように違っているかを図録化した。
データは犯罪不成立、訴訟・処罰に至らないような事件を除いた検挙件数について、被害者と被疑者との関係別に構成比をみたものである。
殺人と傷害は、親族及びその他の面識のある者に対する犯罪である比率が高い。特に殺人は4割以上が親族等に対して犯されている。
一方、財産犯及び性犯罪は、面識のない者に対して犯される場合が多い。ただし、財産犯のうち恐喝、性犯罪のうち強姦については、面識のある者に対して行われる比率が高い。
(2008年1月28日収録)-----------------------------------------
■こういった官庁統計が、当局の方針転換ないし政治的意図などによって、ゆがむことは、たとえば、「オヤジがり」の例が適当だろう。ウィキペディア「
おやじ狩り」などは、典型的な当局関係者による作文だが、以前は、恐喝+暴行ないし傷害事件として把握されていたのが、「
オヤジ狩りが恐喝から強盗に、ひったくりも窃盗から強盗に数えるように変化した影響で急増にみえる」という、統計のトリックである。■過去のデータとの比較は、今回の統計とは無関係だが、本川氏も、こういった官庁統計のウソ・デタラメについて、警戒的なコメントをつけてほしい。
■なかでも、この統計処理の最大の問題は、暗数についての無知ないし無視である。■はっきりいって、暴力がかかわる犯罪統計のばあい、親族や知人という関係性は要注意だ。殺人は、まあほとんどが白日のもとにさらされるとしても、傷害・レイプ関連は、膨大な暗数が背後にあると推定され、なかでも親族や学校・職場など同一組織内部の加害者・被害者関係のばあい、警察当局が認知する案件は「氷山の一角」といってさしつかえない。■したがって、ドメスティック・バイオレンスや幼児虐待、レイプ・レイプ未遂事件などを適切に推計できるデータ・理論わくぐみを用意できないかぎり、これらの統計数値は、単なる検挙件数とその比率にすぎない。■当然、比率とやらの比較うんぬんはナンセンスきわまりない。「
データは犯罪不成立、訴訟・処罰に至らないような事件を除いた検挙件数について、被害者と被疑者との関係別に構成比をみたもの」とかいうが、「犯罪」として露見しない、「なきねいり」の実態が全然みえない統計なのである。
●「
日本におけるレイプ被害について」というブログ記事が詳細にのべているとおり、
……
TBや、コメントで、デートレイプの話があがったが、「犯罪白書」にあるような警察自体に届けられた強姦件数は、大体、年2000件程度。
ただし、犯罪白書にあるような強姦は
「暴力・脅迫によって抗拒不能の状態において強制された性交」
「13歳未満の女性に対する性交」
と定義されたものであり、「デートレイプ」に含まれるような「女性との合意のない不快なセックス」は含まれていない。
日本における強姦は、親告罪であり、強姦致傷や輪姦でない限りは、被害者の告訴無しには、立件されない。
そのため、被害届を出さない限りは、犯罪統計に上らないので、実際にレイプ被害(デートレイプのような女性との合意のないセックスを強要されるケース)に、女性がどの程度さらされているかは、犯罪白書からはわからない。
……といった構図を直視したうえで、犯罪統計をよまないとね。
■むすこや おっと、兄弟に なぐられた女性たちの どのくらいが警察ざたにするか? 性暴力がらみだったら、どうなるか(男性が暴力の被害者のばあいなら、一層そうだろう。実数・確率はケタちがいにすくないだろうが)、その程度の想像力もはたらかない人物は犯罪統計をウンヌンすべきじゃないとおもう。
■もちろん、現代日本の男性たちのほとんどが、性暴力とは もっとも縁どおい集団であることは、つぎのような一節でもあきらかだろう。
……たとえば女性の権利推進派は性的暴力の実態を大きく膨らませて語ってきた。アメリカの女性の3人に1人は死ぬまでの間にレイプやレイプ未遂の犠牲になる、なんてことを言う(実際の数字は8人に1人ぐらいだ―…… 〔スティーヴン・レヴィット/スティーヴン・ダブナー『
ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する』[増補改訂版]東洋経済新報社,2007年,pp.104-5〕
■1980年代以降、つまり過去四半世紀において、こういった物騒な空間、不安におののくような女性たちは、日本列島上ではかなり特殊で例外的な空間でいきていたはずだ。
テーマ : 社会問題 - ジャンル : ニュース
タグ : 暗数 統計 密室 犯罪 被害者
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