■ブッシュ政権がうちだした「落ちこぼれゼロ法」(No Child Left Behind Act)という、あまりにうつくしい教育改革法は、国防総省が やすあがりに
リクルート(原義どおり「新兵補充」の“
recruit”)のコスト削減(合理化)のための、個人情報収集の策略だった。■貧困家庭が集中する地区=学校財政が窮迫している=補助金なしでは廃校になるという地域から、集中的に兵士(将来の将校候補層はいない)を募集できるようなシステム。公立学校の財政的窮迫と生徒たちの家計の窮状という、あしもとをみた法律なのだ。「貧乏なので、大学進学は絶望的だ」「大学進学できなければ、両親世代同様貧困からぬけだせない」という、きびしい現実。そういった貧困層が集住する地区の公立学校は財政がくるしい。補助金ほしさ(廃校をさけるため)に、生徒の個人情報をさしだすしかないという、「兵糧攻め」だ。■米軍が、そういった個人情報リストから、絶望的な状況の家庭にそだった生徒の〈厳選リスト〉を作成して「リクルート」するのは、実にラクだろう。
■堤 未果『
ルポ貧困大国アメリカ』が指摘するとおり、米軍がわかものたちに提案する「条件=エサ」は、実に巧妙だ。前回ものべたとおり、かれらの主体性(たとえば「良心的兵役拒否権」)を尊重するようなポーズは、カムフラージュにすぎない。リクルート関係者は、よくわかっているのだ。わかものと出身家庭が、経済的窮状にあるがゆえに、ふたつの〈魅力的なエサ〉にとびつくほかない(選択肢がない)ことを。■〈魅力的なエサ〉とは、大学進学と医療保険だ。
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